初めて触ったパソコンがPC-8001でした

昔、川崎市宮前区宮崎台に「NEC C&C研究所」がありました。筆者はその隣にある宮崎台小学校に通っており、社会科見学で研究所を訪れて、初めて目にしたパソコンが「PC-8001」でした。そのときはゲームを数本プレイしただけでしたが、それでも強い衝撃を受けて、お年玉とお小遣いを貯めてた数年後、シャープの「MZ-2000」を買いました。

「なんでだよ!」と筆者自身も思いますが、パソコンを自分のモノにしたいと思ったきっかけになったのが、PC-8001であることは間違いありません。

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    「PasocomMini PC-8001」。実物の1/4のサイズです

ミニチュア版の「PasocomMini PC-8001」は非売品

さて、今回レビューする「PasocomMini PC-8001」は、PC-8001(1979年発売)の外観をキートップの印字にいたるまで忠実に再現した1/4サイズのミニチュアPCです。

昭和世代のパソコンキッズ感涙必至のアイテムですが、別記事「NECのサプライズ - LAVIE Pro Mobile特別色、BASICも動くミニPC-8001、Project炎神」でお伝えした通り、残念ながら現時点では非売品。LAVIEブランドのPC購入者を対象にしたキャンペーン景品、または500台限定モデル「PC 40th Anniversary Edition Premium Package」の同梱品としてしか入手できません。

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  • このたたずまい!

非売品ですが反響が多ければ単体販売の可能性があるとのことなので、「PasocomMini PC-8001」を製作したハル研究所のTwitterアカウントに発売を熱望するメッセージを送りましょう!

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    PC-8001のカラーデザインをオマージュした特別モデルの「LAVIE Pro Mobile」も郷愁そそる魅力的なマシンです!

外観はキートップひとつひとつの印字まで再現、色は記憶と合致

PasocomMini PC-8001の外観から細かく見ていきましょう。最初に手に持ったとき、とにかく驚かされるのが非常に精密な作りです。右上の「Personal Computer PC-8001」というロゴだけでなく、キートップひとつひとつの印字まで再現されています。

色については、ワタシがPC-8001の実機を見たのは約40年も昔のことで、PC-8001誕生40周年記者会見で見た実機も変色していたので、正直正しい色なのかは確信が持てませんが、少なくとも記憶の色とは合致しています。

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    PC-8001の実機とディスプレイ、カセットテープ装置(データの保存と読込に使用)。写真の左下に、PasocomMini PC-8001があります

つぎは中身。本体ケースはマグネットで固定されているだけなので、本体後部から開くだけで上のケースを簡単にパカッと外せるのですが、なかにはシングルボードコンピューター「Raspberry Pi Zero W」が入っていました。

前述の通り、PasocomMini PC-8001は、PC-8001実機の1/4のサイズですが、Raspberry Pi Zero Wはさらに小さくて、その中身はスッカスカなんですよね。PC-8001よりはるかに高性能なミニチュア版コンピューターが、こんなにコンパクトに作れてしまうのですから、40年の技術の進化は本当に驚くべきものです。

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    本物のPC-8001のパッケージデザインを再現。ただし側面の「NEC」のロゴが省略されています

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    パッケージ内には、PasocomMini PC-8001本体、microSDメモリーカード、SDカードアダプター、シール、取扱説明書が同梱されています

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    本体表面。キーボードの刻印までていねいに再現されています

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    本体裏面。穴からは「Raspberry Pi Zero W」の文字が記された基板が見えます。無線LAN、Bluetooth機能に対応したRaspberry Pi Zero Wが搭載されているわけです

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    本体正面と背面。背面左側の電源端子、電源スイッチ、リセットボタンはダミー。実際の端子は映像出力(miniHDMI)、microUSB×2が用意されています

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    本体右側面と左側面にはなにもありません

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    ケースはマグネットで固定されているだけなので簡単に取り外せます。Raspberry Pi Zero Wの基板は、PasocomMini PC-8001のミニチュアボディよりさらに小さいので、PC-8001の発売から40年という技術の進化が恐ろしくさえ感じます

小型端子を採用しているためアダプター類が必須

セットアップは特に難しくありません。注意点としては、基板にRaspberry Pi Zero Wを採用していることから、一般的なHDMIケーブルやUSBキーボードはそのまま挿せないこと。外部ディスプレイに接続するためには、片側がminiHDMIのHDMIケーブル(またはアダプター)、USBキーボードと接続するためにUSB変換アダプターが必須です。あとは電源供給用に、5V1.5A以上のUSB ACアダプターが必要となります。

ちなみに、500台限定モデル「PC 40th Anniversary Edition Premium Package」にはUSBキーボード、HDMIケーブル、USB変換アダプター、USBケーブル(電源供給用)が同梱されていますが、PasocomMini PC-8001を単体でゲットした場合は、アダプター類を用意することを忘れずに。USB ACアダプターはスマホ用の多くがそのまま使えます。

