既報の通り、インテルは4月9日に都内で記者説明会を開催し、第2世代Xeon Scalableプロセッサをはじめとするサーバ向け製品を改めて紹介した。この内容を簡単にお伝えしたい。

まず「改めて」というのは、今回の内容は米国時間の4月2日にIntelが開催した「DATA-CENTRIC INNOVATION DAY」と呼ばれるイベントで発表済みからだ。これを日本メディア向けに説明するというのが趣旨となる。

冒頭で挨拶に立った鈴木国正社長(Photo01)は、2022年までのデータ通信量の増加予測を示しながら、日本もまだ伸びる可能性が十分で(Photo02)、大容量のデータ処理や通信といった用途に対して、今回発表された製品群が効果的であるとした。

  • Photo01:おなじみインテル(株)代表取締役社長の鈴木国正氏

  • Photo02:数字はCiscoのものだが、日本が世界平均よりやや多い点について、ここ数年、国内ではあまり投資が活発ではなく、やや世界に後れを取っているため、ここで追いつこうとする動きなのではないか? と説明する

ディープラーニングで前世代比28倍

続いて米国本社より来日したJason L. Grebe氏が各製品の詳細を紹介した。まずは第2世代Xeon Scalableプロセッサである(Photo04)。これはCascade Lakeという名前で開発されていた製品で、基本的には先代のSkylake-SPと同じく14nm++プロセスで製造される。

  • Photo03:Corporate Vice President, General Manager, Cloud Platforms and Technology GroupのJason L. Grebe氏

  • Photo04:Cascade Lakeの主な特徴。標準製品だけで50以上(Intel ARKによると58製品)が用意される

前世代との違いとしては次の3つが主に挙げられる。

  • Spectre Variant 2/3/3a/4及びL1TFに対応した脆弱性対応がハードウェアの形で実装された
  • Intel DL Boostを搭載
  • Intel Optane DC Persistent Memoryに対応

このうち、最初の脆弱性対応は良いとして、続くIntel DL Boostだが、これはAVX512のNeural Network拡張であるAVX512_VNNI(Vector Neural Network Instruction)を指す

AVX512_VNNIは、これまでKnight MillベースのXeon Phiでのみのサポートだったが、Cascade LakeでXeon Scalableとして正式に対応した形だ。

3つ目のOptane DC Persistent Memoryへの対応は、従来から説明されていたことで、これにより最大512GBのDIMMを利用できるようになる。したがって、理論上は、ソケットあたり最大4.5TBのメモリ空間を実現する。

このCascade LakeをMCM構造で2ダイ搭載したものが、2018年に予告されていたCascade Lake AP(Advanced Performance)で、これも今回Xeon Platinum 9200シリーズとして発表された(Photo05)。

  • Photo05:当然パッケージは従来モデルと互換性なし

コア数は合計で56コア、1ソケットあたり112スレッドとなる。ただしCascade Lakeは、8ソケットまでの対応なのだが、Cascade Lake APでは2ソケットまでという制約がある。

パッケージも倍とは言わないまでも、かなり大型化している(Photo06~07)。ちなみにCascade Lakeのパッケージサイズは、76.0mm×56.5mmとされているので、恐らくCascade Lake APは76.0mm×76.0mmと想像できる。

  • Photo06:左は後述するXeon D-1600シリーズ。中央がCascade Lake、右がCascade Lake AP

  • Photo07:裏面はこんな感じ。Cascade Lake APでは、Ball Pitchが0.99mmだそうである

性能に関しては、Deep Learning関連(CafeeでResnet-50を利用)の場合、Xeon Platinum 8100比で、Xeon Platinum 8200が14倍、Xeon Platinum 9200が28倍の向上を実現したという(Photo08)。さらにNFVなどのネットワーク利用時に最大1.76倍のワークロードパフォーマンスを達成したとしている(Photo09)。

  • Photo08:これはDL BoostというかAVX512_VNNIが8bitデータの取り扱いが可能なため、効率的にResNet-50を処理できるためである

  • Photo09:これはIntel DPDKを利用してのNFVの処理性能の比較となる

Cascade LakeとCascade Lake APのスペックを表1(すでに出荷開始した製品)と表2(今後出荷予定の製品)にまとめた。なお、出荷予定の製品も2019年第2四半期に出荷を開始するとのことで、遠からず追加されるものと思われる。

  • 表1:すでに出荷開始した製品(クリックで拡大します)

  • Photo09:表2:発売予定の製品(クリックで拡大します)