ボーズから8月22日に新しいスマートスピーカー「Bose Home Speaker 300」(以下:BHS300)が発売されます。「見よ! これが老舗オーディオブランドがつくるスマートスピーカーだ」と言わんばかりに、完成度の高いサウンドを実現、充実した機能を搭載するBHS300のインプレッションをいち早く紹介したいと思います。

  • Bose Home Speaker 300

    ボーズ最先端のオーディオ技術を載せたスマートスピーカー「Bose Home Speaker 300」

BHS300は、2018年秋に発売されたボーズ初のスマートスピーカー「Bose Home Speaker 500」(以下:BHS500)をひとまわりほど小さくした弟機です。直販価格は32,400円で、兄貴分であるBHS500の50,760円と比べるとかなりお手ごろになっています。

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    右が今回取り上げる「Bose Home Speaker 300」。左は2018年秋に発売されたスマートスピーカー「Bose Home Speaker 500」で、再生している楽曲のカバーアートなどの情報が表示できるディスプレイが搭載されています

本体の高さは約16cm。上から見るとカタチは楕円形。兄弟機ともに六本木ヒルズのようなデザインが印象的ですが、BHS300は高さ、足もとの占有面積ともにかなり抑えて、どこにでも置きやすくなっています。アルミを主体としたきょう体のBHS500は重さが約2.1kgありましたが、アルミと樹脂のハイブリッドきょう体で軽くなったBHS300は900g。移動もラクラクです。

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    BHS300を手に持ったところ

BHS500には液晶画面が搭載されており、再生中楽曲のカバーアートや曲名などの情報を表示できましたが、BHS300ではこれを省略して小型化を優先しています。BHS500は電源を本体に内蔵しており、BHS300はACアダプターとして外に出して小型化を徹底しています。ACアダプターはそれほど大柄でもないので置き場所に困ることはないと思います。

天面には6基のマイクアレイシステムが内蔵されています。どの角度から話しかけても正確にボイスコマンドに反応します。ボイスコマンドを受付けて認識処理中、応答中にフロントのライトバーが淡く光るイルミネーションがキレイです。ただ、少し離れたところからだと点灯が見づらいこともあります。

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    Bose Home Speaker 300の天面。音声+タッチ+アプリによる操作に対応しています

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    音声コマンドを認識するとフロントのLEDが白く点灯します

BHS300はきょう体をコンパクトにするため、内部のスピーカーユニットをBHS500よりも減らしてフルレンジユニット1基としています。ユニットを下向きに配置して、音響デフレクターに音を当てて360度方向に拡散させます。滑らかで均一なバランスの良い音です。ボーカルやラジオの声も聴きやすいです。さらにボーズ独自の小さなきょう体で低音を強化する音響ポートデザイン「QuietPortテクノロジー」による力強い低音も持ち味です。音楽再生のインプレッションはあとでまた少し触れたいと思います。

音声アシスタントはAmazon Alexa、またはGoogleアシスタントが選べます。コンパニオンアプリ「Bose Music」から初期セットアップの際にどちらかをアクティベートさせて使う仕様ですが、後で変えることもできるので、とりあえずスマートホームの司令塔としてBHS300を購入して、後から購入したスマート家電やIoT機器に合わせてメインの音声アシスタントを設定するという使い方もアリだと思います。

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    コンパニオンアプリ「Bose Music」の画面

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    音声アシスタントはAmazon Alexa、またはGoogleアシスタントが選べます

「Bose Music」は多機能ですが、悩まずシンプルに操作ができるアプリです。長年ボーズのネットワークスピーカー「SoundTouch」シリーズを使ってきた筆者から見ると、SoundTouchのころからスピーカー用アプリの使い勝手をブラッシュアップしてきた成果がここに来て花開いたように思います。

画面上段のグローバルメニューからホーム画面や、Amazon Music、インターネットラジオのTuneIn、AirPlay(iOS版のみ)、Bluetoothや3.5mmミニの外部音声入力など、BHS300にとっての「音楽ソース」を選択します。アップルのAirPlay 2に対応しているところがiPhone/iPadのユーザーにとって魅力的です。

