ドライブレコーダーの最新トレンドと選び方

お盆休みや年末年始は、帰省や行楽などで多くの人がクルマを利用することもあり、普段よりも交通事故が増える傾向にあります。自身が安全運転を心がけていたとしても、無理な割り込みをするクルマと事故になりかけた、あおり運転など危険な車に遭遇したなど、危うい場面に遭遇するかもしれません。

  • 多くの人が出かける連休や週末。渋滞のイライラや無理な車線変更がトラブルの原因になることも多い

    多くの人が出かける連休や週末。渋滞のイライラや無理な車線変更がトラブルの原因になることも多い

そんな時に活躍するのがドライブレコーダー(ドラレコ)。運悪く事故やトラブルに遭遇しても、ドライブレコーダーがあればその状況が映像として記録できます。もし、自分に不利な状況に陥ったとしても、その映像があるおかげで状況が変わるかもしれません。

そこで、ドライブレコーダーの最新トレンドや選び方、達人がおすすめする最新モデルをご紹介します。今からでも遅くはありませんよ!

  • 万が一のトラブルに備え、運転時の状況が映像として残るドライブレコーダー。いまや、ハンドルを握るドライバーにとって必須のアイテムといえる

前後撮影タイプや全天球タイプがトレンド

調査会社GfKジャパンが発表した報告書「2018年 ドライブレコーダーの販売動向」によると、2018年のドライブレコーダー国内販売台数は、前年より28%増の139万台になりました。同報告書によると、最近は高機能モデルが特に売れているそう。後方から車間距離を極端に詰める、威嚇するように蛇行するといった「あおり運転」への対策のため、前後の状況を同時に撮影できるドライブレコーダーの人気が特に高まっているとしています。

  • GfKジャパンが発表した「2018年のドライブレコーダー販売動向」より。ドライブレコーダーの販売台数は右肩上がりで伸びており、2018年はついに140万台に迫るほどに

  • 同じくGfKジャパンの「2018年のドライブレコーダー販売動向」より、前後カメラ搭載モデルの数量構成比のグラフ。2017年はわずか1%ほどだったが、2018年は18%にまで大きく伸張した

カメラが前方に1つあるだけの一般的なドライブレコーダーでは、後方からの追突事故や煽り運転などは撮影できません。前後を同時に撮影できるドライブレコーダーならば、2つのカメラで前後を同時に撮影できます。前方用カメラと一体になった本体部で後方用カメラの撮影や記録を制御するため、使い勝手は一般的なドライブレコーダーとほぼ一緒。ただ、ケーブルで本体部と接続する後方用カメラをリアウインドウに設置する都合上、取り付けには手間がかかります。

  • 最近は、前後のカメラがセットになったドライブレコーダーが人気。写真は、JVCケンウッドの「DRV-MR740」(実売価格は税込み32,800円前後)

  • 後方が撮影できると、社会問題化しつつあるあおり運転への対策となる

最近特に注目が高まっているのが、全方位カメラを搭載するドライブレコーダー。車の前方や後方だけでなく、左右の状況や車内の様子までも同時に撮影できるのが特徴です。通常のドライブレコーダーよりもかなり高価ですが、意欲的な価格の製品も登場し始めています。

  • ドン・キホーテのオリジナルブランド「情熱価格PLUS」で販売する「DVR360K97-BK」は、税別12,800円で購入できる全方位撮影対応のドライブレコーダー。前後だけでなく、左右や車内も撮影できます

安全運転をサポートする運転支援機能にも注目

ドライブレコーダーが撮影した映像をリアルタイムで分析し、運転者に画面表示や音などで注意を与え、安全運転をサポートしてくれる「運転支援機能」を搭載する機種が増えています。前述の調査報告書によると、運転支援機能を搭載する製品の割合は43%に達したそうです。

運転支援機能の内容はさまざま。前方の車との距離を映像から検出し、安全な距離が保たれていないときに警告する前方衝突警告や、車線からはみ出してしまったときに知らせる車線逸脱警告、信号待ちで発進が遅れたときに注意を促す発進遅れ警告などがあります。製品によっては、自動速度取締装置(オービス)の位置を知らせる機能を備えた機種もあります。

  • 運転支援機能を備えたドライブレコーダーならば、前方車との接近しすぎや車線の逸脱などを警告してくれます。制限速度を知らせてくれる製品もあり、うっかりの違反を防げるメリットも

フルHD画質はマストだが、4K画質はいらない

ドライブレコーダーは、量販店やカー用品店などで売られているメーカー品から、Amazonなどで売られているノーブランドの格安品まで、さまざまな製品が存在します。製品を選ぶ際に覚えておきたいポイントをチェックしておきましょう。

必ずチェックしたいのが「撮影解像度」。動画を構成するドットが多いほどきめ細かく撮影でき、他車のナンバープレートや遠方の信号機の色などを判別しやすくなります。ドライブレコーダーでは、おもにHD(1280×768ドット)やフルHD(1920×1080ドット)で記録できるタイプが多いのですが、より精細に記録できるフルHD対応のものを選びたいところです。

