IFAに出展されるヘッドホン・イヤホンのワイヤレス化は年々加速しています。ヨーロッパは夏の暑い時期が比較的短いためか、IFAが開催される9月にもなると街中はけっこう涼しくなります。実際に筆者がベルリンに滞在していた9月初旬の10日間はほぼ毎日最高気温が20度前後でかなり乾燥しており、ヘッドホン向きの気候なので、街中でヘッドホンで音楽を聴いている人を多く見かけました。
IFAの会場でも各ブランドの最新ヘッドホンは、完全ワイヤレスイヤホンに負けないぐらい人気を集めていました。今年会場で見つけた新製品の中から、日本でも発売される可能性が高い超注目モデルをご紹介します。
ゼンハイザー「MOMENTUM Wireless」
ちょっとレトロなルックスが洋の東西を問わず若い音楽ファンに人気の、ゼンハイザーMOMENTUM(モメンタム)の最新機種がIFAで発表されました。独自の上質なノイズキャンセリング機能を載せたアラウンドイヤースタイルのヘッドホンです。欧州の販売価格は399ユーロ(約47,000円)。ブラック、ホワイトの順に発売を予定しています。
ノイズキャンセリング効果は3段階から切り替えられるようになり、音楽を聴きながら外の音が取り込めるトランスペアレント・ヒアリングも搭載されています。イヤーパッドのクッションがとても柔らかく、メガネをかけたままでも優しく頭を包み込むような装着感も秀逸です。ヘッドホンを失くしてしまうことはあまりないとは思いますが、万が一に備えてMOMENTUM Wirelessの位置をスマホからトラッキングできるBTトラッカー「Tile」の機能を内蔵。コーデックはaptX/aptX LLとAAC、SBCに対応しています。
AKG「N700 M2 Wireless」
オーストリアの老舗オーディオブランド、AKG(アーカーゲー)は、現在サムスングループに加わり、スマホのGalaxyと連携しながら「音も、コミュニケーション機能にも妥協しないポータブルオーディオ」の開発に徹底して力を入れています。
今年は看板のNシリーズとYシリーズを一斉にモデルチェンジする勢いで、最新のトレンドを網羅した新製品をいくつも発売する予定ですが、N700 M2 Wirelessはプレミアムクラスのノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスヘッドホンです。ヨーロッパの販売予定価格は299ユーロ(約35,000円)です。
コンパクトでスリムに見えるイヤーカップは、頭に装着してみると柔らかなイヤーパッドのクッションが心地よく、軽快なリスニング感を満喫できるヘッドホンです。ノイズキャンセリング機能はヘッドホンの使用シーンに合わせて機内、電車の中、街中という3つのプリセットを切り替えて最適なバランスに、専用のスマホアプリで調節できます。サムスンのGalaxyシリーズと組み合わせて使う場合、ヘッドホンを近づけるだけですぐにペアリングできるMDE(Multi Device Experience)の機能が便利に使えそうです。
Skullcandy「Crusher ANC」
音楽ソースの低音部分の信号に反応して、音楽再生用とは別途設けたハプティックドライバーが振動する機能を搭載する、Skullcandyの看板シリーズ「Crusher(クラッシャー)」に、初めてアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載する新製品が発売されます。アメリカでは秋に299ドル(約32,000円)で発売予定です。
ノイズキャンセリングの信号処理回路を従来モデル(Venue)のアナログ設計から、今回のモデルからデジタル設計に変えて、機能をオンにしたときの静音性が一段と向上しています。低音に反応してブルッと震える機能も、反応する帯域を10Hz〜200Hzの範囲に広げています。本体側面フレームのスライダーを操作してバイブレーションの強弱を変更することも可能です。
さらにユーザーの音の聴こえかたに合わせて、年齢とともに聞こえにくくなる高音域を補正したり、最適なリスニングバランスに調節してくれるパーソナライゼーション機能をSkullcandyのヘッドホンとして初めて搭載しました。スウェーデンのオーディオ系スタートアップ企業「Audiodo」がソフトウェア開発のパートナーとしてSkullcandyと組み、実用性の高い機能に仕上げています。いわゆる「聴力検査」のように、静かな場所でビープ音を聴きながら行う計測は約3分前後で完了。データはヘッドホンに転送されるので、様々なスマホやオーディオプレーヤーを組み合わせて快適な音楽リスニングを楽しめます。