青年期のBMIが22以上で将来糖尿病の発症リスクが高まることが長期間の調査で分かった、と順天堂大学の研究グループがこのほど発表した。肥満とされる25を超えなくてもリスクがあり、糖尿病予防のためには青年期からの体格・体重管理が大切であることを示すデータとして注目される。
BMIは体格指数とも呼ばれ、体重(キログラム値)を身長(メートル値)で2回割った数値。日本では18.5未満を「やせ」、25以上を「肥満」とされている。順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンターの染谷由希特任助教と同大学スポーツ健康科学部メンバーによる研究グループは、同大学体育学部(現スポーツ健康科学部)の男性卒業生661人を対象に、1人平均32年間という長期間追跡調査し、20歳代前半である大学在学当時の体格などのデータから割り出したBMIと、50歳代(平均55歳)になった際の糖尿病発症の有無などとの関連を調査した。その際に調査対象者の大学在学時(平均22歳)のBMIを(1) 21.0未満、(2) 21.0-22.0、(3) 22.0-23.0、(4) 23.0以上ーの4カテゴリーに区分。カテゴリーごとの糖尿病発症率を比較した。
調査の結果、糖尿病発症率は(1) 4.4%、(2) 7.6%、(3) 10.5%、(4) 11.3%と、BMIが増加するにしたがって発症率が上昇し、特にBMI22.0-23.0の群から発症率が2桁になっていた。この結果から、青年期である20歳代前半のBMIが22以上の場合、50歳代になった際の糖尿病発症リスクが高くなることが明らかになったという。
研究グループによると、日本人は欧米人と比べ、同じBMIでも脂肪を皮下脂肪として蓄えにくく脂肪肝になりやすいという。同グループは、体重の増加は糖尿病だけでなく、脂質異常症や心血管疾患など多くの疾患にも結びつくことから、青年期から体格・体重管理に気をつけるだけでなく、適切な運動や食事も心がけて筋肉量を維持することが大切としている。
糖尿病患者数は生活習慣などの変化に伴って増加傾向にある。症状が進むとさまざまな合併症を引き起こし、末期になると透析が必要になって医療費の増大にもつながる。厚生労働省によると、「糖尿病が強く疑われる者」の割合(2016年統計)は20歳以上の12.1%、男性だけをみると16.3%に及ぶという。
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