米Appleは10月28日 (現地時間)、完全ワイヤレスイヤホンの新製品「AirPods Pro」を発表した。軽量・コンパクトなインイヤー・デザインのまま、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載。"パーソナライズ"が大きな特徴になっており、あらゆる耳にフィットする新デザイン、高度なアルゴリズムとの組み合わせで、ユーザーがそれぞれに最適化された優れたリスニング体験を簡単に得られる。価格は27,800円 (税別)、10月30日に発売される。
バッテリーを内蔵した充電ケースが付属し、AirPods Proを使わない時にはケースに収納して充電できる利用スタイルはAirPodsと同じ。1回の充電で最大4.5時間のオーディオ再生が可能。充電ケースを使って充電することで最大24時間使用できる。バッテリーが完全に空になっても、5分間の充電で約1時間分のオーディオ再生時間を得られる。AirPodsに比べると、アクティブノイズキャンセリング機能を備えるAirPods Proはわずかにバッテリー動作時間が短くなった (第2世代AirPodsは1回の充電で再生最大5時間)。充電ケースはQi認証のワイヤレス充電に対応、またはLightning接続で充電する。
装着感のパーソナライズで優れた密閉性
新デザインはより流線的になり、ドライバ部分の先端にイヤーチップを備える。AirPodsは耳の形の違いに幅広く対応できるようにデザインされていたが、イヤーチップやウィングがなく「落としやすい」というユーザーが少なくなかった。AirPods Proはラージ/ミディアム/スモールの3つのサイズのイヤーチップを使って耳の形状に合うようにサイズを調整できる。さらに、柔らかいシリコン製のイヤーチップがフィット感を高める。ただ、ユーザーによっては2つのサイズが程よくフィットして、イヤーチップ選びが悩みの種になることもある。そうしたユーザーを手助けするために「イヤーチップ装着状態テスト」を用意した。耳で聞こえるサウンドレベルとAirPods Proからの出力レベルを比べて、サイズや装着の適切さをチェックし、密閉性を高めるための調整をアドバイスする。
本体サイズは30.9×21.8×24.0mm、重さは5.4g。第2世代AirPods (40.5×16.5×18.0mm、4g)より重いが、軽量・コンパクトな完全ワイヤレスイヤホンであることに変わりはない。長さが40.5mmから30.9mmに短くなっており、論争を巻き起こした耳から伸びるスティック (軸)部分が短くなって耳との一体感が増した。
また、耐汗・耐水性能を持ち、ワークアウトやアウトドアで安心して利用できるようになった。外側にあるマイクの開口部分がより大きくなってメッシュでカバーされており、強い風の中でもクリアに通話できるという。
耳の形に最適化、浸れるサウンド
アクティブノイズキャンセリングは、2つのマイクと高度なアルゴリズムでノイズを打ち消す。外側のマイクで外部の音を、内側のマイクが耳の内部の音を検出して分析し、不要な音をアンチノイズ機能で取り除いて没入感のあるリスニング体験を作り出す。左右それぞれの耳とヘッドフォンの装着感に合わせて一秒間に200回もの連続的な音信号の調整を行うそうだ。
外向きのマイクを備えたアクティブノイズキャンセリングは、外部音取り込みにも対応する。近くにいる人と会話する時、車内のアナウンスを聞きたい時など、感圧センサーを備えたスティック部分を長押しするだけで簡単にノイズキャンセリングを外部音取り込みモードに切り替えられる。周囲の音が自然に聞こえるように、外部音取り込みモード時にもノイズキャンセリングを適度に有効にしながらサウンドを調整する。
サウンド品質面では、専用に設計されたスピーカードライバが20Hzまでのパワフルで歪みのない低音と正確な中高音域を安定して生み出す。さらにアダプティブイコライゼーションがユーザーごとの最適なオーディオ環境を作り出す。同機能は、内向きのマイクがユーザーの耳で鳴るのと同じ音を聴き、ユーザーの耳の形に合わせて音楽の低音域部分と中音域部分を自動的に調整し、豊かで一貫したサウンドを実現する。また、専用のハイダイナミックレンジアンプが効率よくバッテリー動作時間を延ばしながら、ピュアでクリアなサウンドに最適化する。
こうしたスマートな機能群を司るのがApple独自のSiP(System in Package)「H1」だ。10個のオーディオコアを装備し、低レイテンシのオーディオ処理を実現。アダプティブテクノロジーで上質なサウンドを作り出しながら、リアルタイムのノイズキャンセリング、「Hey Siri」と呼びかけるだけでSiriを呼び出せるハンズフリーのSiriリクエストなどを同時に処理できる。
AirPodsと同様、ケースに入れたAirPods ProをiPhoneに近づけて簡単なステップで接続設定を完了できる。接続登録したら、同じApple IDでiCloudにサインインしている他のiPhone、iPad、Mac、Apple Watch、Apple TV、iPod touchでも利用できるようになる。