カシオ2019年秋冬・時計新製品発表会のテーマは「先進のテクノロジー、独創のCMFデザイン~Color.Material.Finish.」。今回、このテーマにもっとも即していたのは、実はOCEANUSだったといっても過言ではない。
なぜなら、CMFデザインの進化がブランドイメージの根底に影響する、そんな領域へと踏み込んでいたからだ。CMFデザインとは、カラー(Color:色)、マテリアル(Material:素材)、フィニッシュ(Finish:仕上げ)のことだ。以下、掲載した写真はすべてクリックで拡大表示。発売月はすべて予定、価格は税別。
カシオ 2019年秋冬・時計新製品発表会 | |||
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G-SHOCK カーボン・メタル |
G-SHOCK ニューカラー |
OCEANUS | PRO TREK |
EDIFICE | BABY-G | SHEEN |
青の世界を超え、OCEANUSの価値を広げるManta「OCW-S5000D」
「オシアナス・ブルー」。それは、OCEANUSにとって根源的ともいえるアイデンティティだ。青い時計といえばOCEANUSであり、店頭では「この青がキレイ」という理由で選ばれることも少なくない。しかし、定着した個性はイメージの固定化(マンネリ)という側面も持ち得るのだ。そこで今回発表されたプロダクツは、OCEANUSの新しい扉を開く表現に果敢に取り組んでいる。もっとも象徴的なモデルが、プレミアムラインであるOCEANUS Manta「OCW-S5000D-AJF」。世界限定2,000本の限定モデルだ。
わずか9.3mmという薄型ケースとその軽快な着け心地が好評の「OCW-S5000」をベースに、「OCW-S4000D」などで好評だった江戸切子のサファイアガラスベゼルを採用。制作と監修は、今回も「堀口切子」の職人、三代秀石 堀口徹氏が担う。
今回は伝統模様「千筋」(せんすじ)を縦横に刻み、人や道路が交差する都会の街を表現したという。カッティングラインにはシルバー蒸着を施して、鋭さと立体感をより際立たせた。
注目すべきは、その名が示すように琥珀色、つまり暖色系の色をイメージカラーに採用した点だ。この模様は堀口氏により「琥珀被千筋」(こはくぎせせんすじ)と命名された。ちなみに、この琥珀色には蒸着を使用。都会の夕日をイメージしており、インダイヤルにも使用されている。
「オシアナス・ブルー×モデルの個性を表す色」という手法は、おそらく今後も(特に限定モデルで)目にする機会が増えると思われるので、注目しておきたい。その他の仕様はベースモデルに準じる。価格は23万円で、10月発売。
また、OCW-S5000Dのバリエーションとして、ブラックのサファイアガラスベゼルに江戸切子のカッティングを施した「OCW-S5000DS-1AJR」が登場。
三代秀石・堀口徹氏の手で刻まれた文様は、「黒被万華様(くろぎせまんげよう)」。幅広の(彫刻刀の丸刀で彫ったような)「蒲鉾」(かまぼこ)と、鋭利な(彫刻刀の角刀で彫ったような)「菱」と呼ばれる溝を組み合わせた2種の模様を、それぞれ1時・2時位置と7時・8時位置、4時・5時位置と10時・11時位置といったベゼルの対角上に配置した。
オシアナス・ブルーはロゴマークのみ。ベゼルの黒やインダイヤルの白蝶貝、赤い秒針の主張が強い。まるで墨絵の世界に入り込んだような和の幻想的雰囲気は、今までのOCEANUSにはなかったといえるだろう。世界限定300本の希少モデルだからできるという一面もあるとはいえ、OCEANUSの新しい世界観を提示する意志が強く感じられる一本だ。その他の仕様は、ベースモデルであるOCW-S5000に準じる。価格は26万円で、10月発売。
GPS電波ソーラーモデルが漫画「宇宙兄弟」とコラボ!「OCW-G2000SB」
Bluetooth搭載GPS電波ソーラーモデル「OCW-G2000」にも、ニューモデルが登場。なんと、テレビアニメや実写映画化もされた漫画作品『宇宙兄弟』とコラボした「OCW-G2000-2AJR」だ。作者の小山宙哉氏が全面協力し、今までのOCEANUSイメージと大きく趣を異にするモデルになった。しかしながら、その価値は単なる人気作品とのタイアップという上辺的な話題に留まらず、両者に共通する「宇宙への憧れや技術開発」というテーマが核心となっている。
したがって、コラボウオッチにありがちなダイヤルへのダブルネームなど存在しない(裏ぶたには刻印されている)。カジュアルからビジネスにも使えるスポーティーな高級時計として違和感がない(いや、むしろカッコいい)仕上がりとなっている。
と同時に、オシアナス・ブルーを基調としつつ、六太や日々人たちの宇宙服を連想させるトリコロールで全体のカラーをまとめ、さらにダイヤルには、GPS衛星からの電波が降り注ぐ地球をデザイン。しかもこの地球が、実は作品中に登場するオペレーション「FMTE」(From the Moon To the Earth )のロゴからの引用で、「月から見た地球」を象っているなど、宇宙兄弟ファンは思わず頬が緩むエッセンスが十分に散りばめられているのだ。これらの落とし込みが実に上手い。
ダイヤルの図案に合わせて小山氏が描き下ろした、月から見た地球のイラスト入りスペシャルボックスが付属。その他の仕様はベースモデルに準じる。価格は25万円で、10月発売。世界限定700本。
クラシックラインのOCEANUS 15周年記念モデル「OCW-T3000C」
OCEANUSのマナーとエッセンスを大切にしながら、モバイルリンクや電波ソーラー、デュアルワールドタイムなど必要と思われる機能を凝縮した、シンプルかつスポーティーなシリーズ「Classic Line」。その代表的なモデルといえる人気の「OCW-T3000」をベースに、OCEANUSの15周年記念モデル「OCW-T3000C-2AJF」が登場。
目を引くのは、なんといっても新開発のグラデーションIPを使用したベゼル。ゴールドからバイオレット、ブルーへと無段階に変化していく色調は、時間の流れとともに変化する空を表現している。ダイヤルにもブルーとバイオレットのグラデーションが施され、ローズゴールドのインデックスが記念モデルらしい華やかさを添えている。レッドの秒針もバランスがいい。
文字で書くと何やら派手派手な印象も受けるが、実物を見るとそれほどでもなく、さりげない存在感を上品に主張する印象。このグラデーションIPも、可能性を秘めた着色技術として注目しておきたい。たとえば、レディースウオッチなどとも相性が良さそうだ。
その他の仕様はベースモデルに準じる。価格は12万円で、11月発売。世界限定700本。