マウスコンピューターの新規モバイルノートPC、「m-Book X400シリーズ」がデビューした。

14型ノートでありながら約1.13kgと軽量で、持ち運びで気にならない薄型のボディを実現するために、部材に軽くて丈夫なマグネシウム合金を採用するなどした意欲作だ。同社らしくコストパフォーマンスも高い。この新製品の実機が手に入ったので、まずは撮って出しのファーストインプレッションからお届けしたい。

  • m-Book X400シリーズの実機を入手。けっこう軽くて薄いぞ

スペックのバランスが良い

14型クラスのノートPCといえば、モバイルをうたっていてもけっこう重かったりして、それではと軽量に振ると、今度は価格が上がったり処理性能が犠牲になったりと、どこかをあきらめて選ばざるを得ないことが多い。そんな14型クラスに今回のm-Book X400シリーズは、なかなか“しっくりくる”スペックのバランスの良さが目立つのだ。ざっと紹介しておくと、

  • CPUは第8世代Intel Core(Whiskey Lakeベース)のi5-8265Uまたはi7-8565U
  • ディスプレイはナローベゼル仕様でスペース効率に優れた14型IPSのフルHD
  • ストレージは従来型のSSDより大幅に高速なMVMe SSDを搭載も可能
  • 重量は十分軽量な1.13kgで、さらに厚みも17.5mmと薄く抑えた
  • 1日中使える14時間超のバッテリー動作時間(ついでにACアダプタも小型軽量)

というもので、買った後、使い始めてから気づくような不満は少ないのではないかと思う。

  • 正面から。ナローベゼル仕様で画面が大きい

  • こちらは後ろ姿

  • 有線LANポートは使用時に口が開く機構

  • 左右合わせてHDMI×1、USB2.0×1、USB3.0×3(×1はType-C)、LAN、ヘッドフォン。無線はIEEE802.11 ac/a/b/g/nとBluetooth

  • ACアダプタがコンパクトなのも地味にうれしい

ほかにもキーボードを新設計したなど見どころは多いが、筆者的に特に評価したいのは価格設定。単純に、コストパフォーマンスが高い。最小構成モデルで税別92,800円から、CPUをCore i7にしても税別119,800円だ。

  • キーピッチ大きめのキーボード

  • 独特のキートップ形状。打鍵感はかなりしっかりある

製品のラインナップは、エントリークラス相当で最も安価な「m-Book X400SE」、ベーシッククラス相当で中間の「m-Book X400S」、スタンダードクラス相当で上位の「m-Book X400H」、ならびにX400HのSSD強化版「m-Book X400HS」だ。

■表 m-Book X400シリーズのラインナップ
クラス エントリー ベーシック スタンダード
モデル X400SE X400S X400H X400HS
OS Win10Home(S) Win10Home
CPU Core i5-8265U Core i7-8565U
メモリ 8GB PC4-19200
M.2SSD 128GB 256GB 256GB NVMe
画面 14型 フルHD ノングレア (1,920×1,080/LED)
サイズ 約W320.2×D214.5×H17.5mm
重量 約1.13kg
バッテリ 約14.5時間(容量46.74Wh)

m-Book X400SEはOSがWindows 10 (Sモード)であることに留意。また、m-Book X400Sは94,800円(税別)で販売中だが、これは台数限定のキャンペーン価格で、限定終了後は99,800円(税別)からとなるので、気になる人は早めに検討しよう。

実機パフォーマンスはまさに必要十分

Windows OSが標準で搭載しているパフォーマンス計測ツール「WinSAT」のスコアは下図の通りだ。今回の試用機はスタンダードクラスの「m-Book X400H」で、CPUはCore i7-8565U、ストレージは通常のM.2 SSDとなっている。正直、新しめのゲームを快適な環境で遊びたいという人でもなければ、CPU性能もストレージ性能も不足を感じる場面は少ないだろう。

  • WinSATのスコア

  • 試用機はCore i7-8565U搭載のX400H

  • 本体重量の実測は1.109kgと公称より少し軽い

  • ついでにACアダプタ(ケーブル込)の実測は230gぴったり

といったところで、ファーストインプレッションはここまで。追って詳しいレビュー記事をお届けする予定だ。

軽量モバイル参入、後発だからこだわったポイント

X400シリーズの開発コンセプトについては、マウスコンピューターの開発本部でこの製品の企画に携わった今村究氏にお話を伺ったこともある。BTOを強みとしてきた同社は、薄型軽量のモバイルノートという製品ジャンルにおいては後発の挑戦者という立場だ。そこで勝負していくために、開発当初から「スペックと価格の両立」は大きな命題だったのだそうだ。

面白いのは開発過程における試作機の重量設計の推移。最初期の990gからはじまり、1.05kg → 1.25kg → 1.13kgと、本採用となったマグネシウム合金を含む部材や、目標スペックの変遷を経て、最終的に1.13kgへと落ち着いた。ちなみにACアダプタの重量も、最初期は380gだったのが、製品版では230gに改良されている。

  • X400シリーズの開発で課題となったポイント。試作機の重量推移が、重くなったり軽くなったりで目を引く。その理由など改めて取材してみたいものだ

ところでマウスの開発本部、実は軽量化への挑戦を終えたわけではなく、今回のX400シリーズを端緒とした同社軽量モバイルの将来機として、1kg切り製品への取り組みを続けているそうだ。このあたりの今後の動向にも注目だろう。

  • マウスコンピューターが開発している最中のノートPC。Kaby Lake-Gプロセッサや、ADMプラットフォームの「赤いノートPC」などが明らかにされている。「赤」ということで色々と妄想が膨らむ。自作市場では第3世代Ryzenが絶好調のAMDだが、こういうところでも勢いを感じる

  • ちょっとした余談だが、マウスコンピューターの「細かすぎて伝わらない取組」を2つほど。同社のPCに限らず、こういう部分に目を向けてPCを眺めるのも楽しい