今回はAppleの定額制音楽配信サービス「Apple Music」の上手な楽しみ方を紹介します。「iPhoneユーザーなら、音楽配信はやっぱりApple Music」なのでしょうか? ほかのサービスとの違いについても触れながら検証してみたいと思います。

  • iPhone、Apple WatchにAirPodsとの連携にもすぐれるApple Musicの実力を検証します

Apple Musicとは

Apple Musicは2015年7月1日の深夜に開始されてから、まもなく丸4年を迎える音楽配信サービスです。2019年現在でアーカイブされている聴き放題の楽曲数は約5,000万曲に上ります。

Spotifyの4,000万曲より多く、Amazon Musicの6,500万曲よりは少ないという数字ですが、邦楽やロック・ポップス・ジャズなどを中心に聴く筆者はにとっては、Spotifyとだいたい互角と感じています。一般的なヒットナンバーは押さえつつ、新曲の先行配信などで特色を打ち出しています。

対応するプラットフォームはiOSの「ミュージック」アプリのほか、Mac/Windowsの「iTunes」、Androidの「Apple Music」アプリ、オートモーティブ向けのCarPlayがあります。ほかにもAppleのApple Watch、Apple TVからでもApple Musicは楽しめます。

  • iPhone/iOS版のApple Music(写真左)と、Android版Apple Music(写真右)。インタフェースを共通化して使い勝手をそろえています

月額料金は980円。3カ月の無料体験期間あり

月額料金は個人向けが980円、ファミリープラン(6人)が1,480円、学割料金は480円となります。無料トライアルとして設けられている期間は3カ月。2019年1月末から、auのユーザーはApple Musicを6カ月間試せるようになりました。

  • Apple Musicは通常3ヶ月のトライアル期間が設けられています

iPhoneやMacなど複数デバイスで音楽ライブラリを同期可能

Apple Musicを始める際は、Apple IDでサインインしてからiCloudミュージックライブラリを有効にすると、同じApple IDで登録されているデバイスやiTunesアプリで、自分の音楽ライブラリを常に最新の状態で楽しめるようになります。ユーザーが都度自身でデバイスごとに内容を同期する必要がありません。

iTunesストアから購入した楽曲もApple Musicのユーザーライブラリとして登録され、ユーザーのApple IDに結びついている各端末で聴くことができるのが特長です。

  • Apple Musicの登録時にレコメンド機能の初期設定を行います。好きな音楽ジャンルやアーティストの名前をフワフワと浮かぶバブルアイコンから選択。好きなアーティストはなかなか表示されないので、この時点では適当に選択しておいてもOKです

  • Apple Musicの「ライブラリ」の画面。お気に入りの音楽がここに集まっていきます

  • Apple Musicの「ライブラリ」の画面。お気に入りの音楽がここに集まっていきます

  • iTunesのApple Music。モバイル版とインタフェースをそろえています

iTunesで買った曲とCDから取り込んだ曲を一緒に楽しめる

Apple Musicを始める前の段階で、「ミュージック」のアプリ内にCDからリッピング(取り込み)した音楽ファイルが保存されていた場合、Apple Musicに初めて登録したときに楽曲が認識されて、Apple Musicのライブラリ上の曲とマッチングされます。

もし手元のコレクションがApple Musicにない楽曲だった場合、Mac/WindowsのiTunesから曲のコピーをiCloudミュージックライブラリにアップすると、ユーザーのApple IDに結びついている各端末で聴けるようになります。ミュージックライブラリにはApple Musicに元からある楽曲、iTunes Storeから購入した楽曲を除いて、最大10万曲までアップできます。

Apple Musicでダウンロードした楽曲は、ミュージック以外の音楽プレーヤーアプリからアクセスして聴くことはできません。Apple Musicを解約すると、ライブラリに登録していた楽曲や、アーティストの情報が端末から消えてしまいます。Apple MusicにはSpotifyのような無料のまま楽しめるサービスがありません。

iPhoneやApple Watchとの連携が便利

Apple Musicの特徴は大きく2点あります。ひとつはやはりAIアシスタントのSiriを中心として、iPhoneやApple Watch、AirPodsなどのApple製デバイスと強力な連携を実現していることです。

iPhone+AirPodsの組み合わせでApple Musicを楽しむときに、楽曲の検索・再生はHey Siriを使うと便利です。新しいAirPodsは本体をタップしなくてもハンズフリーでSiriが起動できるので、さらにスムーズな楽曲検索・再生ができるようになっています。

