UL Japanは11月15日、自動車業界で進むCASEへの対応の推進に向け、伊勢本社に車載機器に特化した信頼性試験ラボを2019年春に開設する予定であることを明らかにした。

「Connected」、「Autonomous」、「Shared & Services」、「Electric」の頭文字で形成されるCASEだが、それぞれの分野において、設計・開発の現場などでは、新たに出てくるさまざまな課題に対応していく必要がある。例えば、すでにさまざまなパーツが金属から樹脂に変更されるなど素材の変化が進んでおり、EMCの変化や人体への影響などを、これまでとは異なる知見で考慮する必要がある。

  • CASEの課題
  • CASEの課題
  • CASEと一言に言っても、それぞれのコンポーネントで対応する課題は複数存在することとなる

こうした新たな動きに向けた変化への対応は、これまでにもコンピュータ産業などでも起こってきた経緯があるが、自動車産業でもエレクトロニクス化の進展により、同様の変化が起こりつつあると言える。

そのためULでも、電気分野などで培ってきたノウハウを活用して自動車に向けて提供していくことを掲げている。例えば、Connectedでは、国ごとに要求される無線規格への対応や、セキュリティの担保、機器の相互接続性などが求められてくる。また、Autonomousでは、ユーザビリティやEMC、安全性といった分野での対応も必要で、間違った使い方をして大きな事故が起きないようにする必要性などが求められるようになりつつある。

「緊急事態における、いわゆるパニックモードに搭乗者がなったときに、操作を誤って、重大な事故につながらないようにする必要がある。こうした取り組みはULはすでに医療機器の分野でのノウハウの蓄積があり、自動車分野でもそれを活用することができると思っている」と、UL Japan代表取締役社長の山上英彦氏はすでに自社内に相応の知見があることを強調。今回、新設されることとなる信頼性試験ラボでは、そうした知見をエレクトロニクス化の代表格とも言えるCASEを中心に進化していくクルマに対し、世界中のスタンダードや環境規制などに対する専門家集団として、日本の自動車産業へ貢献していきたいとする。

  • 山上英彦氏

    UL Japan代表取締役社長の山上英彦氏

信頼性試験の中でも2つの試験を重視

単に信頼性試験と言っても、さまざまな角度のものがあるが、同社ではそうした中でも環境試験と耐久性試験の2つを提供していく予定とする。

  • 信頼性試験ラボの概要

    信頼性試験ラボの概要

環境試験は、温度、湿度、気圧、日射、振動、衝撃、防水、粉塵、塩水など想定されるさまざまな環境下で耐性を評価するというもの。一方の耐久性試験は、そうしたさまざまな環境に長時間さらした場合、どのような変化が起こっているのか、ということを調べるもので、半導体素子や半導体パッケージの経年変化についての評価も行なっていくという。

  • 信頼性評価サービスの概要

    提供する信頼性評価サービスの概要

なお、同社では、車載機器に特化したラボとして、幅広い試験を提供することができるようになるとしており、信頼性試験のほか、自動車メーカーなどが求める各種の評価をワンストップで提供していける機能を持つ拠点としての役割を担っていければ、としている。

  • トータルコンプライアンスソリューションで成長を目指す

    グローバルに対応するさまざまな規格への評価を始め、これからのクルマを実現するために必要な評価に向けたトータルコンプライアンスソリューションを提供することで、日本の自動車産業の成長の支えになることを目指すとする