米Cloudflareは4月1日 (現地時間)、モバイル向けVPNサービス「Warp」を発表した。同社が提供するパブリックDNS「1.1.1.1」のモバイル版に統合したサービスになっている。

PCでは手動で簡単にパブリックDNSを設定できるのに対して、モバイル、特に制限が厳しいiOSでWi-Fiとモバイルデータ通信の両方でパブリックDNSを利用できるようにするのは難しかった。Cloudflareは1年前、モバイルアプリ版の「1.1.1.1」を通じて、モバイルでもスイッチ1つでカンタンに全ての通信で「1.1.1.1」接続を有効にできるようにした。発表がエイプリルフールだったため、「ジョークでは?」とも騒がれた。

パブリックDNSサービスに対してはインターネット利用の高速化を期待する人が多いが、「1.1.1.1」でCloudflareはプライバシー保護とセキュリティの優先を掲げている。利用者のWeb閲覧履歴を販売したり、ターゲティング広告に用いることはない。ユーザーを特定できるようなログデータを記録せず、定期的に外部監査を受けている。VPNサービス「Warp」を追加することで、高速・安定・セキュアという「1.1.1.1」の特長をさらに伸ばす。

Warpには、モバイルインターネットに最適化されたUDPベースのVPNプロトコルを採用している。デバイスからの通信は自動的に暗号化され、Cloudflareのネットワークにおいてデータをキャッシュ、圧縮することで安定かつ高速な通信を実現する。バッテリー動作時間も伸びるという。

  • 「1.1.1.1」アプリ

    スイッチだけでカンタンにオン/オフできる「1.1.1.1」

パブリックDNSが何かを知らない人でもパブリックDNSを活用できるモバイル版の「1.1.1.1」と同様、Warpも「VPNが何を意味するか分からない人達に向けたサービス」になっており、「1.1.1.1」アプリ (iOS、Android)からカンタンに利用できる。ただし、目標としていた4月1日のフル提供は適わず、現時点では「1.1.1.1」アプリで希望者のウエイトリストへの登録を受け付けているのみだ。4月中旬にロールアウトを開始し、少しずつ拡大しながら、7月には全ユーザーに拡大する計画だ。Warpにはフリーミアムモデルを採用し、基本機能を無料提供する「Warp」に加えて「Warp+」という有料プランも用意した。Warp+はCloudflareのArgo技術を用いて、より高速で安定したサービスを提供する (料金は後日改めて公表)。また、モバイル版同様のカンタン設定を実現するPC用アプリの提供も予定していることを明らかにした。