  • Hey Siriによる楽曲検索が可能。楽曲やプレイリスト名で検索できます

Apple WatchもGPS+Cellularモデルなら単独でミュージックアプリによるApple Musicの音楽ストリーミングが楽しめます。Hey Siriによる楽曲、プレイリストなどの音声検索・再生に対応しているので、ジョギングやジムでスポーツをするときにiPhoneを持たずに出かけられます。

iPhoneでSiriを使わずに文字入力で検索する場合は、ミュージックアプリの画面下のメニューに並ぶ「検索」から行うのが最もシンプルです。話題の楽曲との出会いが広がる「トレンド検索」も活用しましょう。そして最近では歌詞による検索も可能になりました。

  • 「検索」を選択。フリーキーワードやトレンドワードによって流行のアーティストや作品を探せる検索機能もあり

  • 歌詞による検索も可能になりました。邦楽は漢字、カタカナがある程度外れていても大丈夫。洋楽は歌詞情報が提供されていない作品も多いので、アーティストやタイトル検索の方が楽だと思います

例えば「なんとなくジャズが聴きたい」ときなど、音楽ジャンルでざっくりと検索したい場合は「見つける」のメニューに入って、真ん中あたりまでスクロールすると「ジャンル/ムード/ランキング」などの条件で気になる楽曲を俯瞰した視点から探せます。

  • 聴きたい曲をジャンル単位で何となく探したい時には「見つける」から入って、中頃までスクロールするとジャンルやムードで検索が可能になります

ついつい聞きたくなるレコメンド機能が充実

もうひとつの特徴は充実したレコメンド機能を搭載していることです。ミュージックアプリを開いて、画面下に並んでいるメニューから「見つける」を選択すると、Appleの専任エディターが選曲したハンドキュレーションによる「エディターのお気に入り」をはじめ、知らなかったミュージシャンでもついつい聞きたくなるプレイリストがずらりと並んでいます。

  • Appleの専任エディターがハンドキュレーションによって旬なおすすめ作品をレコメンドするプレイリストなど、音楽を深掘りして聴きたくなる仕掛けが各所に凝らされています

気に入った楽曲を再生中に「ライブラリに追加」「プレイリストに追加」、または「ハートマーク=ラブ」を選択すると、Apple Musicならではのメニュー「For You」に独自のレコメンドエンジンが選んだアーティストの楽曲、プレイリストなどが自動追加されます。

  • 自動レコメンドで集まってくる楽曲は「For You」の中に。使い込むほどに精度がアップします

  • 「Radio」のタブには音楽系インターネットラジオのステーションもあります。Apple独自の放送「Beats 1」ステーションもここから聴けます

音楽を聴けば聴くほどに、そして楽曲にラブを付けたり、ライブラリに追加するほどユーザーの好みを学習してFor Youの中にため込んでくれます。サービスが始まってから4年間のあいだに、Apple Musicの機械レコメンドエンジンは着実に力を付けて、かなり賢くなっています。筆者もApple Musicを使うたびにそれを実感します。

Apple Musicの音質は? バランスのよいサウンド

Apple Musicで配信されている楽曲の音質については、詳細が明らかにされていませんが、iTunesで販売されている楽曲のクオリティと同じ256kbpsであると言われています。SpotifyやAmazon Musicのようにストリーミングの音質(=消費するデータ容量)をユーザーが設定できる項目は「設定」アプリの中、「ミュージック」アプリのメニュー内にあるので少し離れています。

  • 「ミュージック」アプリの設定画面。iCloudミュージックライブラリをオンにするとApple Musicの各機能が使えるようになります。モバイルデータ通信をオンにして、さらにメニューに入っていくと、モバイルデータ通信による高品質ストリーミングを許可するかどうかを決定できます

こちらで「モバイルデータ通信」を「オン」にすると、Wi-Fiにつながずにモバイル通信環境でもApple Musicによるストリーミング再生が楽しめるようになります。

さらに「モバイルデータ通信」をタップすると、ストリーミングの音質が選べる項目があり「高品質ストリーミング」をオンにすると、データ容量を贅沢に使って高品位な音楽再生を優先します。Wi-Fiにつないでいないときにデータ通信の容量を低く抑えたいという方は、こちらをオンにしないように注意してください。