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    上面ケースは後部から開けることで簡単に取り外せます

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    同梱されているmicroSDメモリーカードをスロットに装着します

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    PasocomMini PC-8001に用意されているインタフェースは、miniHDMI、microUSB×2だけです。外部ディスプレイに接続するために、片側がminiHDMIのHDMIケーブル(またはアダプター)と、USBキーボードと接続するためにUSB変換アダプターが必須です

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    アダプター経由でディスプレイとキーボードをつないでから、USB ACアダプターを接続すれば、「PasocomMini PC-8001 version 1.0 (C)2019 HAL Laboratory,Inc.」の文字が表示されたあと、「NEC PC-8001 BASIC Ver 1.1」が立ち上がります

PasocomMini PC-8001でできること

PasocomMini PC-8001で何ができるのかというと、基本的にはPC-8001の実機でできたこと全部です。PasocomMini PC-8001には、PC-8001のハードウェアエミュレーターが搭載されており、その上でソフトウェアがそのまま実行されています。

実際、起動画面には「NEC PC-8001 BASIC Ver 1.1 Copyright 1979 (C) by Microsoft」とクレジットが現れ、PC-8001が搭載していたホンモノのBASICが動きます。それどころか、マシン語も入力、実行可能です。

つまり、自分でプログラムを組むこともできるし、当時の雑誌・書籍に掲載されていたプログラムリストを入手すれば、そのまま実行可能なわけですね。

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    起動画面には「NEC PC-8001 BASIC Ver 1.1 Copyright 1979 (C) by Microsoft」とクレジットが

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    プログラムというにはおこがましいですが、カンタンなBASICプログラムを実行してみました

PC-8001のBASICやマシン語を完全に再現できるといっても、いまの時代にプログラムを1文字ずつ入力するのは相当な苦行です。というわけで、PasocomMini PC-8001には懐かしのゲームが16本収録されています。ラインナップは「平安京エイリアン」、「JUPITER LANDER」、「モールアタック」、「LUNAR CITY SOS!!」、「SNAKE WORLD」、「ASTEROID BELT」、「SPACE MOUSE」、「SPACE SHIP」、「SUB-MARINE」、「MARINE BELT」、「CHECK P.」、「PARACHUTE」、「PC-ジャン!」、「ROCKET BOMB」、「走れ!スカイライン」、「オリオン80」と、なかなかの充実っぷり。

当時、これらのゲームで遊んだ人たちは、思い出が蘇るタイトルばかりで感涙間違いなし。PC-8001の存在すら知らなかった方々も、シンプルなゲーム性に意外とハマるかもしれません。

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    当時のPC-8001用のオリジナルゲームがそのまま収録されています

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    エイリアンが通りそうな場所に穴を掘り、エイリアンが落ちたらすかさず埋めて倒すゲーム「平安京エイリアン」

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    限られた燃料で難易度の異なる場所に着陸する「JUPITER LANDER」

microSDメモリーカードをほかのRaspberry Piに入れてみました

同梱のmicroSDメモリーカードをほかのRaspberry Pi Zero Wに入れてみたのですが、数秒ほどBASICの起動画面が表示されたのち、自動的にシャットダウン……。

改めて説明書を読んでみたら「付属のmicroSDカードに書き込まれているソフトウェアは、PasocomMini PC-8001専用であり、他のRaspberry Piでは動作しません」と記載されていました。ハル研究所自身が販売していた「PasocomMini MZ-80C」と同様に、プロテクトがかかっているわけです。

PasocomMiniの公式サイトで専用のバックアップ・リストアツールが公開されているので、PasocomMini PC-8001を入手したら真っ先にmicroSDメモリーカードをバックアップして、複製したほうを使用しましょう。

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    PasocomMini PC-8001同梱のmicroSDメモリーカードをほかのRaspberry Pi Zero Wに入れると、BASICの起動画面が表示されます

ハル研究所から一般販売されることを強く期待!

2016年に「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」が発売されてから現在にいたるまで、ミニ&クラシックブームが続いており、9月19日には「メガドライブ ミニ」、2020年3月19日には「PCエンジン mini」が発売されます。これらはミニチュアとしてもかわいいですし、しかも実際に動かせるのですから、かつて実際に使っていた人、ほしかったけど入手できなかった人には、非常に魅力的なアイテムでしょう。

今回のPasocomMini PC-8001は、パーソナルコンピュータの市場を切り開いた記念碑的存在の1つ、PC-8001がベースであり、ミニ&クラシック製品のなかでも特に入手したい人が多いはず。現時点で非売品なのが本当に残念です。NECパーソナルコンピュータのキャンペーンが終わった段階で、ハル研究所から一般販売されることを強く期待したいと思います。

  • ひときわコンパクトで所有欲をそそるPasocomMini PC-8001。これを一般販売しなかったら、意地悪にもほどがありますよ!