Armは7月16日(英国時間)、半導体設計用のテクノロジーの利用とライセンスに関する提供形態を拡大すること目的に、新たな提供モデル「Arm Flexible Access (アーム・フレキシブルアクセス)」を発表した。
これにより、同社の半導体設計資産(IP)を活用する企業のSoC設計チームは、少額の利用料を支払うだけでArm IPのライセンスを取得する前からプロジェクトを開始できるようになり、生産段階に進んだ場合にのみ、利用分に対してのみライセンス料の支払いが発生することとなる(出荷個数に応じたロイヤリティは別途発生)。Armでは、IPを活用する企業は今後、半導体設計における試作や評価、イノベーションの追求に、より自由に専念できるようになると説明しており、既存パートナーのみならず、システムプロバイダーやOEM、スタートアップ企業などの新規参入企業にとっても、半導体設計の機会が増大されることになるとする。
対象となるテクノロジーには、Arm Cortex-A/R/MファミリやArm TrustZoneおよびCryptoCellのセキュリティIP、Mali GPUのようなSoC設計に欠かせない主要なIPが多く含まれているほか、SoC設計や初期のソフトウェア開発用の各種ツールおよびモデル、さらには、Armのグローバルなサポートとトレーニングサービスも含まれており、ライセンス契約前に複数のIPブロックを評価し、プロトタイプを作成することが容易に行えるようになる。そのため、ArmのIPプロダクトグループ プレジデントであるRene Haas氏は、「Arm Flexible Accessは、やがて到来する1兆個のデバイスがセキュアにつながる世界がもたらす機会に、企業が対応できるよう開発されました。前払いでのライセンス取得より前にArmの半導体設計資産に制約なくアクセスできることで、既存のパートナーおよび新規参入企業は、IoTや機械学習、自動運転、5Gといった分野で新たな成長機会を活用できます」と、これから拡がるであろう半導体社会に向けて求められる取り組みであるとしている。
なお、すでに複数の半ファブレスメーカーなどが、Arm Flexible Accessに契約し、Armの広範なIP製品、サポートツールおよびトレーニングへのアクセスを手にしているとArmでは説明しているが、その一方で、最先端のIPやArmの全プロダクトラインアップへのアクセスが必要なパートナーにとっては、従来同様、通常のライセンスモデルが最適であるとも説明している。