ついに姿を現した、オリンパスのマイクロフォサーズ機の最高峰モデル「OM-D E-M1X」。AF追従性能や速写性能を評価し、2016年発売の「OM-D E-M1 Mark II」を2台態勢で愛用するなど、OM-Dシリーズにゾッコン惚れ込んでいるのが落合憲弘カメラマンです。E-M1Xを実際に触ってみてのファーストインプレッションをまとめてくれました。
しっかりとした理由のある大型化にナットク
あ~、デカくなっちまったかぁ……と一瞬、思った。ミラーレスにフルサイズセンサー搭載機が増えるに従い、いつの間にか「ミラーレス機の魅力は小型軽量」なんていうハナシがなかったことになりつつある(私はパナソニックのLUMIX S1とS1Rを実際に手にしたとき、脳天をカチ割られるような衝撃とともにそのことを思い知らされた)点を「少しばかりボディーが大きくなっても許されるであろう」と前向きに捉えた……まずは、そんなことを思わせる佇まいなのだ。
でも、だからこそE-M1 Mark IIのウイークポイントである燃費の悪さをシンプルにカバーすることが可能な「バッテリー2個搭載がデフォルト」という発想が現実のモノになったのだと思う。処理エンジン「TruePic VIII」の2丁がけ(エンジンをダブルで搭載)は、スペースの問題と放熱効率をクリアして実現されたものであろうし、AFマルチセレクターを余裕のあるレイアウトでこれまたダブルで装備する(横位置用&縦位置用の両方を搭載)のもボディーの「適切な大きさ」が確保されてこそのもの。2018年から吹き荒れている「フルサイズ旋風」を逆風ではなく追い風として捉えていそうな尖り方がジツに痛快だ。フルサイズ祭りを尻目に全然ヘコたれてないってのが抜群にいい。
大きさや重たさを感じさせない絶妙なボディー
実際に手にしてみると、数字を裏切る“軽さ”を感じるのにも好印象。握りが太くなっていることをカバーするかのようなグリップ形状(指先側の抉りが深い)が効いて、巧い具合に重量感が軽減されているのだ。E-M1 Mark IIと同一のリチウムイオン充電池「BLH-1」を2個、搭載してもなお、E-M1 Mark II単体(電池込み)と持ち替えながらの比較で「ちょっとだけ重くなってるね」程度の差に収まっている(ように感じられる)のだから、まずはそのあたり、たいへん上手にまとめ上げているといっていいだろう。
一方、EVFのクオリティアップも明らかなのだが、それには「E-M1 Mark IIとの比較で」という注釈が付く。電源スイッチの位置が左側のままなのも個人的には今ひとつだ。シャッターボタン付近に配されているファンクションボタンに割り当てられている機能は、ぶっちゃけ「ニコン風味満載」で結構扱いやすいと感じたのだけど、ここは好みが分かれるかも? 重さはさほど気にならずとも、小ぶりなカメラバッグに収まりにくくなったのも無視できぬ現実ではある。
とはいえ、E-M1 Mark IIをことさらにディスることなく、それでいて明確な新しさを感じさせる存在感の構築はお見事というほかはない。これで「C-AF+測距点自動選択」での連写中、ズーム操作(画角変化)が与えられたときのAF追従動作に破綻が見られなければ、即"買い"でしょう。個人的には、2台所有しているE-M1 Mark IIのうち1台をE-M1Xに入れ替えるのもアリかなぁ~なんてコトを早くも思っちょりますです。ハイ。