翻訳機の日本市場に中国企業が正式参入です。Langogo Technology(中国・深セン)は21日、リアルタイム音声翻訳機「Langogo」シリーズ4製品を正式発表しました。言語をリアルタイムでテキスト化する技術の開発も進めており、将来、様々な翻訳サービスと結びついていきそうです。
1ボタンで「話す」「訳す」「伝える」を翻訳
Langogoは104言語の双方向翻訳に対応したモバイル翻訳機。世界24の翻訳エンジンと連携しており、話す、訳す、伝えるの各場面で最適なAI言語サーバとつなぐことで、高速・高精度の翻訳を実現します。使い方はシンプルで、会話のやりとりをする言語を選んだら、1つのボタンを短押しして話し始めるだけ。話されている言語が自動で認識されます。
最大の特徴は、音声書き起こし機能。今回の発表会ではLangogo Technology CEOの張岩氏が話す中国語がリアルタイムで日本語に翻訳され、テキスト化され、クラウドにアップされていく様子を確認できました。スピードも速く、誤字脱字も少ない印象。Langogoは中国語から日本語への翻訳が特に強いといいますが、これには驚きました。
新製品の発表会場にあるデモ機材は、発表用にカスタマイズされていることもあるので評価が難しいところですが、もし実使用でもこのレベルのテキスト化が行われれば、セミナーや会議の文字起こし、インタビュー取材の文字起こしなどで、相当な時間とコストを節約できるでしょう。また、ゆくゆくはGoogle Glassのようなものと連携し、外国人の発言をリアルタイムで日本語字幕として目の前に表示する使い方も考えられます。
正規代理店のパルスを通じて日本市場にまず投入されるのは「Langogo Genesis」で、想定価格は2万8,000円(税別、以下同)。また「Langogo Share」と「Langogo Summit」も来年初頭に発売されます(価格は未定)。状況を見て「Langogo Minutes」も投入されるとのこと。Shareは海外出張するビジネスパーソン、または短期滞在の訪日外国人に最適で、Summitはリアルタイム翻訳のテキストを大画面に出力するミラーリング機能を搭載するなど、それぞれに特徴があります。
日本の翻訳機市場「割り込めるレベルまで行ければ」
パルス代表取締役社長の黒瀬一仙氏は「訪日外国人もお買い物によるモノ消費から、日本で体験できることを楽しむコト消費に移行しつつあります。けれど調査では、道で困っている外国人を見かけたとき、5割の日本人が『語学力に自信がないから声をかけない』と回答しているそう。外国人とより良いコミュニケーションをはかるために、今後もポータブル翻訳機の需要が伸びていくのではないでしょうか」と話し、市場規模の拡大に期待を寄せます。
そのうえで、今後の販売戦略については「ポケトークの人気はダントツです。正直に言うと、まだソースネクストさんに追いつけるレベルではない。でも割り込めるレベルまで行ければ」とトーンはやや控えめ。レンタル・販売を含めて、向こう3年間で30万台を出荷したい、と話していました。
発表会後に囲み取材に応じた張CEOにポケトークを使ったことはあるか聞いてみたところ「オフィスにいっぱいあります」と笑顔で回答が返ってきました。そして「現時点で、Langogoシリーズは中国語から日本語への翻訳機能が圧倒的に強く、そこが強みになっています。けれど、翻訳機能だけでないところも大きくアピールしていきたいですね」と話していました。