今回はAmazonの定額制音楽配信サービスに注目してみたいと思います。ふたつの音楽配信サービスを持つAmazon。Prime MusicとAmazon Music Unlimitedの違いについても解説します。

Amazonといえば最近、会員向け特典サービス「Amazonプライム」の年額固定料金を3,900円から4,900円(いずれも税込)に値上げしたことが話題になりました。筆者もプライム会員としてこのサービスを利用していますが、無料の配送特典と定額制動画配信の「Prime Video」をもはや手放せないので、値上げも致し方なしと受け入れました。

  • Amazonプライムでは、Prime Videoをはじめとするさまざまな特典が用意されています

Prime MusicとAmazon Music Unlimitedの違いは?

Amazonプライムのメニューの中に音楽配信の「Prime Music」があることをご存知でしたか? プライム会員は無料で約100万曲以上の楽曲が「聴き放題」で楽しめるサービスです。

  • Prime MusicはPrime会員なら誰でも利用できるサービス。無料で約100万曲以上の楽曲が「聴き放題」

先日レポートしたSpotifyには約4,000万曲、Apple Musicには約5,000万曲の音楽アーカイブがあるのに、「Prime Music」の約100万曲はいかにも貧弱に思えてしまいます。でも実はAmazonにはもう1つの「本丸」とも言える音楽配信サービス「Amazon Music Unlimited」があるのです。

  • Amazon Music Unlimitedは、Amazonが提供するもう1つの音楽配信サービス。6,500万曲以上の楽曲が楽しめます

位置付けとしてはPrime Musicがプライム会員価格の中で気軽に楽しめる音楽配信サービスであるならば、Amazon Music Unlimited(以下:Amazon Music Unlimited)はさらに音楽をガッツリと聴きたいヘビーユーザー向けの上位サービスです。

どちらも広告非表示で、楽曲の検索、アルバムやプレイリストが曲順通りに再生できますが、大きな違いは楽曲数です。

Amazon Music Unlimitedにアーカイブされている楽曲の数は約6,500万曲。しっかり探してみると、確かに他社の音楽配信サービスでは見つからないアーティストや楽曲に、洋楽・邦楽ともに巡り合えます。

Amazon Music Unlimitedはプライム会員なら値引きもあり

Amazon Music Unlimitedの月額料金は個人向けが980円、ファミリープラン(6人)が1,480円(年間利用は14,800円/年額)。本稿執筆時点で学割プランは設けられていません。

プライム会員の場合は月額780円と少しお得になり、さらに年間利用を選ぶと7,800円で聴き放題になります。なおプライム会員に加入しなくてもAmazon Music Unlimited単体で利用可能です。

  • Amazon Musicの料金体系。プライム会員ならさらにお得に楽しめます

Amazon Music Unlimitedには30日間の無料トライアルがあります。30日が過ぎると自動的に課金契約に移行してしまうので、とりあえず試してみるつもりという方は要注意です。

アメリカではAmazon Musicが広告表示付きながら無料で楽しめるSpotifyのようなフリープランもスタートしたようです。日本に上陸するのか、今後の動向に注目しましょう。

Amazon MusicアプリはスマホやPC、Fire TV Stickでも利用できる

Amazon Music Unlimitedはアプリ化されていて、モバイルはiOSとAndroid、Fireタブレット、デスクトップはWindowsとMac、その他Fire TV Stickにも対応しています。今回はiPhone Xを用意してiOS版モバイルアプリ「Amazon Music」の使い方を例としてご紹介します。

  • iOS版のAmazon Musicアプリ

アプリのホーム画面はトップに現在レコメンド中の新曲、アーティスト、プレイリストのバナーが切り替わりながら表示されます。

  • Mac版のアプリ。Windows、Android、iOSにFireタブレットなど対応するプラットフォームが幅広いことも特徴です

Amazon Music Unlimitedから先行配信される楽曲も時々見つかります。邦楽プレイリスト「Tokyo Crossing」は、日本で旬な音楽やアーティストを世界に発信するために2018年末からスタートした新たな試みです。日本国外からでもストリーミング再生ができる旬な邦楽がずらりと揃います。

  • 日本のAmazon Musicが提供するオリジナルのプレイリスト「Tokyo Crossing」。活きの良い日本のアーティスト、楽曲を世界に向けて配信しています

  • 「ロック」のプレイリスト。カバーアートの画像が大きくゆったりとしていて見やすいのは良いことなのですが、空白のスペースが広いのでスマホの場合は縦スクロールが長くなってしまいます

  • Amazon Music UnlimitedオリジナルサービスのSIDE BY SIDE。アーティストが楽曲の合間にアルバムに収録されている楽曲を解説するコメンタリーが楽しめます

Amazonで購入した楽曲もアプリから聴ける

「Amazonで購入済みの曲を自動ダウンロード」の機能をオンにすると、Amazon.co.jpのダウンロード販売形式で提供されている音源を、Amazon Musicアプリから聴けるようになります。アニソン系の楽曲などはAmazon Music Unlimitedのアーカイブにもない場合が多いので便利です。

  • Amazonで購入済みのMP3ファイルもアカウントにひも付けてAmazon Musicアプリにダウンロードして楽しめます

お気に入りの楽曲を集めてプレイリストを作成する手順もスムーズ。メールやLINEを使ってシェアもできます。

  • プレーヤー画面右上の「…」アイコンをタップするとプレイリストへの追加、楽曲のシェアなどメニューが現れます

  • プレイリストは自分で新規作成が可能です

  • 追加も簡単にできます

  • 楽曲リストには再生回数の多い人気のタイトルのバロメーターが表示されます

  • Amazon Musicのエキスパートが選曲したプレイリストもホーム画面から探せます

Amazon Musicアプリには必要な機能が一通りそろっていて使い勝手も悪くはないのですが、バナーや文字のサイズをもう少し工夫して縦方向の表示を圧縮できれば、スクロールの手数が減らせてもっと使いやすくなりそうです。これからさらに改善されることを期待しましょう。

