ダイナブック(dynabook)は言わずと知れたノートPCのブランドであるが、日本国外では使われていない名前だった。米国市場などではdynabookは「TOSHIBA」として知られ、過去には市場を席巻し抜群の知名度を持っていた。その後、dynabookの事業はシャープが引き継ぎ、現在はその名もDynabook株式会社が事業の主体となっている。

  • 13.3型ノートで世界最軽量という「dynabook Portege X30L」

    13.3型ノートで世界最軽量という「dynabook Portege X30L」

そのdynabookブランドのPCが、いよいよ海外市場への挑戦を開始することになった。米ラスベガスで開催中のCES 2020のシャープブースの一角にて、第10世代Intel Coreを搭載する13.3型ノートで世界最軽量という「dynabook Portege X30L」など、「dynabook」の新しい製品が発表されている。

  • 意外に思う人もいるかもしれないが、dynabookは、海外ではdynabookではなくてTOSHIBAという認識なのだそうだ。そのため、「dynabookは、あのTOSHIBAですよ」という流れがわかるよう、歴代のdynabookの名機を選りすぐって時系列で展示していた

  • 展示は世界初のラップトップPCと呼ばれる「T1100」からスタート

dynabook Portege X30Lは、日本で発売した超軽量ノートPC「dynabook G」をベースにスペックアップした新モデルとされ、同じく軽さを特徴とし、重量は870g。これはdynabook Gの779gよりも重いが、第10世代Intel Coreを搭載する13.3型ノートとして、世界最軽量なのだという。

  • dynabook Portege X30Lはdynabook Gがベースで、見た目もうりふたつ

ディスプレイにはIGZOも選択できる13.3型で、解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。CPUは第10世代のCore Uで、展示機はCore i5-10210U(Comet Lake)を搭載していた。ほか、メモリは24GBまでのDDR4、ストレージはMVNe SSD、ディスプレイ上部のWindows Hello対応カメラ、タッチパッド内蔵の指紋認証センサー、Wi-Fi 6の無線LAN、フルサイズのギガビットLANやHDMIポート、USB 3.0ポート、microSDリーダーなど、一通りそろっている。バッテリ駆動時間は13時間以上。本体サイズはW308.8×D211.6×H17.9mm。

  • 出展機に搭載されていたCPU。6コアのCore i7まで用意するという話

  • ストレージにはIntel Optaneも入っていた

薄型軽量ながら、米軍の機材調達規格「MIL規格(MIL-STD-810G)」に準拠した落下や防塵、温度/湿度テストをクリアしているとされ、展示会場では実際に本体へ鉄球を落とすデモや、50kg近い重量の重りを乗せてみるデモを行って、頑強さをアピールしていた。

  • ボタンを押すと鉄球が降ってきてdynabookを攻撃するという拷問器具

  • dynabookの上に重たい金属の延べ棒を積んでいくという拷問器具

dynabook Portege X30Lは米国市場で2月から発売を開始。価格は1,599.99ドル。法人顧客に強い現地の販売パートナーを活用するほか、直販サイトなどを通して販売するという。あわせて、欧州市場での展開もすでに予定に入っているという。

8K動画編集用に外部GPUボックス付きのdynabook

シャープブースではもうひとつ、新しい「dynabook」を見ることができた。まだ試作機の段階だが、Intel Core i7-10710U(Comet Lake)を搭載する15.6型ノートPCと、NVIDIAのQuadro RTX 4000を内蔵する外付けGPUボックスをThunderbolt 3経由で接続したシステムだ。8K動画のリアルタイム編集ができるモバイルワークステーション、というコンセプトの製品となる。

  • 外付けGPUボックスを組み合わせたモバイルワークステーションの試作機

  • PC側はCore i7-10710Uを搭載する15.6型4K解像度のノートPC

  • Thunderbolt 3接続の外付けGPUボックス。中にNVIDIAのQuadro RTX 4000が入っている

  • 試作機のCPUとGPU

開発中の試作機ではあるが、すでに完成度は高い様子だ。会場ではこのシステムを実際に動作させて、Adobe Premiereで8K動画を編集するというデモを披露していた。外付けGPUボックスの筐体も、dynabookのロゴがデザイン済のしっかりしたものであった。計画では、2020年の前半のうちに、dynabookブランドの新製品として米国市場で発売する予定だという。