米ラスベガスでは現地時間1月8日に、世界最大級となる家電やIT関連の展示会「CES 2019」が開幕しました。2015年以来のCESメインホール出展という“カムバック”を遂げた、シャープのプースを紹介しましょう。
シャープが展示したのは、世界展開に力を入れる「8K」のディスプレイや、北米市場向けの家電製品、ならびにグループ企業のDynabook株式会社が日本で近く投入を予定する13型ノートPCなどです。
■dynabook
最初にノートPCの新製品から見てみましょう。東芝のdynabookシリーズは、北米市場でも長らく展開してきた人気製品。シャープが2018年に東芝のPC事業を買収して、2019年1月1日からDynabook株式会社として再スタートを切りました。この記念すべき製品が、新しいdynabookの13型ノートPCです。dynabookブランドの30周年記念モデルです。
CESの会場ではまだ詳細を隠すために、タッチパッドに触れても操作を受け付けない形で置いてありました。明らかにされていた特徴は3つあります。
一つは「軽さ」を徹底重視した本体設計。プラスチックのフロントベゼルを除く本体の外装素材には、軽量・高剛性を特徴とするマグネシウム合金を採用。重さを1kg以下に抑え、BTOによるミニマムオーダーを選択した場合なら800g以下にまで軽くなるそうです。展示されていた実機は確かに驚くほど軽かったです。
ふたつめの特徴は、高さ76cmから多方面落下テストを行って証明した「強度」です。まっすぐ落とすだけでなく、角から、側面から、色んな角度を付けて落として、タフネスを確認しています。
そして最後のポイントは豊富なインタフェース。側面には有線LAN端子を設けながら、2018年発売の同型ノートPC、dynabook U63と比べてさらに薄い本体サイズとしています。ディスプレイのベゼルを狭くするなどして、フットプリントも縮めています。ディスプレイにはシャープのフルHD液晶です。近く日本でも詳細が公開されることを期待しましょう。
■8K
8Kについてシャープは現在、日本でテレビを、欧州でチューナー非搭載のディスプレイを展開しています。北米市場については、シャープが2016年から同地域のテレビ事業をハイセンスに譲渡している関係で、テレビそのものをシャープがBtoC向けの製品として売ることができません。
CESでモニター非搭載の8Kディスプレイを出展した理由について、「BtoBでの可能性を探ることと、世界各国からエレクトロニクスの関係者が集まるグローバルイベントであるCESで、シャープの8Kエコシステム戦略をアピールするための旗印的役割も担っている」(シャープ広報)と説明しています。
ディスプレイ関連の製品では、BtoB向けにマイクロソフトと共同開発する70型タッチパネル搭載液晶デジタル黒板「Windows Collaboration Display」が注目されていました。本体には気温・湿度を計測するためのセンサーや、人の動きを検知するモーションセンサーなども内蔵されています。どう使うのか?
例えば、本機を置いた部屋の室温が上がってきたことをセンサーが検知すると空調を自動で調整したり、部屋に人が入ってきたらモーションセンサーが自動的に照明を点灯するといった使い方が考えられます。2019年第二四半期(4~6月頃)の商品化を目指して、開発が進められているそうです。
■家電
最後にホームアプライアンス、いわゆる「家電」です。もともとホームアプライアンス製品は異なる地域、それぞれのユーザーニーズが色濃く反映されるカテゴリです。シャープは北米でキッチンアプライアンスの展開に力を入れ、いま徐々に足場を固めつつあるようです。
ネットワーク接続機能を備え、アプリによるコントロールも可能なIoT対応のスマート家電は、北米では主流である“ビルトインタイプ”の加熱水冷オーブン「SuperSteam+ Oven」と、引き出しスタイルの電子レンジ「Microwave Drawer」を2019年の春から夏ごろにかけて北米で発売する予定です。
Microwave Drawerはシャープが市場を独走する“引き出しスタイル”の電子レンジです。ホームネットワークに接続して、シャープが開発するモバイルアプリ「Smart Cook」を使って調理レシピを選択すると、加熱温度や時間の設定入力を省くことができます。
シャープはほかにも、IHクッキングヒーターや冷蔵庫、エアコンなどのホームアプライアンスを、今後1~2年前後をかけて北米市場に展開する姿勢を表明しています(CESのブースで開催した記者会見)。北米のホームアプライアンス製品市場には、サムスン、LGエレクトロニクスという強力なライバルもいます。シャープは今後どのように競い合っていくのでしょうか。記者会見に集まった世界各国のメディアが関心の目を向けていました。