  • 撮影解像度は撮影できる動画のきめ細かさを表し、基本的に数値が大きいほど高精細に記録できます。上がHD(1280×720ドット)、下がフルHD(1920×1080ドット)のドライブレコーダーで撮影した映像の一部を切り出したもので、フルHDのほうが道路標識の細かい文字などがはっきりと映っています

一部の高性能ドライブレコーダーは4K画質(3840×2160ドット)の高画質撮影に対応したものもあります。当然ながらフルHDよりも鮮明に記録できますが、ドライブレコーダーでは4K撮影は必要ないといえるでしょう。

4Kともなると、動画ファイルの容量がフルHDの約3~4倍にも大きくなってしまいます。フルHDで1時間撮影できるmicroSDカードでも、4K画質ならたった15分程度しか撮影できません。64GBクラスの大容量カードを用意しても半日程度で満杯になってしまうので、ドライブや旅行の記録もすぐに上書きされ消えてしまいます。画質面で見ても4Kはオーバースペックで、いまのところはフルHDで十分といえます。

レンズの画角は、3種類の数値をチェック

撮影解像度と同じぐらい重要なのが、レンズの画角です。画角は、レンズがキャッチできる範囲を角度で表した値で、画角が大きいと写る範囲は広がります。

画角には「水平画角」「垂直画角」「対角画角」の3つがあり、水平画角は左右の写る範囲、垂直画角は上下の写る範囲を表します。対角画角は、写る範囲の対角線の角度を表します。製品によって記載方法が異なりますが、ドライブレコーダーは対角画角で示すことが多いように見受けられます。

どの画角も、数値が大きいほうが写る範囲が広くなりますが、垂直画角が広く水平画角が狭い製品でも対角画角の数値が大きくなるので注意。もし、製品仕様に水平画角や垂直画角も記載されていたら、そちらも参考にするとよいでしょう。

  • 画角が広いほど、写る範囲も広くなります。水平の画角が広いと、交差点の左右の状況などを撮影するのに有利になります。画像は、上が対角130度(水平95度、垂直50度)、下が対角132度(水平144度、垂直70度)のドライブレコーダーで撮影したもの。同じ場所に取り付けても、ここまで写る範囲が異なります

GPSやWi-Fi、高画質化など付加機能の有無もチェック

ドライブレコーダーを選ぶ際は、加速度センサーによる衝撃検出機能があるかどうかを確認しましょう。これは、ある一定の衝撃が加わったときに、その瞬間の映像を通常とは別のフォルダーに保存する機能です。ドライブレコーダーは、記録用のmicroSDカードが満杯になると、古いファイルから上書きして撮影を続けます。衝撃検出機能がないと映像が上書きされてしまい、決定的瞬間を撮影した肝心の映像が失われてしまいます。衝撃検出機能が働いて別のフォルダーに保存されれば、上書きされることはなくなるわけです。大半のドライブレコーダーには衝撃検出機能がありますが、一部の低価格モデルには搭載されていないので注意しましょう。

GPSを搭載しているドライブレコーダーは、映像と一緒に経路も常に記録します。GPSロガーと同じ役割といえます。ドライブレコーダーに付属する再生ソフトを使えば、撮影した映像とともに地図上で行動履歴を確認できるので、アクシデントが発生したときにいつどこで発生したかを把握しやすくなります。

  • GPSを搭載するドライブレコーダーは、行動履歴や速度、加速度なども映像とともに記録できます。パソコン用のソフトが用意されている製品なら、映像を見つつ地図で場所も確認できます

ドライブレコーダーで撮影した映像を証拠として使うのであれば、撮影日時が狂わないようにすることが重要です。GPSを搭載するドライブレコーダーならば、GPS衛星から正確な時間を取得できるので、定期的に正しい時間に設定し直す手間が省けるメリットもあります。この点からも、GPSはぜひ欲しい機能といえます。

Wi-Fiを搭載するドライブレコーダーなら、撮影した映像をスマホやタブレットからワイヤレスで再生したり、データのコピーができます。ドライブレコーダーからいちいちmicroSDカードを抜き差しすることなく撮影した映像を手元に取り出せるので便利です。Wi-Fiも、搭載していれば便利な機能といえるでしょう。

夜間や明暗差の激しいシーンでもきれいに撮影できるかどうかもチェックしておきたいポイントといえます。F値が小さく明るいレンズや、高感度の撮像素子(イメージセンサー)を搭載していれば、夜間も明るく撮影できます。トンネルの出入口や対向車のヘッドライドといった急激に明るさが変化する場所の撮影に強い、HDR(ハイダイナミックレンジ)やWDR(ワイドダイナミックレンジ)の機能の有無も見逃せません。

  • 明暗が急に大きく変化するトンネルや駐車場の出入口や暗い夜間は、HDRやWDR機能があると白飛びや黒つぶれを抑えてきれいに撮影できます。上はHDR機能がある機種で撮影した映像、下がない機種で撮影した映像です