DJIの小型軽量ドローン「Mavic Mini」が登場してから、はや1カ月が経ちました。前回のファーストインプレッション「DJI『Mavic Mini』、ドローン専門家も驚く常識破りの性能 」に続き、今回は実際にフライトをさせての実践的なチェックを行ってみました。

  • 重量を199gに抑えたDJIの最新ドローン「Mavic Mini」。DJI直販サイトでの価格は、ベーシックな基本セットが税込4万6200円、3個のバッテリーや360度プロペラガード、2Way充電ハブ、キャリーバッグなどが付属するFly Moreコンボが税込5万9400円となっています

199gのボディは圧倒的に小さく軽い

Mavic Miniで驚かされるのは、やはり実機を初めて手にしたときです。いうまでもなく、とても軽く仕上がっています。特に、Mavic 2シリーズなどオーバー200gのドローンを使っている人は、その違いにきっと驚くはずです。

  • アームとプロペラを広げたMavic Mini。プロペラを含む大きさは245×290×55mm。写真では大きく見えますが、実際に手に取るとその小ささに驚かされます

  • 重量907gの兄貴分「Mavic 2 Pro」(右奥)と並べたところ。機体のシェイプ自体はそっくりですが、アームをたたんだ状態でもふた回りほど小さいことが分かります

改めて述べるまでもないですが、Mavic Miniの重量は199g。航空法では、200g以上のドローン(無人航空機)では人口集中地区(DID)での飛行や高度150m以上の飛行などが基本的に禁止されています(航空局への許可申請で飛行が可能なものもあります)。しかし、200g未満のMavic Miniはトイドローン(模型航空機)の扱いとなり、航空法の適用を受けません。もちろん、空港周辺の飛行やイベント上空の飛行など控える必要がありますが、200g以上のドローンよりも圧倒的に気軽に飛ばせると考えてよいでしょう。

  • 念のために重量を確認してみました。正真正銘の199gでした

  • 機体重量199gであることをアピールする機体側面のプリント。グローバル版では249gと記載されています

ちなみに、199gという重量は日本仕様独自のもので、グローバル版と呼ばれる日本以外の地域で販売されるMavic Miniは249gとなります。50gも軽量化が達成できた理由は、バッテリーに秘密があります。

公開されているスペックでは、グローバル版のバッテリー重量は100gなのに対し、日本仕様はその半分の50gしかなく、機体に装着すると199gとなるのです。もちろん、バッテリーの容量はその分小さく、公称での最大飛行時間はグローバル版が30分であるのに対し、日本仕様は18分と短くなっています。実際は、それよりも飛行時間は短くなるので、フライトの際はバッテリーの残量や飛行距離などに留意しておく必要がありそうです。グローバル版のバッテリーを装着しようと考える人も出てくるかと思いますが、DJIは推奨していないようです。

  • バッテリーカバーを開けたところ。ロック解除ボタンを押せばバッテリーが取り外せます。バッテリースロットの下部には、microUSB端子とmicroSDのスロットを備えます。バッテリーはmicroUSB経由での充電も可能

  • 容量1100mAhのバッテリーを採用。バッテリーの重量は、グローバル版バッテリーの半分となる50gに抑えられています。公称での最大飛行時間は18分となります

ジンバル付きカメラの画質はトイドローンの常識を覆す

カメラ関連では、やはり強力な3軸ジンバルの存在は語らずにはいられません。前述のとおりフライトは風の強い日でしたが、風の影響で機体が大きく揺れても、撮影した動画はとても安定していました。動画、静止画とも、3軸ジンバルの恩恵を強く受けることでしょう。

  • カメラユニットは3軸ジンバルに懸架されます。カメラは1/2.3インチのCMOSセンサーで、画素数は有効1200万画素。動画の最高画質は2.7K/30pです。レンズは35mm判換算で24mm相当、開放F2.8で絞り機構は省略されています

カメラ機能としては、動画が2.7K/30fps、静止画が1200万画素となります。動画のビットレートは40Mbpsと低く、静止画ではAEB(露出ブラケティング)機能などが省略されているのは少々残念に思えます。また、絞り機構を備えていないため、動画撮影のみならず静止画撮影でもNDフィルターが欲しく思えました。すでにサードパーティからNDフィルターはリリースされているようですが、ぜひメーカー純正もほしいところです。

