では最後に性能検証といこう。今回はCPUやストレージの性能を見るためのベンチマークテストを中心に展開する。本当はグラフィックスカードも2011年当時のものにしたかったが調達の問題もあり、現行のGeForce RTX 2060で統一した。
Core i7-2600搭載PCに最新グラフィックスカードを組み込んで延命を図った場合に、性能がどの程度出せるのか、という状況を想定したテストと考えてもらえれば幸いだ。
今回の検証環境は以下の通りとなる。記載のないパーツは全て共通となっている。
■検証環境:第2世代Core | |
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パーツ | 製品名 |
CPU | Intel Core i7-2600(4C8T、最大3.8GHz) |
マザーボード | ASUSTeK P8Z68M-PRO(Intel Z68) |
メモリ | Corsair CMY16GX3M2A2133C11 (DDR3-1600で運用、8GB×2) |
グラフィックス | NVIDIA GeForce RTX 2060 Founders Edition |
ストレージ | Intel SSDSC2CT120A3K5 (SATA SSD、120GB) |
電源ユニット | Silverstone ST85F-PT (850W、80Plus Platinum) |
CPUクーラー | CRYORIG A40(簡易水冷) |
OS | Windows10 Pro 64bit版(October 2019 Update) |
■検証環境:第9世代Core | |
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パーツ | 製品名 |
CPU | Intel Core i9-9900K(8C16T、最大5GHz) |
マザーボード | ASRock Z390 Taichi(Intel Z390) |
メモリ | G.Skill F4-3200C16D-16GTZRX (DDR4-2666で運用、8GB×2) |
ストレージ | Westerndigital WDS100T2X0C (NVMe M.2 SSD、1TB) |
■検証環境:第2世代Ryzen | |
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パーツ | 製品名 |
CPU | AMD Ryzen 7 2700X(8C16T、最大4.3GHz) |
マザーボード | GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI (AMD X470) |
まずは定番「CINEBENCH R15」でCPUの計算力の違いをチェックしよう。
現在のCPUは、8年前の4コア/8スレッドのCPUと比べて3倍前後のマルチスレッド性能を持っていることが分かる。動画のエンコードをやっていなければ不要な性能かもしれないが、いまはゲームでもマルチスレッド処理が入っている時代だ。
ブラウザの処理などでも効いてくるシングルスレッド性能は、8年経過しても6割もアップしていない。この辺が“Sandy Bridgeおじさん”がまだ生存している理由のひとつだが、CPUをRyzen 7に変えるだけでも重いWebページの処理速度のサクサク感が変わってくるはずだ。
続いてはPCの総合性能を見る「PCMark10」を使用する。テストはGaming以外を実行するStandardテストを実施した。結果表示画面で提示される総合スコア(Overall)の他に、テストグループ別のスコアも比較しよう。
スコアでトップを獲ったのはCINEBENCHでトップにたったCore i9-9900Kだが、総合スコアだけ見ればRyzen 7 2700Xと誤差程度の差しか付けていない。Standardテストは比較的処理の軽いテスト中心で実行するのと、CPUにより得意とするテストグループが違うためだ。
Core i9-9900Kは写真編集やCG制作といったデジタルコンテンツ制作系(DCC)でスコアを伸ばしているが、Ryzen 7 2700Xはオフィス系作業(Productivity)でスコアを伸ばしている。
こうしてみるとCore i7-2600も割と悪くない結果を残せている。軽めの作業中心ならまだ現役、と考える人が多いのもうなずける。
