さて、キーボード着脱式の2in1でありながら、独自の機構でクラムシェルPCとしての安定感も抜群。タイピングは軽快かつ静かで、バッテリ搭載キーボードユニットでは長時間駆動も可能など、まさに死角なしの「VAIO A12」ですが、実は筆者が最も感銘を受けたのはここまでに紹介した機能やスペックではなく、タブレットを着脱する機構でした。

  • 背面の着脱用スイッチ。ここをスライドさせることでタブレットを切り離せます。着脱の機構は片手で操作できるほどなめらか

「VAIO A12」の着脱用のスイッチは、キーボード側だけでなく背面にも備わっていて、ディスプレイを閉じた状態でも着脱ができるようになっているのです。さらにスイッチをスライドすると、その状態で一旦ロックされるため、両手を使わなくてもタブレットを取り外すことが可能。またタブレットを近づけると、マグネットでカチャっとはまるしくみになっているので、取り付けも簡単にできます。

2in1デバイスの多くはキーボードとタブレットを切り離す、またはヒンジを回転させる際に、両手での操作を余儀なくされます。個人的にこれがどうにも大仰でスマートではないと感じていたのですが、「VAIO A12」ならカバンの中で片手かつ「ノールック」での着脱が可能。タブレットで使うか、クラムシェルPCとして使うか、シーンにあわせたスタイルでサクっとカバンから取り出すことができて、実にスマートです。

  • カバンの中で片手での着脱が可能。タブレットで使いたいときはタブレットだけ取り外して、カバンから取り出すことができる

  • タブレットでは別売りのワコム製スタイラスペン(7,980円)による手書き入力も可能。4,096階調の筆圧に対応し、スケッチや手書きメモ、校正作業などもこなせる

2in1にもう妥協は不要! 満足度の高い1台

冒頭にも書いたとおり、1つのデバイスをタブレットとしてもクラムシェルPCとしても使えれば便利なのは当然。これまでその便利さを享受するためには多少の妥協が必要でしたが、革新的な機構を採用する「VAIO A12」なら、タブレットとしてもクラムシェルPCとしても妥協せずに使え、しかもスタイルを切り替える動作もスマート。さらに専用の拡張クレードルを使えば、大画面モニタやマウスをつないで、デスクトップPCのように使うことができます。

特にハイスペックかつデザイン性にも優れた「VAIO A12 ALL BLACK EDITION」は、メインPCとしてもストレスなく使えるポテンシャルは十分です。唯一不満があるとすれば、クラムシェルスタイルでPCを開く際、ディスプレイ(タブレット)の方が厚いので、開くのにやや力がいることくらいでしょうか。いずれにしてもシーンごとに複数のデバイスを使い分けるのではなく、1台であんな使い方もこんな使い方もしたい筆者のような人には、ベストな一台と言えそうです。

  • 別売りの拡張クレードル(2万3800円)を装着し、外部ディスプレイなどにつないで使うこともできる