半導体市場調査会社である米IC Insightsは、他の調査会社に先駆けるかたちで2019年の半導体企業売上高ランキングトップ15社(予測)を発表した。
これは同年第3四半期までの実績値に第4四半期の予測値を組み合わせた「速報版」で、IC、非IC(O-S-D)、ファウンドリ、ファウンドリといった垣根なしのリストとなっており、その総額はファウンドリの顧客の売り上げがダブルカウントされているため、市場規模という意味では正しくはないものの、ファウンドリの規模の大きさを示すためにIC Insightsではあえてファウンドリを含む形で公表している。これについて同社は、同社の主要クライアントである半導体製造装置・材料・付帯設備メーカーが、こうしたデータをもとに、売り込み先の選定を行っているためであると説明している。
トップ15社の地域別内訳は、米国6社、欧州3社、韓国・日本・台湾それぞれが各2社となっているが、IC Insigthsではデータの継続性を重視し、東芝とキオクシア(旧 東芝メモリ)を1つの企業として集計するなど、データの集計の仕方として疑問が残る点もある。
2019年の半導体トップ15社合計額は前年比15%減
2019年の半導体企業トップ15社の売上高合計は、前年比15%減の3149億ドルとIC Insightsでは予測している。中でも、Samsung Electronics、SK Hynix、Micron Technologyの3大メモリサプライヤは、いずれもメモリバブル崩壊の影響から前年比でおよそ30%以上の減収となる見込みで、中でもSK Hynixが同38%減とトップ15中で最大のマイナス成長を記録する見通しとなっている。ちなみに首位のIntelは同0%と横ばいを維持。2位のSamsungが同29%減と自滅した形で100億ドル以上の差がつく見込みである。
イメージセンサが好調なソニーが唯一の2桁成長
2019年のトップ15社の成長率を見ると、15社中11社がマイナス成長。1社が0%の横ばい、プラス成長はわずかに3社のみという予想となっている。ソニーの子会社であるソニーセミコンダクタソリューションズだけが例外的に、同24%増の2桁成長を達成する見通しで、市場全体としてマイナス成長に落ちいった半導体業界において、いわば一人勝ちの状態となる模様だ。
同社は既存ラインのCMOSイメージセンサの増産だけでなく、まもなく長崎テクノロジーセンタ(長崎県諫早市)隣接地に新たなCMOSイメージセンサの量産工場建設工事に着工する予定で、これが稼動したあかつきには、いよいよトップ10入りも見えてくることとなる。
東芝とキオクシアを分離して集計した場合では、メモリ不況で大きく売り上げを落としたキオクシアを抜いて、日本一の半導体メーカーになるのは確実といえる規模といえるだろう。
ちなみに、IC Insightsのトップ15ランキングには専業ファウンドリ(TSMC)が含まれているが、このTSMCを除外すると、中国に本拠を置くHuaweiのファブレス子会社HiSiliconが15位にランクインする。同社もソニー同様24%増という成長率を達成する見通し(売上高は75億ドル)であるという。