Microsoftは米国時間2019年5月6日から3日間、開発者向けの年次イベント「Build 2019」を米シアトルで開催。基調講演となるVision Keynoteで同社CEOのSatya Nadella氏は、「(自社が掲げるミッションを支える)プラットフォームや好機を提供するMicrosoft Azure、プロセスの自動化を可能にするDynamics 365、パワープラットフォームであるMicrosoft 365、そしてゲーミングと4つのプラットフォームについて語る」と切り出す。そのMicrosoft Azureは25のメジャーアップデートが加わり、南アフリカを含めると世界54リージョンまで拡大した。
デモンストレーションでは、Azure Blockchain Serviceを活用したDeep Brewを披露。機械学習を用いて消費者へ商品購入の助言など行う。スマートフォンで商品を撮影すると、商品情報や食べ物の風味といった説明が映し出される。顧客体験の向上や、消費者行動の取得などを目的としているようだ。
次のデモンストレーションはConversation Transcription。人間の認知機能をデジタルで再現するAzure Cognitive Servicesの新機能として加わったものだが、会話をリアルタイムで書き起こすことで、会議の効率促進などを目指している。動画を視聴する限りでは、Node.js、C++、C#といったコンピューター用語も認識し、なかなか興味深い。
Dynamics 365の話は割愛するが、Microsoft 365のフェーズでNadella氏は、Microsoft Search、MyAnalytics、Cortanaなどを経由してデータ収集したMicrosoft Graphを通じて、Windows 10やMicrosoft Office、Microsoft Edge、Microsoft Teamsに機能として提供していくことを表明した。また、Microsoft EdgeにInternet Explorer互換機能を実装することも発表している。
Microsoft HoloLens 2とMicrosoft Teamsの連携もユニークなデモンストレーションだった。Microsoft TeamsのSpatialタブから3Dルームにアクセスし、遠方のアバターとMicrosoft HoloLens 2を装着した人間同士が、音声会話や仮想オブジェクトを用いた情報交換や共同作業を行える。
最後は、冒頭でNadella氏が述べたようにゲーミングの話題。ただゲームが主体ではなく、XboxやMicrosoft Azure PlayFabが主役だった。Microsoftは2018年1月にクラウドゲームのバックエンドサービスを提供するPlayFabを買収しているが、MicrosoftによればPlayFabプレーヤー数は10億人を突破したという。
興味深いのはNadella氏が降壇した後に流されたビデオ。少女が手にしたスマートフォンには「Minecraft」のキャラクターが映し出され、AR版マイクラの登場を匂わせた。なお、今回はBuild 2019における新発表をまとめたPDF「Book of News」が用意されているので、興味をお持ちの方はご一読することをおすすめしたい。
阿久津良和(Cactus)