MWC19 Barcelonaに出展するソニーモバイルが、耳穴を塞がない開放型のハウジングを採用したネックバンドタイプのワイヤレスイヤホン「SBH82D」を発表しました。イベント会場で開発を担当者したソニーモバイルコミュニケーションズの岩田比呂志氏に本機のスゴい所を訊ねました。
ソニーモバイルは2018年のMWC2018で、開放型ハウジングの完全ワイヤレスイヤホン「Xperia Ear Duo」と、同じく開放型の有線イヤホン「STH40D」を発表しました。
あれから1年が経って、左右の本体がケーブルでつながるネックバンドタイプのSBH82Dが加わったことで、ソニーモバイルの開放型イヤホン“3兄弟”が出そろいました。
SBH82Dの概略は、速報ニュースでお伝えした通りですが、初夏に世界の一部の国と地域で発売を予定しています。日本での導入や価格については明らかにされていませんが、Xperia Ear DuoとSTH40Dが日本でも販売中であることを考えれば、まず発売は間違いないものと思われます。筆者の勝手な希望を言わせてもらえれば、1万円前後で発売されたら即飛びつこうと思います。
耳穴を塞がないイヤホンの効果は、音楽と外の音が同時に聞けることです。音楽を聴きながらオフィスで働いたり、台所で料理もできます。スポーツクラブで音楽を聴いていたら、後ろから人が来ていることに気がつかずにぶつかってしまうことももうありません。
特にアウトドアで楽しむ音楽リスニングは安全にも気を配りたいので、ソニーモバイルの“3兄弟”のような開放型のイヤホンがあるとありがたいものです。
MWCの会場でXperia 10にペアリングされているSBH82Dの音質をチェックしてみました。Bluetoothのオーディオコーデックは、AACとSBCに対応しています。NFC対応なのでペアリングはワンタッチでとても簡単。
筆者は有線タイプのSTH40Dも発売直後に試聴していますので、印象はよく覚えています。音楽をBGMのようにいつでも“ながら聴き”できる快適さは一度味わってみると忘れがたいものです。ただSTH40Dは家の中など静かな場所で楽しむ分にはとてもよいイヤホンなのですが、屋外だと低音の力不足を感じることがありました。
SBH82Dは音の厚みがぐんと増して、騒がしいMWCの会場でもしっかりとした低音を鳴らし切ってくれます。ボーカルも芯がしなやかで響きも豊か。歌詞がはっきりと聞き取れます。
岩田氏は本機の音のチューニングについて「屋外でも力負けしない心地よい音楽が楽しめるように豊かな中低域の再現性能を重視した」と語っています。ハウジングの中に13.6mm口径の大型ダイナミックドライバーを搭載して、耳の下側に音導管をまわす独特な装着スタイルはSTH40Dをそのまま継承します。
ワイヤレスイヤホンは、DACとアンプによる組み合わせの音をトータルでチューニングできる強みを活かして、力強くまとまりのある音に仕上げています。
耳の穴に装着した状態でイヤホンを安定させるためのシリコン製リングサポーターはユーザーの耳のサイズに合わせてS/M/Lから交換が可能。イヤホン全体がとても軽いので、装着感も抜群です。
岩田氏によると「装着感を高めて、音楽を聴き終わったらケーブルをラフに畳んでバッグにしまえるようにネックバンドは柔軟性にこだわった」といいます。
本体のパッケージに専用ポーチが付属する予定はないそうですが、ケーブルをまとめるととてもコンパクトになるので、代用できるソフトケースは簡単に見つけられるでしょう。
本体の防滴・防水仕様は特にうたわれていませんが、シリコン製のボディなので汗や雨に濡れても水分を拭き取っておけば問題なく使えそうです。本体に内蔵するバッテリーによる連続音楽再生は最長約7.5時間。USB Type-C端子から充電する仕様になります。
ブルーにグレー、ブラックの3色は普段着からスポーツウェアまで、様々な装いと自然に馴染むようなカラーバリエーションを意識したそうです。
MWCの会場で試してみて、日本での発売がとても待ち遠しくなってきました。音楽の“ながら聴き”が楽しめるイヤホンの快適さは一度味わってしまうと病みつきになるものです。まずはXperia Ear Duo、STH40Dでぜひ試してみてはいかがでしょうか。