米Googleは11月1日 (現地時間)、同社が米Fitbitを買収することで合意したことを発表した。スマートウォッチ、フィットネストラッカーやスマート体重計を手がけるFitbitを傘下に収めることで、成長分野であるウェアラブルやスマートヘルスにWear OSのエコシステムを浸透させる。1株あたり7.35ドルを現金で支払い、買収額は約21億ドルになる。Fitbit株主や規制当局の承認といった条件を満たせば、取り引きは2020年に完了する見通し。

Fitbitは2007年創業。バンド型のフィットネストラッカーで一時はウェアラブル市場のトップシェアを握っていた。Apple Watchの登場以降、フィットネストラッカーの機能がスマートウォッチに取り込まれるようになってシェアを落としたが、2016年にスマートウォッチメーカーのPebbleを買収してスマートウォッチ市場に本格参入。iPhoneでしか使えないApple Watchに対して、AndroidとiOSの両方をサポートするFitbitはマルチプラットフォーム対応を武器に存在感を示している。

  • Fitbitが9月に発売した「Versa 2」

    睡眠改善をサポートする新機能やAlexa対応を追加、Fitbitが9月に発売した「Versa 2」

Fitbitの設立者の1人であるJames Park氏は「Googleのリソースとグローバル規模のプラットフォームによって、Fitbitはウェアラブル分野のイノベーションを加速し、より早くスケールでき、全ての人にとって健康をよりアクセスしやすいものにします」と述べている。

AI (人口知能)の活用に注力するGoogleは、AI、ソフトウェア、ハードウェアを統合した新たなソリューションや体験の創出に取り組んでおり、今年10月に行ったMade by Googleのイベントにおいてウェアラブルやヘルスケアへの投資強化を明らかにしていた。Googleのハードウェア事業を率いるRick Osterloh氏は「Googleはここ数年、Wear OSやGoogle Fitでこの分野のパートナーとの提携を進めてきましたが、Wear OSへのさらなる投資、そしてMade by Googleのウェアラブル機器を市場に提供するチャンスがあると考えています」と述べる。10月のイベントで、Googleアシスタントに対応する完全ワイヤレスイヤホン「Pixel Buds」 (2020年発売予定)を披露。Fitbitの買収で、Fitbitチームが関わった新しいGoogleのウェアラブル機器の登場も期待できる。

  • Google Pixel Buds

    秋のMade by Googleイベントで発表したGoogleの新ウェアラブルデバイス「Pixel Buds」

Fitbitは同社にメールアドレスを登録してあるユーザーに買収に関するJemes Park氏からのメッセージを送信した。Fitbitは引き続きAndroidとiOSをサポート。また、プライバシー保護に関しても、これまでと変わらず、透明性を保ち、ユーザーがデータの扱いをコントロールできるようにする。ユーザーのデータをGoogleの広告に用いることも「ない」と明言している。