イギリスの名門eスポーツチームの「FNATIC」は、日本でのビジネス展開の第一歩として、ハローキティとのコラボレーションを発表しました。それを記念して11月15日、東京・表参道においてビジネス交流会「FNATIC NIGHT」を開催。FNATICは今後、日本でどのような活動を進めていくのでしょう。FNATICディビジョン ディレクターのビクター ベングソン氏に、日本での展望について話を聞きました。

  • 会場では、FNATICロゴのあしらわれたゲーミングチェアに座るキティちゃんのイラストが。ヘッドセットを装着し、マウスとキーボードを操作しています。音はちゃんと聞こえるのでしょうか

交流会では、サンリオの辻友子取締役のあいさつでスタート。かわいらしい衣装を身にまとったキティちゃんも登場し、FNATIC『レインボーシックス シージ』部門の選手たちとのフォトセッションに続きました。

次に行われたのは「FNATICが考えるエンターテインメントの未来」をテーマにしたFNATIC CEOのサム・マシューズ氏による講演。eスポーツがいかにエンターテインメントのなかで重要な位置づけであるかを説明したうえで、日本でのローンチについても言及しました。

  • FNATICのサム・マシューズCEOと、サンリオの辻友子取締役

  • ハローキティとFNATICのチームメンバーによるフォトセッション

  • eスポーツの成長性を伝えるFNATIC CEO サム・マシューズ氏

  • サム・マシューズ氏は、ゲームがエンターテインメントのなかでもっとも消費されていると解説。金額ベースでは、音楽の約7倍、映画の約3倍となっており、ゲーム動画はNetflixを超えていると述べます

  • グローバルに展開するFNATICの活動についても紹介

日本のことを学びながら、ローカルタレントによるチーム作りを

サム・マシューズ氏の講演では、eスポーツの可能性やFNATICのブランド戦略について話はありましたが、日本での詳しい活動内容についてはあまり触れていなかったので、FNATIC ディビジョン ディレクターのビクター ベングソン氏に直接話を聞きました。

  • FNATIC ディビジョン ディレクターのビクター ベングソン氏

――日本での活動について詳しくお聞かせください。FNATICは日本のチームを新たに結成するのでしょうか。

ビクター ベングソン氏(以下ビクター):その通りです。

――選手をはじめ、コーチやアナリスト、スタッフなど、現地の日本で採用する予定でしょうか。それとも、ロンドンのチームの選手が日本を拠点に活動していくのでしょうか。

ビクター:ローカルタレント、つまり日本人や日本に住んでいる人で選出していこうと思っています。なぜなら、日本で活動するからには、日本のファンのニーズを大事にしたいから。それは、ロンドンから選手を連れてくることではないでしょう。ニーズをよく研究してからチームを作っていきたいですね。

特に、今後はモバイルからも人気の出るeスポーツタイトルが登場するでしょう。モバイルゲームの場合はプレイヤーも若く、チーム作りとしてはどのような選手、スタッフが必要か、まだわかっていない点も多いので、これから考えていきたいと思っています。

――それはどのくらいの期間で考えているのでしょうか。

ビクター:まず、予定しているのは『レインボーシックス シージ』チームの結成。2020年の1月~3月くらいから動き始めたいと思っています。それから必要なのは選手のスカウトですね。夏までには何かしらの形で皆さんに発表できればと。

いろいろな計画は立てていますが、あくまでも計画。順調にいかないかも知れませんし、短期間で日本のチームをつくって、それが簡単に成功するとも思っていません。そんなに甘いものではないですよね。インドでもかなり時間をかけてチーム作りをしました。日本でも、しっかりと現地のことを学びながら進めていきたいと思っています。

私自身、つい先日、日本に来たばかりで、名刺交換の作法もわかりませんでした。もちろん、今は勉強したので、名刺交換もできるようになりましたよ。

――FNATICはワールドワイドな知名度と人気を誇っていますが、それを日本で活かしていくことは考えているのでしょうか。

ビクター:日本でチームのお披露目ができるようになりましたら、FNATICのスター選手を呼んで、FNATICブランドとしての価値を高めたいと思っています。

また、ヨーロッパや東南アジアでも、スター選手はたくさんいます。スターになる共通の資質はわかっているので、日本で選手をスカウトするときもスターの資質を持った人を選びたいですね。

そして、日本だけにとどまらず、世界各国のFNATICを巻き込んで、それら全体を「FNATICブランド」として展開していきたいと思っています。これは私の夢なんですが、FNATICファンの子どもたちが大人になったとき、その子どもたちで1つチームができたらいいなと。

――例えば、将来的にレインボーシックス シージの大会で「FNATIC India」「FNATIC Japan」「FNATIC London」などが勢ぞろいする“ALL FNATIC”での出場は考えていますか。

ビクター:もちろんです。勝ったとき胸をバンバンと叩く仕草を、FNATICのどのチームもやると思います。

――ありがとうございました!

  • ゲーミング腕組みを披露するキティちゃんのTシャツ

話を聞いた限り、FNATICの日本展開は、海外チームが参入するというより、日本でチームをつくりながら、一緒にeスポーツシーンを盛り上げようとしている印象でした。FNATICの日本での活動が、ほかのチームや選手、関係者に大きな影響を与え、日本eスポーツの底上げや裾野の広がりに期待したいところです。