進歩著しいIoTテクノロジーが一般住宅の分野にも普及しはじめている。それを表すキーワードが"スマートホーム"だ。複数のセンサーとAIによる空調管理、音声入力による家電設備のコントロールなど、未来の住宅として描かれてきた設備が現実化しようとしている。
東京ビッグサイト青海展示場で12月11日から13日にかけて開催された建設関係者向けの展示会「住宅・ビル・施設 Week 2019 第2回 AI・スマート住宅 EXPO」で日栄インテックは、自社がプロディースするスマートホームのライフスタイルを展示していた。鏡にタブレット機能を搭載した「スマートホームミラー」が印象的だった。同社がプロデュースするスマートホームはどのようなものか?レポートしてみよう。
配管支持金具から電子機器関連まで広く事業を展開する日栄インテックだが、2006年インフィル事業部を新設して住宅関連業に参入。LED照明や太陽光発電や植物工場事業などにも相次いで参入し、業務の多角化を図っている。現在、力を入れているのが"スマートホーム"事業だ。同社はスマートホーム事業に参入する上で、インターネットインフラに強いGMOクラウドや中国のIoT機器開発メーカー、Shenzhen Atte Smart tech Co.,LTD.(深圳市艾特智能科技有限公司/以下、Atte)と協業。それぞれの強みを生かしたトータルソリューションを設計し提供している。
今回の展示品の中でも同社が一番アピールしていた製品が「スマートホームミラー」だ。これは、Atte製でタブレットを透過率の高い鏡で挟み、鏡の上にコンテンツが浮かび上がるように設計されたもの。壁掛けタイプと鏡台タイプの二種類が展示されている。
スマートホームミラーのタブレット機能は、通常のAndroidタブレットと同じでGoogle Playからアプリをダウンロードして利用できる。そして、今回の展示ではスマートホームミラーとコラボレーションした数々のアプリが展示されていた。LINEの音声操作アプリ、AIアシスタント「Clova」を使っての音声入力システム。シーエーシーの非接触型バイタルセンシングソフトウェア「リズミル」による体調管理ソリューション、帝人のICタグを活用したRFID管理システム「レコピック」活用の化粧品ナビゲーションシステムなどだ。今後、新しいアプリが続々と開発される予定だという。
これらのIoT機器やソリューションをまとめた同社のスマートホームのイメージが下図だ。照明のオンオフ、カーテン開閉などをコントローラでまとめて管理できる。音楽や動画の再生など、住居環境に合わせて様々な設定ができる。
防犯に関しては、人感センサー、開閉センサーなどの各種センサーとスマートホームカメラにより外出先でも住宅内の異常を検知、スマートフォンで部屋内の模様を動画で確認できる。
日栄インテックがプロデュースするスマートホームは、現在、東急リバブルの賃貸マンション「リバーレ」シリーズや伊藤忠都市開発の「クレヴィア住之江公園」に導入されている。スマートホームは現在、家電やIT機器メーカー、そして日栄インテックのような建材等々多くの企業が様々な形で提供している。"近未来"と思っていた便利で夢のある居住空間が着実にすぐそこまで来ているという印象を持った。今後のこの分野の動向について目が離せない。