--IoT時代のビジネスにもはや国境や国籍などの垣根は存在しないということですか

鹿野氏:そういった意味ではもう1つ、会場の配置にも大きく手を入れようと思っています。

実は、昔からのCEATEC来場者には理解していただけると思いますが、1ホールに近い側に家電などのよりコンシューマに近い製品などを展示するメーカー群、一方の6ホールや8ホールといった数字の大きい側に半導体デバイスや電子部品など、そうしたさまざまな電子機器を支えるメーカー群が出展し、近年はその中間に主催者の用意した企画展示エリアが配置されるという構成で、多くの方がどちらかの端のエリアを見た後に、もう片方の大きなエリアもついでに見ていくか、といった流れだったのですが、CEATEC JAPAN 2018では、なんと主催者企画が集中する中央のエリアに一番多くの来場者が訪れたというデータが得られました。

開催4日間で約16万人の方が来場されたわけですが、4日間に単純で割っても1日あたり4万人です。それだけの来場者が一部のエリアに偏ってしまい、激しい混雑が生じるというのは展示する側にとっても、来場者側にとっても不幸な話です。ですので、人の流れや密度を分散させて、より見やすい構成を実現していきたいなと思っています。

そのため、出展してくれる企業や団体に向けては、いままで以上にわかりやすく「トータルソリューション」、「スマートX(エックス)」、「デバイス&テクノロジー」という3つのエリアのみで提案を行っています。また、主催者による企画展示も「IoTタウン2018」から2030年以降の超スマート社会はこういったものとなるとイメージできる「Society 5.0 TOWN」と先ほど述べた形での「Co-Creation Park」の2つのみとし、シンプル化を図っています。

こうした理想を口で言うのは簡単ですが、実現に向けて実際に動くことになった後は苦労の連続だろうとは思っています。

  • CEATEC JAPAN 2018の会場マップ

    CEATEC JAPAN 2018の会場マップ。1-2ホールに電機メーカーなどがトータルのソリューションを、5-6ホールに電子部品やデバイスメーカーなどが製品ベースのソリューションなどを展示していたが、予想に反してその間にあるエリアに人が集まったという

しかし、2月19日の10時にCEATEC 2019の申し込みを開始したのですが、今回からは100%インターネット経由の申し込みとさせていただいたこともあるのでしょうが、一分一秒を争う勢いで申し込みを多くの企業や団体がしてくれていることを確認しており、ざっくりとした数ですが、初日の申し込み企業の数は、前年の3割り増しといった勢いです。

実は、7月に各申し込み企業・団体の配置を決める「小間位置選択会」を行うのですが、希望小間数ごとにグループ分けはしますが、基本的には先に申し込みをしていただいた企業・団体から順番に自分たちのブースをどこに配置するかを決めていってもらう形を予定しているということも要因となっていると思っていますが、ふたを開けてみたら、これまで我々が想像もしてなかった企業なども出展申し込みをしれくれるなど、この3年間の取り組みが実を結んできているという印象があります。

--具他的なエリア分けについては、まだ秘密でしょうが、そうした新規に企業の特性なども踏まえて考える必要があるということですね

鹿野氏:それはあると思います。CPS/IoT展として、ようやく自律回転が始まったかな、という段階でしょう。ただ、一方で、我々としても「過去を振り返らない」とは言ってきはしましたが、かつて出展経験があり、逆に近年、出展を控えている企業に向けて、もう1度、こんなに変化が起きて、新しいチャンスを掴める可能性がでてきた、ということを示して、戻ってきても良いかな、と思ってもらえるような取り組みを行っていくことも、20周年の節目の年として取り組む必要があるかなとは感じています。