静岡の港町で生まれ育った筆者にとって釣りはわりとポピュラーなホビーだった。早朝から海に出かけ、ジェット天秤(オモリの一種)で投げ釣りをして、キスやカサゴやカワハギを釣ったもんだ。東京に住むようになってすっかり釣りはしなくなったが、あのゆったりした時間はとっても好きだった。だったら、VRがあるじゃないかということで今回はリアルな釣りが楽しめるPS VRの「Catch & Release」を紹介することにした。
「Catch & Release」の最大の魅力はとにかくリアル志向であること。両手を駆使して釣りを楽しむということもあり、プレイにはPlayStation Move モーションコントローラーが2台必須だ。PS4のコントローラーだけではプレイできない点は注意しておきたい。
なにをするにも「いちいち面倒」という楽しさ
フィールドは山の湖、プレイヤーはボートに乗った状態でスタートする。移動したければ、モーションコントローラーをオールにように動かす必要がある。いざ、釣りをスタートしたければ、釣り竿を立てて、針が手元にくるようにリールで糸の長さを調整して、船の側面においてある疑似餌をこれまたモーションコントローラーでつかんで、釣り針にひっかける。これでやっと準備は完了だ。あとは狙った場所に針を投げ込む。これがまた難しい。針を湖に投げ込むには釣り竿に見立てたモーションコントローラーを振る必要があるわけだ。そう、釣り竿がもっとも高い位置に来たタイミングでモーションコントローラーのボタンを押してリールの固定を解かなければ、針は遠くに飛んでくれない。しかも、まっすぐ振らないと針は斜めに飛んで行ってしまう。
最初はまったくもってままならない。リアルな釣りでも針を遠くに飛ばすには慣れが必要で、それがまた楽しかったりする。いちいち面倒なのも、釣りをする上での醍醐味だ。ゆったりした気分でボチボチ楽しみたい気分のときには最高のゲームと言える。
ともあれ、うまく針を飛ばせたら、あとは魚が食いついてくれるのを待つだけ。そして、魚がかかってからも一苦労だ。ガンガンにリールを巻いたところで、疑似餌だけあっさり取られてしまう。タイミングの手がかりとなるのが、竿のしなりとモーションコントローラーの振動だ。魚の泳ぎに逆らうとモーションコントローラーが激しく振動する。この状態でリールを巻くと疑似餌だけ取られて逃がしてしまう。魚の泳ぎに逆らわないようにリールを巻いていく。振動が激しくなったら糸を伸ばしたり、うまく調整していくのが釣るためのポイントと言える。
釣った魚はクーラーボックスに入れておける。クーラーボックスを閉じることで売ることができるほか、湖に戻して(魚をリリース)もお金がもらえる。そのお金で、新たな疑似餌や釣り具を買ったり、食べ物や衣装を買ったりできる。食べるにしても、これまたモーションコントローラーでリアルに掴んで口元まで運ばないければならいのが、実にリアルだ。魚がかかるのを待ちながら、ビールを飲んだり、サンドイッチを食べたりするのもちょっとしたキャンプ気分で楽しかったりする。
また、ボートにはノートが置いてあり、そこには目標が書いてある。アイテム購入であったり、指定した金額まで稼いだりといろいろだ。この達成を目指すのもいいだろう。また、ノートには釣れる魚と好みの餌(ベイト)や生息場所なども書いてありマニュアルのようなもの。さらには幻の魚まで湖にはいる。全種類制覇を熱く狙うのもアリだ。
ちなみに、プレイしている様子を見ていた嫁は「おっさんがワタワタしているようにしか見えない」とコメントしてが、まあ最初は仕掛けもうまくつけられず困惑していたのは確か。しかし、VRなら外の様子はわからない。釣りに完全没頭できるのも素晴らしいところだ。プレイしているのは自宅の居間だが、私は大自然の中にいる。マイナスイオンすら感じてしまうような没頭ぶりなのだ(もちろん錯覚だが)。派手さはないが、VRと釣りの親和性の高さがよくわかる1本と言える。