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    コンパニオンアプリの「Bose Music」を使って再生するソースの選択、機能設定を行います(左)。Bose Musicアプリに対応するボーズの製品が登録されます(中央)。音声アシスタントにAlexaを選択すると、Amazon Musicの音声操作が可能になります(左)

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    iOSデバイスと組み合わせればBose Musicから、またはiOSのミュージックアプリなどからAirPlayによる音楽ソースのキャスティングができるようになります

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    インターネットラジオのTuneInにも対応しています

グローバルメニューの下に並んでいる「プリセット」は、最大6つのスロットによく聴く音楽ソースをプリセットしておけるという機能で、Amazon Musicのプレイリストやアーティスト、インターネットラジオのステーションなどを割り当てておくとアプリから、または天面のタッチパネルコントローラーに触れてすぐにお気に入りのソースにアクセスできて便利です。筆者は仕事中にインターネットラジオを聴く時に重宝しています。SoundTouchシリーズにも搭載されている便利な機能で、もちろん兄貴分のスマートスピーカーBHS500にもあります。

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    TuneInラジオのお気に入りのステーションをプリセットに登録しておくと便利。ステーションを再生中、任意のスロット番号を長押しします

ほかにもよく使いそうなアプリの機能に「オーディオ設定」があります。低音と高音を±10段階で増減できる機能です。音楽を好みに合わせてカスタマイズしたい時に有効な機能ですが、夜中にBHS300で音楽を聴く時に低音が響きすぎると感じたら、低音を減らすと少し静かに鳴らせます。

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    アプリから音楽再生の高音・低音のバランスを変更できます

Google/Alexaを選んで音声操作。複数スピーカー連携も

音声アシスタントを内蔵するスマートスピーカーとしてはGoogleアシスタントとAlexaが自由に選べたり、豊富な音楽ソースへの対応、リスニングに便利なプリセット機能の搭載など、Bose Home Speakerシリーズは独自性の豊かな製品であると言えそうです。

Google HomeやNestシリーズ、あるいはAmazonのEchoシリーズと同じ宅内のWi-Fiにつないで互いに連携させて使うこともできます。例えばBHS300に「ダイニング」という名前を付けて、Echo Spotに向かって「ダイニングでSpotifyからマイケル・ジャクソンの音楽をかけて」と話しかけて操作することができました。反対方向の操作も可能です。

ただし、“本家”のスマートスピーカーと一部使い勝手が違うところもあります。例えばAmazon Echoシリーズの場合は最近Apple Musicの音声操作にも対応しましたが、ボーズのBHSシリーズはApple MusicはAirPlay再生が基本になります。Googleアシスタントについては現在ニュースの読み上げやルーティン機能、Chromecastへの対応がまだできていませんが、将来はソフトウェアの更新による対応が予定されているそうです。

このほか、複数のスピーカーによるグループ再生は、音声アシスタントを搭載するサウンドバーの「Bose Soundbar」シリーズとの連携が推奨されています。なお、同じWi-Fi接続に対応しているボーズのSoundTouchシリーズとの連携には非対応です。

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    AirPlay 2対応のiOSデバイスでは、複数の対応スピーカーとのグループ再生が可能です(左)。Bose MusicアプリからBose Home Speakerシリーズのグルーピングを指定して、同じ音楽を別々の部屋で鳴らすこともできます(中央・右)

今回はAlexaをメインにBHS300の音声操作を試してみましたが、コマンドへの反応はEchoシリーズよりも少しゆっくりめではあるものの、十分に速くて正確でした。ソニーのテレビ「BRAVIA」シリーズのAlexa対応モデルでは、電源のオン/オフ操作もできます。

AmazonとGoogleは今年、ディスプレイ付きスマートスピーカーの新製品による対決で熱い火花を散らしています。ボーズのBHS300は画面を搭載していないこともあり、「落ち着いてじっくりと“いい音”で音楽を聴く」ことを主目的として、たまに音声アシスタントを活用したいというユーザーにも最適なワイヤレススピーカーであると言えそうです。

BHS300はどんな音がするのでしょうか? 音楽を再生してみた手応えを兄貴分のBHS500と比べながら紹介します。