Snapdragon 855を搭載するスマホで楽しむ映像・音楽・ゲーム周辺の技術もまた一歩前進します。

カメラによる4K/60p/HDR動画の撮影はSnapdragon 845シリーズでも実現していますが、最新のチップではHDR10のほかにも、新たにHDR10+と4K放送のHDR規格でもあるHLG(Hybrid Log Gamma)をサポートしています。

  • 4K/HDR撮影はモバイル端末用SoCとしてはじめてHDR10+をサポートしました

また先述の通り、4K動画撮影時にはAIエンジンと画像処理プロセッサの高度な処理によって、被写体となる人物の背景を美しくぼかせる「Portrait Mode」も実現可能なフィーチャーとして提案しています。

  • 4K/HDR/60p撮影は背景のボカシや任意のイメージへの差し替えなどが行えるようになるのだとか

ディスプレイに対してはHDR10にHDR10+、Dolby VisionとHLGを含む様々なHDRソリューションに組み合わせるパフォーマンスを新しいSnapdragon 855シリーズが獲得しています。

  • コンピュータ画像処理は消費電力の最適化も図っています

  • Snapdragonシリーズとして初めてHEIFのファイルフォーマットをサポート。静止画データと一緒にコンピュータ演算によって付加されることになったデータなども一つのファイルに格納できます

高精細なグラフィックスを特徴とする4K/HDR対応のモバイルゲームも鮮やかに、かつ滑らかに表示が可能。クアルコムでは「Qualcomm Snapdragon Elite Gaming」プログラムの下、ハイスペックなゲームタイトルやゲームコンソールによるリッチな体験を推奨するコンセプトについても今回のイベントで発表しています。

Bluetoothオーディオもさらに安定・高音質に

Snapdragon 855シリーズを搭載する、スマホを含むオーディオ機器による音楽体験は2つの重要な技術が関わることによって大きく変わる可能性を秘めています。

ひとつは2018年の秋にクアルコムが発表したBluetoothのA2DPプロファイルに準拠するオーディオコーデック「aptX Adaptive」が、Snapdragon 855のSoCに標準搭載されることです。スマホなどデバイスメーカーはオプションを有効化することによってaptX Adaptive対応のデバイスを容易に実現できるようになります。

  • オーディオはaptX AdaptiveやQualcomm TrueWireless Stereo Plusへの対応が見どころ

aptX Adaptiveの特徴は、従来のaptX classicやaptX HDが採用する固定ビットレート方式ではなく、名前の通り可変ビットレート方式による信号伝送を採用したところにあります。通信環境の状態に合わせて送り出す信号のビットレートを柔軟に可変させることによって、Bluetoothによるワイヤレス伝送が課題とされてきた「音切れ」「ノイズ」を回避します。

  • aptX Adaptiveはモバイルゲーミングにおける遅延を解消するキーテクノロジーとしてもハイライトされていました

また機器間での信号伝送スピードを遅延も60m/s前後に抑えることによって、スマホの画面に表示される動画と音声のズレが気になりがちなモバイルゲーミング、動画視聴の体感を高めることが可能になります。

転送ビットレートは280kbpsから420kpbsの間でのスケーラビリティを確保しながら、音質についてもワイヤレスで最大48kHz/24bitの高品位な伝送を実現。クアルコムは「ハイレゾに迫る高品位な音楽再生をワイヤレスで楽しめるコーデック」と説明しています。

  • 体験ブースではaptX AdaptiveによるBluetooth接続のロバスト性能、低遅延をアピールしていました

もう一つの音楽体験に関わる技術は、2017年のQualcomm Snapdragon Technology Summitで発表された、左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンの信号伝送の安定化、バッテリー性能の向上に関わる「Qualcomm TrueWireless Streo Plus」です。

イヤホンの側にクアルコムのBluetoothオーディオ向けSoCを組み込むことによって、先に挙げた信号伝送やバッテリーのスタミナに関する性能向上を図ることが可能になります。

Snapdragon 845シリーズを搭載するスマホなどのデバイスはソフトウェアのアップデートによって“TrueWireless Streo Plus”の機能をアクティベートできる状態になっているようです。

Snapdragon 855シリーズの場合は、これを搭載する音楽再生機器ですぐにでも、クアルコムのチップを搭載する完全ワイヤレスイヤホンで楽しめるようになるとのことですが、その際にaptX Adaptiveの信号を通せるようになるかどうかはいまのところ技術検証が進められている段階です。

Snapdragon 855搭載スマホはいつでるの?

さて、では最新のSnapdragon 855シリーズを搭載するスマホやモバイル端末はいつ頃発表・発売されるのでしょうか。クアルコムでは「SoCを現在出荷中。2019年前半に発売される端末に搭載される見込み」とアナウンスしています。

今回のQualcomm Snapdragon Technology Summitではサムスンのほか、中国、欧州・北米・インドで勢いよく伸びるブランドであるOnePlusからゲストが登壇して、Snapdragon 855を搭載する“5G対応スマホ”の開発に注力する姿勢をアピールしました。

  • OnePlusの創立者兼CEOであるPete Lau氏もイベントに駆けつけました

中国本土では大手キャリアの China Mobileのほか、シャオミ/OPPO/Vivo/ZTEが5Gモバイルデバイスの開発を表明。12月6日に中国で開催されるChina Mobile Global Partner Conferenceで展示も行われるようです。

毎年スペイン・バルセロナで開催される世界最大のモバイルの展示会「Mobile World Congress」は、2019年も2月25日~28日の期間に開催を予定しています。来年は間違いなく「5G」の話題で大いに賑わいことが予想されます。

Snapdragon 855シリーズを搭載するモバイル端末による“お祭り騒ぎ”を期待したいところですね。