  • 静止画モードの設定画面です。ドライブモードは、1カットのみ撮影するシングルとセルタイマーが選べます。画面のアスペクト比は4:3のほか16:9が選択できます

  • こちらは動画モードの設定画面。画質は2.7KとフルHDから選べます。2.7Kでは25pと30pから、フルHDでは25p、30p、50p、60pから選択できます

  • Mavic Miniで撮影した写真。軽量なドローンですが、ホバリング時の安定性が高く、静止画の撮影ではシャープな画像が得られます。1/2.3インチのイメージセンサーですが、階調再現性は良好でクリアな写りです

  • 岩肌の描写は立体感があり、緻密に再現しています。海の微妙な色の変化も見事に再現しており、不足を感じさせない写りです

  • コントラストが高くなりやすい撮影条件ですが、なめらかな階調再現で白トビや黒ツブレはさほど気になりません。画面周辺部の描写も良好です

付属のプロポ(送信機)は液晶パネルなどがないシンプルな造り。専用のフライトアプリ「DJI Fly」をインストールしたiPhoneやAndroidスマホを接続して使用します。上位モデル用アプリ「DJI GO 4」と比べるとシンプルな画面ですが、位置情報や高度、ホームポイントからの距離、バッテリー情報、電波状況など必要な情報はすべて表示されますので、安全飛行に差し支えることはありません。

  • 左はMavic Mini、右がMavic 2 Proのプロポ。Mavic Miniのプロポはディスプレイがなくシンプルです。コントロールスティックはDJIらしく取り外し式となっています

  • スマートフォンをプロポに装着したところ。専用アプリ「DJI Fly」はiPhoneとAndroidの両方に対応します

  • フライトモードは、通常の「ポジション」モードのほか、パワーのあるフライトが楽しめる「スポーツ」モードと、ゆっくりとフライトする「シネスムーズ」モードの3つを搭載しています

  • 最大高度や最大飛距離、RTH(リターン・トゥ・ホーム)時の高度の設定画面。トイドローンであるMavic Miniは、最大高度に制限はありませんが、航空機などの安全を考慮した最大高度に設定する必要があります

  • DJI Flyには、テンプレートによる自動編集機能が備わっています。動画編集の知識や経験がなくても、本格的な映像が作成できます

  • こちらはマニュアルによる動画編集機能画面。カット割りなどに加え、トランジションや音楽を付加することもできます。その場で動画を編集し、すぐにSNSにアップすることも可能です

DJI Flyは、映画のようなカメラワークが楽しめるクイックショットモードも搭載しています。モードはドローニー、ロケット、サークル、ヘリックスの4つ。作例ではサークルしか掲載していませんが、ベテランでも難しいカメラワークをドローン任せで手軽に楽しめます。

  • クイックショットの設定画面。モードは「ドローニー」「ロケット」「サークル」「ヘリックス」の4つを用意。画面左には、選択したモードの作例が表示されるのが分かりやすいと感じました

Mavic Miniで撮影した動画。きわめて安定しており、トイドローンの印象を覆すクオリティだと感じます。カメラの角度を真下などに変更できるのも、トイドローンらしからぬポイントです

DJI Flyの編集機能を利用して作成した映像。このレベルの編集なら、誰でもすぐに楽しむことが可能です

こちらは、DJI Flyの自動編集による短編映像です。音楽やトランジションも自動的に付加してくれます

クイックショットモードの「サークル」で撮影した映像。テクニック的に初心者には難しいノーズインサークルも、ドローン任せで手軽に撮影できます

ピジョンポジショニングセンサーとGPSの搭載が大きい

続いて、Mavic Miniが搭載するピジョンポジショニングセンサーとGPSの働きについても見ていきましょう。

  • 下方ピジョンポジショニングセンサー(3つの円形デバイス)を機体下部に搭載。ホバリング時の安定性の高さは、トイドローンの常識を覆すレベルです

発表会のトライアルでピジョンポジショニングセンサーの効果は実感していますが、フライトした会場は室内で風のないところでしたので、屋外で飛ばした場合はどうか気になっていました。