ゲームではどれだけ差ができる
さて、PCゲーム系では一体どういった差になるか、ということで最初に「3DMark」でスコア比べをしてみたい。RTX 2060を組み込んで延命したCore i7-2600搭載PCはちゃんと性能を出せるのだろうか? という想定で考えるとよいだろう。テストは“Fire Strike”のみを実行したが、段階別のスコアも比較する。
GPUで高速に描画するためには、CPUも速くないと意味がない。同じRTX 2060を組み込んであっても、CPUそのもののパワーが8年前と現在とでは段違いに違うのと、CPUとGPUを接続するPCI-Expressバスの帯域が2倍違うので、そこでも足を引っ張られてしまう。Core i9-9900Kに組み込んだ時に比べ7割程度の性能しか出せなくなっている点に注目したい。
また、ゲームと一口に言っても軽いものと重いもので傾向が違うはず。まずは軽めの代表である「Apex Legends」のフレームレートを比較しよう。画質は全設定を一番重い設定とし、解像度は1920×1080ドットに設定。トレーニング用ステージで一定のコースを移動した時のフレームレートを「OCAT」で測定した。
3DMarkでは露骨な差が付いていたが、Apex LegendsではCore i7-2600でも平均130fps以上出せているのでプレイは快適だ。ただ最低fpsの落ち込みが大きいので、ときどきカクつく感じだ。ただ一般的なリフレッシュレート60Hz液晶を使っていれば、判別はできないだろう。
やや重めのゲーム代表「BIOHAZARD RE:2」も試してみたい。DirectX12モードで起動し、画質は全項目最大にセット。ただアンチエイリアスのみ最高1段下のFXAA+TAAとしている。警察署ロビー〜西側通路にかけて移動した時のフレームレートを「OCAT」で測定した。
このゲームはVRAMにテクスチャのデータをキャッシュする関係か、メモリ〜CPU〜GPUのバスまわりが弱いとかなりカクつく。実際Core i7-2600では平均fpsこそそこそこ高いが、特に初めて通る通路に入るとカク付きが激しく、ゾンビを回避するのも苦労するほどだ。逆にCore i9-9990KやRyzen 7 2700Xは同じ条件でもカクつかない。最新プラットフォームの強みが一番感じられるテストだった。
ストレージ系のパフォーマンスを「CrystalDiskMark」でチェックしよう。計測条件はCrystalDiskMarkのデフォルトを使用している。
Core i7-2600に旧世代SSDを接続した時の性能だが、シーケンシャルリードはSATA SSDとしてはやや遅いが520MB/sec以上出ているのでそこそこ速い。試しにこれをCore i9-9900Kのマシンに接続しても読み書き性能は劇的に変化しない。
ただし、同じ9900KでもMX300を接続するとリード性能を中心に改善するので、旧世代SSDを最新PCに繋いでも、そのSSD自体がボトルネックになる可能性もある。
Core i7-2600にSSD 330でもシーケンシャルリードは十分高いと言えるかもしれないが、そんな性能は現行のNVMe M.2 SSDに比べればかわいいものだ。シーケンシャルリードは3.2GB/secを超えるため、動画編集等で威力を発揮するだろう。
数値をよく見るとRyzen 7 2700X+X470マザーに接続した方が高速だが、これはRyzenのCPU側に直結されたM.2スロットに接続したためだ。
最後に最新マザーの特権であるUSB Type-Cを利用したUSB 3.1 Gen2による外付けSSDでは、どの程度のパフォーマンスが出るかも検証してみた。SATA接続時に比べ全体的に性能が落ちるが、シーケンシャルリードはあまり落ち込まない。HDDより快適で取り回しやすい外付けストレージとして使えそうだ。
まとめ:パフォーマンス以外のメリットからも目を背けるべからず
第2世代Coreでも「用途次第ではまだ現役」という主張に対し、強く反論するつもりはないが、CPUのパフォーマンスにしてもインタフェースにしても、今後使い続けるには伸びしろが非常に少ない。
グラフィックスカードを強化すれば、ある程度のゲーミングPCとして利用できるかもしれないが、足回りが弱いので重めのゲームの前には無力。変に策を弄して強化・延命を狙うよりもモダンなインタフェースを備えた最新プラットフォームへCPUごと乗り換えた方がより満足度の高いマシンになるだろう。