  • ユーザーの好みの楽曲をマシーンラーニングにより学習、レコメンドする機能を搭載

  • 楽曲を端末に一次キャッシュしてオフライン再生で楽しめる機能も完備

Amazon Musicの音質は? Spotifyと比べてみた

ストリーミング再生の音質をSpotifyと比較してみました。それぞれのサービスで音質設定を最高レベルに切り替えてWi-Fiに接続。iPhoneに同じイヤホンをつないで、課題曲としてMISIAの『恋は終わらないずっと…』を再生しました。

  • ストリーミング再生の音質は高・中・低の3段階から選択

ホーム画面の右上にある「…」アイコンをタップして「設定」を開くと、スマホに楽曲を一時キャッシュできる機能のストレージ上限や、ストリーミング再生の音質が「自動/高/中/低」から選べる機能が並びます。

環境をそろえて聴き比べると、Spotifyの方が聴感上のバランスがナチュラルで、中高域のディティールによりフォーカスが定まります。Amazon Music Unlimitedは中低域が厚く、iPhoneのボリューム設定を揃えて聴いてみても中低域の音圧が一段と前に出てくる感じがあります。

ボーカルの伸びやかさと抑揚感、息遣いの繊細なニュアンスにズームインできる解像度の高さ、そしてアコースティックギターやパーカッションの余韻のリッチな再現力はSpotifyの方が一枚上手であるように感じました。

Alexaを使って声でも操作可能

Amazon Musicアプリでは、約6,500万曲のアーカイブ、あるいは膨大な数のプレイリストをAIアシスタント「Alexa」を使って検索、再生操作ができます。

  • 楽曲再生時のプレーヤー画面。下側中央の青いサークルをタップするとAlexaが起動します

  • Alexaが起動中の画面。画面の下にEchoやFire TV Stickのユーザーにはお馴染みの青い帯が表示されます

アプリの画面下、中央にある青色のサークルをタップするとAlexaが起動するので、スマホのマイクに向かって探したいアーティストや楽曲を声で指定します。精度はなかなか良好。テキスト打ちが面倒なときに役立ちます。

  • プレーヤー画面右下のアイコンをタップするとEchoシリーズのスピーカーやAlexaに対応する連携可能な機器のリストが表示されます

  • Amazon Echoシリーズとの連携も完璧。スクリーン付きのEcho Spot、Echo Showだとさらに楽しいです

Amazon Echoシリーズとの連携が便利

また、Amazon Musicアプリは、Echoデバイス、Fire TV StickなどAmazonのオーディオ・ビジュアル機器とスムーズに連携する点も特徴といえます。

モバイルアプリで音楽再生を始めて、画面からホームネットワーク上にあるEchoデバイス、またはグループ再生環境を指定するだけで心地よいスピーカーサウンドが楽しめます。

  • Amazon Musicのストリーミング再生に対応するスマートデバイスは続々と増えています

  • 設定画面はこちら。Alexaハンズフリーモードの設定やダウンロード(一次キャッシュ)機能の設定はこちらから行います

Echoシリーズの音が非力に感じられる方は、最近発売されたAmazonのネットワークオーディオ対応アンプ「Echo Link」や「Echo Link Amp」に、好みのスピーカーを組み合わせてオーディオシステムを構築しても良いでしょう。

Google HomeのようなGoogleアシスタントを搭載するスマートスピーカーについては、Android OS版のAmazon Musicアプリから、ホームネットワーク経由でストリーミング再生ができます。一方、iOS版のAmazon Musicアプリでは、EchoスピーカーやAlexa内蔵のイヤホン・ヘッドホン、オーディオ機器へのストリーミングに限られます。

Spotifyの場合はiOSとAndroid OS、どちらのアプリを使った場合でもEchoスピーカーでSpotifyの音楽再生がコントロールできるので、早く使い勝手をそろえてほしいところです。

Echoシリーズのユーザー向けプランも

Amazonのスマートスピーカー「Echo」シリーズのユーザーのために、1台のEchoにつきAmazon Music Unlimitedのサービスが月額380円で利用できるEchoプランも用意されています。安くて手軽な感じもしますが、申し込んだEchoスピーカーでしか使えないのが難点。

もしスマホとEcho、その他のデバイスでもAmazon Music Unlimitedを使いたい場合は、同時にログインできる端末は1台に限られますが、通常の個人向けプランを利用することをおすすめします。

約6,500万の楽曲数が魅力。Echoユーザーなら便利に使える

Amazonのプライム会員ならPrime Musicで雰囲気をつかんでから、Amazon Music Unlimitedの無料30日トライアルと合わせて2段階トライアルで試せます。しっかりと使い込んでみてから本格的な利用を検討できるチャンスがあります。

プライム会員向けの特別価格である月額780円は他の聴き放題の音楽配信サービスのメジャーどころよりも安価に利用できるところも魅力的です。

AmazonのEchoデバイスを持っているユーザーであれば、ホームネットワーク連携が充実しているので便利に使えると思います。Alexaを内蔵するイヤホンやヘッドホンなど、ポータブルオーディオ機器からでも音声操作による検索・再生が使えるプラットフォームが今後さらに広がりそうです。

スマートオーディオと相性のよい音楽配信サービスとして、これからの進化には要注目です。現在他社のサービスを使っている方も、約6,500万曲の「アーカイブ力の差」がどれほどのものか、トライアル期間中に確認して乗り換えを検討してみてもよいかもしれません。