今回フライトした場所を持参した風速計で測ったところ、コンスタントに風速4~5m/sが出ており、時折風速6~7m/sまで風が強くなる日でしたので、その実力を試すにはある意味よい条件となりました。

Mavic Miniは、ホバリング時でも風で大きく流されてしまうことはなく、比較的安定しています。ホバリングの状態からゆっくりと移動させてみましたが、風に大きく流されて進行方向が変わってしまうことはありませんでした。スペックでは、風速8m/sまでならば問題ないようですので、それを実証したものといえます。

ただし、いくらパワーのあるブラシレスモーターを採用していても風の抵抗は小さな機体には大きいらしく、10分ぐらいのフライトでローバッテリーとなり、帰還を促すアラートが鳴り始めてしまいました。今回のように風の強い日は、多めに予備のバッテリーを準備しておく必要があるでしょう。

  • トイドローンではブラシモーターが一般的ですが、Mavic Miniではパワーのあるブラスレスモーターを採用。プロペラはネジでモーターに固定します

ドローンの機体と送信機は、microUSB経由で充電できます。充電時間は思いのほかのんびりしているので、急速充電が可能なUSB Type-Cに対応してほしかったところです。機体用のバッテリーは、機体のUSB端子からのほか、バッテリーを最大3個まで収納できる充電ハブ(こちらもマイクロUSB)からも充電は可能です。この充電ハブはモバイルバッテリーとしても使用が可能なので、ぜひそろえておきたいアクセサリーのひとつといえます。

  • バッテリーが3個収納できる2Way充電ハブ(実売価格は税込み4,300円前後)。バッテリーを収納した状態だと、モバイルバッテリーとしても使用できます

ほとんどのトイドローンでは省かれていたGPSを搭載したことで、フライト時の位置を画面上のマップに示すだけでなく、離陸した場所まで自動的に戻る「RTH」(リターントゥホーム)機能の搭載を可能にしています。こちらも実際に試したところ、正確にホームポイントまで戻ってきました。フライト時に手間をかけずに機体を戻したいときなどは、たいへん心強く思えます。なお、フライトモードが通常使用することの多い「Pモード」の場合、GPSの電波を捕捉できないと高度制限がかかりますので、Mavic Miniの電源を入れたら電波を捕捉するまで暫く待ってからフライトを開始することをオススメします。

  • プロポに備わるRTH(リターン・トゥ・ホーム)ボタン。飛行中このボタンを押すと、ホームポイントに正確に戻ってきます。GPS搭載のドローンならではの機能です。DJI Flyの画面にも同ボタンを用意しています

ベテランも満足できる「空飛ぶカメラ」

これまでのトイドローンの概念を打ち破る完成度を持つMavic Mini、ドローンの初心者からベテランまで広く楽しめると感じます。トイドローンというにはちょっと高価に思えますが、性能を考慮すると納得できる価格でしょう。愛用しているカメラと一緒に持ち歩き、空撮がしたくなったら素早くフライトし、カメラでは成し得ないアングルで撮影を楽しむ――ふだんのカメラライフをより楽しくしてくれるドローンといえます。

  • プロペラガードを装着した状態のMavic Mini。ガードを装着すると200gを超えますが、法令では基本となる機体が200g未満であれば、ガードを装着してもトイドローン扱いとなります

最後に、改めて法令について触れておきましょう。Mavic Miniは、航空法の適用除外となる重量199gの模型航空機ですが、前述のとおり空港周辺の飛行や、航空機の飛行に影響を及ぼす行為は禁止されています。人が集まるイベント上空の飛行も控える必要があるでしょう。航空法以外でのドローン規制(小型無人機等飛行禁止法、道路交通法、条例など)については、200g以上のドローンと同様に規制が及びます。そのため、飛行にあたってはこれらの法令を熟知しておく必要があるとともに、ルールやマナーも十分理解しておかねばなりません。楽しいドローンライフがいつまでも楽しめるように、くれぐれも安全なフライトを心がけてほしいと思います。