立命館大学とアドソル日進は4月22日、連携してIoTセキュリティ分野における共同研究を推進していくことで合意したと発表した。
両者は2018年より組込機器向けマルチコア制御システムの実現に向けて共同研究を進めているが、今回の取り組みはその延長線上に位置するもので、既存の情報システムやIoTの発展と、それに伴うサイバーセキュリティに対するリスクの増大に対抗することを目指した取り組みという位置づけとなっている。
特に、社会インフラのIoT化にともなうセキュリティ対策が急務となっている一方で、そのシステムの安全性に対する評価基準が確立されておらず、何を持って安全であるか、といった根幹の部分から定義していく必要が求められており、アドソル日進と協力して、そうした基礎の技術の確立と、社会に向けた提言を行っていくとする。
具体的には、アドソル日進の支援を受ける形で立命館大学が産学連携の拠点となる「IoTセキュリティ研究センター(仮称)」を早ければ夏前に設立し、社会インフラにおけるIoTセキュリティ技術の研究開発を進めていくこととしている。同センターでは、アドソル日進以外の企業の研究者などの参加も募りコンソーシアムを立ち上げるなどしていくことで、業界全体を通した知識の共有を図る場を目指すとしている。
アドソル日進はLynx Software TechnologiesのリアルタイムOS(RTOS)「LynxOS」の販売代理店として国内での同OSの販売を行ってきた。同RTOSは、ハイパーバイザ上で複数のLynxOSを走らせ、サンドボックスのような環境を経てデータのやり取りを行うといったことができるため、これを活用して、社会インフラIoT(SIIoT)で求められるセキュアなシステム領域とそうでない領域といったことの構築ができることから、共同研究では、そうした技術をベースに、インターネットから分離するシステム領域にはどのようなものが必要で、どうやって守ればよいのか、といった安全に対する基準の確立などを目指していくとしている。
同大 情報理工学部 情報理工学科の上原哲太郎 教授は、「コンソーシアムを立ち上げ、会員企業を募っていく中で、アドソル日進との研究という枠組みを超えて、業界的に認められる安全基準に対する仕組みを作れるかが、組織としての1つの目標になると考えている」と同センターを通じての研究活動の目標を説明。アドソル日進との研究開発を進めていく一方で、より多くのIoTセキュリティに関連する企業などへの参加を呼びかけ、産業分野でのより広範なIoTの活用に結び付けたいとしていた。