2018年8月、Globalfoundriesは7nm以降のプロセスの無期限延期(事実上の取りやめ)を決定した。GlobalfoundriesはASMLのNXE:3400Bを少なくとも2台導入しているはずなのだが、これらをどうするのかはいまのところ明らかになっていない。

  • Photo07:たまに足元でこんな具合に落ちてる。ちなみに蹴りががっちり入ってるあたりが関係性を物語ってる

前回、Samsungのプロセス解説で触れたが、Globalfoundriesは2014年にIBMから半導体事業とテクノロジ、エンジニアをまるごと買収しており、これに合わせてIBMに対して10年間のサーバ向け製品の独占供給の契約を結んでいた。

それも7nmをご破算にしたことで、契約がどうなったのかもはっきりしなくなった。IBMがSamsungと15年に渡るR&Dのパートナーシップを結んだ、ということは7nm以降に関してIBMが持っていたテクノロジーやIPなどは全てGlobalfoundriesから引き上げた可能性もある。

そもそもIBMは2014年の買収にあたり、15億ドルをGlobalfoundriesに支払っている(つまりそれだけ赤字だったという話だ)わけだが、これも恐らくはかなりの部分が償還されていると思われる。人員に関しても、IBMに再び戻っている可能性が高い。

普通に考えると、IBMとの契約はご破算にしたうえで、ステッパはASMLに売却。ASMLはこれを最新版にUpgradeしたうえで再販というあたりのシナリオではないか。

そんなわけで同社は14/12nmがメインということになるが、幸いにもこちらの需要はまだ大きい。AMDも、EPYC 7nmのI/Oチップは引き続き14nmで製造するし、CPU DeepDiveで紹介したように、恐らくDesktop/Mobile向けも7nmのCPUと14nmのI/OというMCM構成で、このI/Oの方は引き続きGlobalfoundriesを利用する。つまり、いきなり需要が0になるというわけではない。

またGPUも、AMDは当面のところは引き続きメインストリームにはPolarisをベースとした製品を当てると見られるので、こちらの需要もある。Globalfoundriesとしては、既存の需要があるうちに、新規需要を見つける作業に全力を尽くしていると思われる。

その新規需要の方向性だが、同社が2018年9月に発表したリリースでは、より省電力なプロセスオプションと、RF/analogの強化、そしてEmbedded MemoryのOptionを挙げている。

このうちEmbedded Memoryに関しては、2018年のIEDMで22nmのFD-SOIプロセスにMRAMを組み込んだ事例を発表しており、かなり量産に近いレベルに達している。同社はこの次にこのMRAMを14/12nm FinFETに持ち込む予定であることを明らかにしている。

これが実現すると、特に自動車のEUCなどに向けたMCUなどに適用可能になるため、ニーズは大きい。同社の14LPPはAutomotive Grade 2を取得しており、ADAS向け製品などにアピールをしているが、今後はIVIとかECUなどもターゲットにDesign Winを狙ってゆくものと思われる。

PC向けという観点では、チップセットとかNetwork(10GbEのコントローラとか)などに利用される程度であり、AMDも次々世代あたりになるともう14/12nmを利用する製品はあまりなく、次第にフェードアウトの方向になりそうだ。