米Microsoftは11月4日 (現地時間)、AndroidとiOSに新しい「Office Mobile」アプリを提供することを明らかにし、パブリックプレビューを開始した。これまで単体で提供してきたWord、Excel、PowerPointのモバイルアプリを1つに統合、カメラを用いたキャプチャなどモバイルデバイスを活かせる機能を備える。iOS用のパブリックプレビュー版はAppleのTestFlightから、Android用はプレビューグループに参加することで試用できる。プレビュー版はスマートフォン向けのみになっているが、タブレットにも対応する予定だという。

  • 「Office Mobile」アプリ

    Word、Excel、PowerPointを1つにまとめたOffice Mobileアプリ

Word、Excel、PowerPointの3つのアプリをインストールするのに比べると、Office Mobileアプリはストレージ消費が少なく、全てのOfficeファイルを1つのアプリで管理でき、アプリ間を移動することなく効率的に作業を進められる。アイディアなどを書きとめておくメモや備忘録に使えるメモ機能「Sticky Notes」もアプリ内で利用できる。

Office Mobileは、カメラを使ったキャプチャや画像からのデータ変換をサポートする。ホワイトボードや印刷物の内容を、スキャンしたようにデータ化するOffice Lensに対応。また、画像からOfficeドキュメントへの変換も可能だ。例えば、紙の書類の内容を使う際に手で入力することなく、書類を撮影した画像から編集可能なWordファイルやExcelスプレッドシートを生成できる。PowerPointでは、スマートフォンにある写真から使いたいものを選ぶと、PowerPointがそれに合わせたデザインを提案してくれる。

  • Office Mobileのホーム画面

    最近使ったファイルやSticky Notesメモを一覧、新しいファイルを作成できるホーム画面

  • カメラを活用した機能

    紙の書類の表を撮影、画像からExcelスプレッドシートを生成

画像からのPDF作成、PDFへの署名、QRコードのスキャン、PCや近くのモバイルデバイスとのファイル共有など、モバイルデバイスでよく行う共通のアクションが1カ所にまとめられており、右下の「Actions」ペインから簡単にアクセスできる。

2011年にFacebookがMessengerの単体アプリをリリースし、2014年にはFacebookアプリからMessenger機能を削除したのに代表されるように、2010年代にモバイルアプリのアンバンドルが進められた。巨大な統合アプリよりも軽快に動くアプリを切り替えながら使った方が快適で使いやすかったからだ。Office Mobileアプリはそれに逆行するバンドル化である。

ただ、スマートフォンの処理能力やネットワーク環境の向上によって、サイズが1GBを超えるようなグラフィックス重視のゲームもスマートフォンで遊ばれるようになっており、統合アプリの動作が問題ではなくなったという変化がある。統合アプリはサービスを使いやすく、サービスに利用者がより長くとどまる傾向があり、今年4月にはFacebookアプリへのMessengerの再統合をFacebookがテストしていることが明らかになった。Office Mobileアプリの登場によってモバイルアプリが再びバンドル化に進むか、モバイルアプリの動向への影響も注目される。