キャッシュバックキャンペーンの効果もあり、好調な売れ行きを見せるニコンのフルサイズミラーレス「Z」シリーズ。交換レンズは、先日発表した中望遠レンズ「NIKKOR Z 85mm f/1.8 S」を含めて6本をリリースしていますが、もっともワイドとなるのが超広角ズームレンズ「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」です。ミラーレスの特性を生かした軽量コンパクトな設計の14-30mmを高画素モデル「Z 7」に装着し、来年にオリンピックを控える東京都心部をブラブラと撮り歩きました。
超広角ズームながらコンパクトな設計
14-30mmの特徴は、超ワイドの14mmから30mmというレンジをカバーしながら軽量コンパクトに仕上がっているという点でしょう。しかも、レンズは沈胴方式を採用しているため、使わない沈胴時は約85mm、撮影時でも約112.9mm(ワイド端)というサイズに抑えています。収納、携行、撮影時にフォトグラファーの負担を大きく軽減してくれる設計といえます。
光学性能も抜かりはありません。EDレンズ4枚、非球面レンズ4枚を採用し、周辺部においても絞り開放から高い解像力を見せてくれます。また、超広角レンズはゆがみが出てしまうものですが、14mmのワイド端でも直線が気持ちよく真っすぐに写ってくれます。点光源などの点像も崩れることがなく、美しく再現してくれます。風景や建築撮影など、あらゆる被写体に向いているという印象を持ちました。
レンズ本体は防塵防滴に配慮した設計になっており、各所にシーリングが施されているので、ネイチャーやワイルドライフなど過酷な環境でも安心して撮影に臨めるでしょう。レンズには、ナノクリスタルコートとフッ素コートが施され、防汚性能も備わっています。超広角レンズは、前玉にホコリや水滴などが付くと写り込んでしまうケースが多いので、心強い装備といえます。
前玉がいわゆる「出目金レンズ」ではないところも、特筆すべき点といえます。風景撮影ではNDフィルターや偏光フィルターなどを多用しますが、本レンズは前玉が出っ張っていないので、汎用性のある円形フィルターが使えます。
携行性、描写性能、タフネスさを高いレベルで備えた14-30mm。このレンズがあると、撮影の幅が大いに広がりそうです。
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オリンピック/パラリンピックの会場の1つとなる東京国際フォーラムを訪れました。ここのガラス棟は美しい建築なので、カメラを持った外国人観光客でいつもにぎわっています。14mmという超広角なので、その姿を広大に写し取れました。グッと絞り込むと、中心部から周辺部までディテール豊かに再現できました(14mm、ISO400、1/30秒、F10.0、+0.3補正)
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東京駅のドームがあるコンコースを撮影しました。このような屋内こそ超ワイドレンズの出番です。14-30mmのようなズームレンズならば、自分のポジションを変えることなく好みの構図決定が可能。鈍い光を反射する柱の質感から、独特なパターンの床、鳥よけネットまで、しっかりと描いてくれました(14mm、ISO800、1/50秒、F5.6、-0.7補正)
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14-30mmは、直線が本当に気持ちよく真っすぐに写ります。東京駅の駅舎を撮ったカットですが、背景のガラス張りのビルまでビシッと写っています(14mm、ISO1600、1/640秒、F8.0、+0.3補正)
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超広角ズームレンズは、このような場所でとても重宝します。14-30mmのズームリングは適度な重さで、フォトグラファーの意図通りにビシッとフレーミング可能なので、撮影にストレスは感じません(21mm、ISO1600、1/60秒、F4.0、-0.7補正)
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14-30mmは沈胴方式を採用しているので、コンパクトに携行できます。いいシーンに出会ったら、右手人差し指でシャッター同軸の電源スイッチをONにしつつ、ズームリングをやや力を入れて回すだけで撮影体勢に入れます。実にクイック(14mm、ISO1600、1/200秒、F4.0、+0.7補正)
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多くの外国人観光客でごった返していた銀座。ぽっかりと人がいなくなった瞬間を狙って、気になっている高級スポーツカーを写してみました。14-30mmは、艶めかしいボディを質感豊かに捉えてくれました(14mm、ISO1600、1/2000秒、F4.0、+0.7補正)
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暮れなずむ銀座4丁目交差点をワイド端の14mmで狙うと、こんな感じになります。F4の絞り開放でしたが、画面の隅々までしっかりと像を結んでくれました。点光源のイヤなにじみも少なく、色乗りも良好に感じます(14mm、ISO1600、1/125秒、F4.0)