NTTドコモは「ドコモのプランについてくるAmazonプライム」を12月1日提供開始すると発表しました。文字通り、Amazonプライム(通常であれば年会費は税込4,900円)が1年間無料で利用できるというものです。対象となるのは「ギガホ」契約者ですが、スタートアップキャンペーン中につき「ギガライト」契約者も対象となります。

  • ドコモ吉澤社長「Amazonとの連携は自然な流れ」

    「ドコモのプランについてくるAmazonプライム」がスタートします。発表会では、両社の代表が連携について抱負を語りました

一体どんな内容なのか?

「ドコモのプランについてくるAmazonプライム」の対象となるのは、すでに契約中の利用者を含む「ギガホ」「ギガライト」の個人名義のユーザー、かつdポイントクラブの会員。申し込みは、ドコモの特設サイトでdアカウント認証を実施後、エントリーページから行います。現在、Amazonプライム会員であれば、会員期間の終了日が1年間延長されるとのこと。なお本特典の適用終了後、Amazonプライムの会員資格は自動的に更新され、以降はユーザーの負担になるため、延長を希望しない人は解約手続きが必要です。

  • 「ギガホ」「ギガライト」の契約者であれば、無料でAmazonプライム会員になれます

発表会に登壇したNTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏はプレゼンの冒頭、これまでのドコモとAmazonの協業について振り返りました。大きな連携となったのが、Amazonにおける支払い方法に「d払い」が対応したこと。吉澤社長は「2018年12月に対応、dポイントを利用できる場所として好評いただいています」と紹介しました。

  • Amazonで買い物をするとdポイントが貯まるように。Amazonでのd払い取扱高は、昨年同期比の2.4倍にまで急増しています

料金プランの魅力「値引きではなく付加価値で」

また、2019年6月に導入した新料金プランについても、進捗の報告がありました。契約者数は順調に伸びており、2019年12月には1,000万人を超える予想。ドコモでは“19年度末に1,700万人到達”を直近の目標に定めています。

  • 新料金プランの契約数は、間もなく1,000万人に

そのうえで「端末の値引き競争ではなく、今後は魅力的なサービスを付加することで料金プランを磨き上げていくことが必要だと考えています」と吉澤社長。そしてAmazonのサービスと連携することで、新たな価値を提供していきたい、と意気込みます。

  • NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏(左)とアマゾンジャパン合同会社 社長のジャスパー・チャン氏(右)

吉澤社長は「ドコモの料金はそのままで、Amazon様のサービスもお楽しみいただけます。ギガホ契約者だけでなく、当面の間、データ通信の利用の少ない方に向けたギガライト契約者もエントリーいただけます。ショッピングにおけるお急ぎ便や、到着日時の指定はもちろん、ビデオ、ミュージックなどのエンタメまで、Amazon様の便利な特典のすべてをご利用いただけます」とアピール。

  • 競争環境の変化が激しいモバイル業界。ドコモでは、料金プランの付加価値によって契約者数を伸ばしていく考えです

なお、Amazonの決済でd払いを利用するとdポイントを通常の5倍還元する「d払いキャンペーン」も、2019年12月1日から2020年3月31日まで実施するとのアナウンスがありました。

  • d払いキャンペーンも来年3月末まで実施。dポイントの還元額は通常の5倍に設定されています

ゲストで登壇した、アマゾンジャパンのチャン社長は「今回の取り組みを通し、ドコモの皆様にサービスをご提供できることを大変嬉しく思います。今後も、お互いのお客様により良い価値を提供できるように努力してまいります。Amazonでは今後もAmazonプライムに投資し、お客様体験の向上に努めていきます」と抱負を述べました。

ドコモ×Amazonで他社に対抗する?

発表会では、質疑応答の時間が設けられ、吉澤社長、マーケティング部長の野田浩人氏らが記者団の質問に回答しました。

ドコモではdショッピングも提供しています。Amazonとサービスが競合してしまう懸念はないのでしょうか。これについて野田氏は「dショッピングもありますが、幅広いお客様にフィットするAmazonのサービスと連携することで、お客様にさらなる価値を提供できるのではないか、と判断しました」と説明。吉澤社長も「もっと幅広い、すべての分野に渡る商品となると、Amazonさんのサービスが魅力的。ドコモの契約者にとっても、大きなメリットになる。競合ということではなく、良いところ、メリットを享受してもらえれば」と補足しました。

  • (左から)NTTドコモ プラットフォームビジネス推進部 ウォレットビジネス推進室長の田原務氏、吉澤社長、マーケティング部長の野田浩人氏

吉澤社長「Amazonとの連携は自然な流れ」

いまモバイル業界ではKDDIが楽天と組み、またソフトバンクには傘下のヤフーがあるように、キャリアとeコマースの協業が活性化しています。これを踏まえ、ドコモはAmazonと組む考えか、という質問に吉澤社長は「どこかと協業する、ということを強調しているわけではありません。ただ、d払いの決済分野で他社さんとの連携が強くなる中で、今回、このような形でAmazon様と連携したことは、ある意味で自然な流れと考えています」と答えるにとどまりました。

今回の取り組みは1年後も継続していくのか、という質問には「お客様の反応などを見ながら考えていきたい」、動画コンテンツの開発など別の分野でAmazonと連携する予定については「決まっていることがあるわけではありませんが、相互のお客様の価値を向上できることに努力していきます。決まった段階で、発表させていただければ」と回答。ちなみに年会費4,900円は、ドコモがAmazonに支払う契約になっているとのことです。

映像コンテンツがますます充実することが予想されるが、動画見放題の”ゼロレーティング”の料金プランを導入する考えはあるのか、という質問には「はい。念頭になくてはいけないかな、と思っています。ただ、いま総務省でも研究会の議論が進んでいる。ドコモでは、見放題プランをすぐに始める予定は、今のところありません。議論の状況などを見ながら検討していく。ただ、今後5G時代になるとデータの利用容量が大きくなる。使ったパケット量に比例して料金が高くなるのではお客様に許容されない。そこでやはり、アンリミテッドなどの考えも視野に入ってくる」と吉澤社長。取り組みの方向性など、5Gのローンチ前に発表することになるのでは、と話していました。