Wi-Fiに接続して、ストリーミング再生の音質をAmazon Music、Spotifyと比べてみました。iPhoneに同じイヤホンをつないで、今回も課題曲としてMISIAの『恋は終わらないずっと…』を再生しました。

  • Apple Musicと他の音楽配信サービスを聴き比べてみました

Apple Musicも音のバランスや音場の描き方にむやみな強調感がなく、素直で聴きやすいサウンドです。ボーカルのディティールのニュアンス、楽器の音色を自然と引き出してくれるし、音像は膨らみすぎずタイトに引き締まっています。

比べるとAmazon Musicは余韻の響きや、音の張り出し方が少し強めだと思います。Spotifyに比べるとApple Musicは、音圧が高くボーカルが明朗です。屋外で再生する際に聴きやすく感じました。Apple MusicやSpotifyの方が長時間リスニングに向いています。

通信容量が気になるときはダウンロードしよう

通勤・通学時に特にお気に入りの楽曲をヘビロテ再生したいという場合、楽曲リストの右端などに表示される雲の形をしたアイコンをタップすると端末にダウンロードされます。

  • アルバム、楽曲のページから「…」アイコンをタップするとダウンロード、ライブラリへの追加、共有などのメニュー画面が表示されます

ダウンロードした楽曲は、ミュージックアプリの下側メニューの「ライブラリ」内に「ダウンロード済み」のアーカイブとしてストックされます。

街中で気になった曲はShazamで調べて連携

気に入った楽曲は「共有」メニューを選択して、AirDropにメールやLINEでリンクを送ることができます。

街中でふと耳に飛び込んできて気になった楽曲は、Shazamを使って検索。iTunesにタイトルがあればそのまま「iTunesで購入」を選択すると、画面のトップにApple Musicで「聴く」ためのアイコンが表示されるので、さらにこちらをタップすると、気になった楽曲をライブラリに登録して何度も聴けます。

  • Shazamアプリで気になった音楽を音声検索。iTunesで購入からApple Musicに登録しているとライブラリへの追加が可能です

  • 楽曲の共有画面。AirDropやメール、メッセージでの共有が可能

海外でも制限なく聞ける

筆者は先日取材のためスペインを訪れた際、現地でApple Musicを立ち上げて、ライブラリに保存したお気に入りの楽曲を聴いてみましたが、海外でも問題なく使うことができました。ただし短い滞在期間中にひとつの国でしか試していないので、もしも複数の国をまたがって長期滞在した場合などには条件が変わってくるかもしれません。

iPhoneやMacとの組み合わせはやっぱり使いやすい

iPhoneを中心としたMacにApple Watch、AirPodsなどAppleのデバイス同士によるエコシステムにはApple Musicが完全にフィットしていて、とても使いやすい音楽配信サービスです。

流行りのスマートスピーカー連携がどうなのか気になるところですが、いまのところ日本国内では、Appleのスマートスピーカーである「HomePods」が販売されていなかったり、Apple Musicのサービスを統合している他社のスマートスピーカーもまだ現れていません。

2018年秋に日本でも発売された米SONOS(ソノス)の「Sonos One」はApple Musicをビルトインしている数少ないワイヤレススピーカーです。

iPhoneやiPadがあれば、ミュージックアプリで選んだ楽曲をAirPlay 2/AirPlay経由で対応するオーディオ機器やApple TVなどにホームネットワーク経由でキャストして聴くこともできます。

また、2019年はソニーのブラビアやLGエレクトロニクスのスマートテレビにも一部AirPlay 2対応のモデルが発売されるので、Apple Musicをイヤホンやヘッドホン以外の機器でも楽しめるリスニング環境は今後ますます広がるものと期待してよさそうです。

  • ソニーの2019年モデルのブラビア、Andoid TV搭載機はAirPlay 2対応になります

  • マランツのネットワークCDプレーヤー「M-CR612」などAirPlay 2対応のオーディオ製品も数多くあります

Apple Musicはトライアル期間が3カ月と長く試せるサービスなので、音楽配信サービスは初心者という方、そして他社のサービスから乗り換えを検討している方も試してみる価値がありそうです。