ビックデータの取得、解析、分析やITマーケティングリサーチ・コンサルティングなどを手掛けるデータビークルは12月6日、東京品川において、「データが価値に変わるその瞬間、企業ではなにが起きていたのか?」をテーマに、同社初となるプライベートイベント「Tokyo Data Science Lab 2018」を開催した。
基調講演において、データビークル 代表取締役 CEO 油野達也氏は、「われわれは4周年を迎えたが、4年前はビジネスは勘と経験だというユーザーが多かったが、意思決定にはエビデンスが必要だという風に確実に変わってきた。そういうお客様は、ビジネス環境変化が頻繁に起き、ライバルが多く、意思決定にはスピードが重要だと考えている共通点がある。そして、われわれも変わっていかなければならない」と、データに基づく意思決定の重要性を訴え、ビジネス面での新たなステージに進むにあたり、新しいコーポレートロゴを発表した。
新しいコーポレートロゴの中に含まれる2つの四角形はそれぞれ異なるデータテーブルを表現し、それぞれの四角形の重なりあう領域は同社が社会や顧客に提供するバリューをイメージしたものだという。
続いて登壇したデータビークル 代表取締役 西内啓氏は、同社が重要だと考える「エビデンス」について説明した。
日本では、「エビデンス」を証拠という意味で使うことがあるが、同社の「エビデンス」は「根拠」という意味に近い。
西内氏は、エビデンスには「権威の意見や理論」「事例報告」「調査データの分析」「ランダム化比較実験」「メタアナリクス」があり、この順番に根拠として弱いと説明した。
大学教授など権威がある人の意見や理論は、意思決定の際の根拠になるが、実際にこういった事実がありましたという、事例が報告されると、事実に基づいているため理論よりも強い根拠となるという。
ただ、提供された事例とまったく逆の事例が見つかると、結局、「人それぞれ」という話になり、エビデンスとして弱くなるという。
事例よりも強いのが何白、何千という規模で分析している調査データで、より多くのサンプルからそれぞれの割合を明らかにできるため根拠として強いという。
そして、調査結果に対しては、「たまたまではないのか」「ほかの要因が影響しているのではないのか」という指摘が入る可能性があり、実際に試す、A/Bテストのような「ランダム化比較実験」がほうが根拠として強くなるという。
分析の分析といわれる「メタアナリクス」は、最近は文献のデータベースも充実しており、これまで研究されてきた成果を比較的容易に集められ、さまざまな角度からトータルで分析できるためもっともエビデンスとして強いという。
そして最後に西内氏は、「データ分析によって、費用の13倍のROIが得られるといわれている。AIによって自動化することもデータサイエンスだが、われわれがやろうとしているのは、意思決定やビジネスにおける洞察のためのデータサイエンスだ。最近は、市民データサイエンスというカテゴリが登場し、注目されている。市民データサイエンスとは、専門家でなくてもデータサイエンスの技術を使いこなせるというものだ。調査会社によれば、市民データサイエンスはAIよりも早く普及するといわれている。われわれは、そのための製品を提供している」と語り、同社の提供する分析支援ツール「Data Diver」を紹介した。