Micron Technology(マイクロンテクノロジー)は6月11日、同社広島工場で建設を進めていた新製造棟(B2棟)の竣工記念式典を開催。併せて、新棟の同社での役割や、今後の技術ロードマップを公開した。

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    記念式典における鏡開きの様子。中央の樽酒を割る一番左がMicron Technology,Executive Vice President, Global OperationsのManish Bhatia氏、一番右が同President and CEOのSanjay Mehrotra氏

B2棟は、同社が進めるDRAMのプロセス微細化を具現化する役割を担う「マイクロン先端技術DRAMセンター・オブ・エクセレンス(COE)」という位置づけで、本社のある米国ボイジーの研究開発COEで生み出された先端プロセスDRAMの生産技術を実際の量産ラインに落とし込むための先行試作ラインという役割ならびに、先端DRAMの研究開発拠点としての役割も担う同社の一大先端DRAM研究開発拠点となる。同社プレジデント兼CEOのサンジェイ・メロートラ氏は、「DRAMの開発、生産が一か所に集約された広島工場は、グループ全体のグローバル戦略を遂行するにあたってカギとなる拠点。今後のマイクロンの先端DRAMプロセス開発の拠点となる」と説明する。

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    広島工場は同社の先端DRAM開発拠点という位置づけ

また、なぜ日本にそうした拠点を設けたのか、という理由について同氏は、「日本には自動車や電機、産業機器など魅力的な企業が多い。また、半導体製造装置や材料などのメーカーも多く存在している。そうした市場への柔軟な対応を図ることができることに加え、パートナーシップの強化も図れるという意味あいがあり、こうした投資を行っていくことで、日本の産業発展に貢献できるものと考えている」と市場としての魅力があるだけでなく、パートナー企業も多く存在する地域であることを強調した。

こうした魅力的な地域であることも踏まえ、同社は今回の記念式典の開催に併せて広島大学に15万ドルの寄付を行うことを発表。2018年にも同額の寄付を行っており、こうした寄付金は、ナノデバイス・バイオ融合科学研究所の設備拡充や女性研究者への支援、高校生への大学レベルの研究体験提供などに活用されていく予定だという。また、今後3年間で500名の新卒エンジニアを中心とした採用も行っていくとする。

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    マイクロンは日本では広島工場でのDRAM生産および日本法人の本社機能のほかに、相模原(橋本)に製品設計チームも設置している

2019年末には1Z世代の生産を開始

B2棟は4階建てで、クリーンルームは3階部分に設置(残りのフロアは工場を稼働させるための各種ファシリティ)。広さは約7200m2で、はじめに生産されるのは20nm未満における第2世代プロセスとなる1Ynmプロセス。同プロセス自体は、広島工場では2018年より立ち上げが行われていたが、B2棟の竣工により、ボリューム生産が可能となった。1Ynm品は、下期にかけて生産数量の増加が図られていくほか、年末には第3世代プロセスとなる1Znmプロセスの立ち上げも行われる予定で、いずれも低消費電力DRAMであるLPDDR4を中心に適用されていく見通し。歩留まりの向上に併せて、同工場で培われたプロセスを台湾の工場へと適用し、大規模量産展開を図ることが計画されている。

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    マイクロン広島工場に新しく建設されたB2棟。ここが同社の先端DRAMの開発および生産の最前線拠点となる

また、同社は1Znmプロセス世代以降としても1αnm、1βnm、1γnmと微細化を進めていくことを明らかにしており、1α、1βnmプロセスに対応予定のF棟も一部だが広島工場内にて建設が開始されるなど、引き続き日本地域への投資を行っていくとしており、その額もこれまでの投資を含め、累計で数十億ドルにおよぶとしている。

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  • B2棟クリーンルームでのDRAM生産の様子。全自動で搬送装置(FOUP)が動き、工程に応じてウェハが自動的に160台の半導体製造装置に投入され処理が行われていく (画像提供:マイクロンテクノロジー)

F棟の具体的な竣工時期などについては、同社の投資計画のフェーズ2に位置づけられており(B2棟の竣工までがフェーズ1)、クリーンルームの立ち上げ時期などについては、まだはっきりとは決まっておらず、今後の技術的な進展や需給バランスの状況などを踏まえて、投資の判断を行っていくとしている。

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  • 1Ynm世代以降のロードマップ。1Znm世代は従来プロセスよりもより低消費電力性能が向上する見通し

なお、同社はすでに1βnmプロセスまでは少なくともDRAM生産にはEUVの適用はコスト的なメリットがないため、引き続き調査は続けていくものの、量産プロセスへの適用は必要ないとの判断を示しており、コスト的に量産における有効性が判断できるまでは現状のArF液浸露光による製造を行っていくとしている。

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    広島工場における技術的なスケジュール。1Zα世代以降は、市場の状況を見ながら立ち上げを進めていく予定としている