携帯機器メーカーは、シングルポートインタフェースへの移行に向けて着実に前進しています。電源とデータの両方を統合接続するための規格化により、メーカーでの設計自由度が向上するからです。

現在、集積回路やバッテリ、ディスプレイの小型化に伴い、機器の全体形状の特徴を決める要因は、付属する旧来型のポートとなっています。特に3.5mmのヘッドホン(イヤホン)ジャックは、この制限要素を取り除くことを目指して、よりスリムかつ多用途のUSB Type-Cインタフェースを選択している携帯電話メーカーにとって、とても課題となっているポートです。

この問題は、タブレット、電子ブックリーダー、情報端末、そして必ずしも携帯用とは見なせない他の形状のAV機器など、ヘッドホンに対応する他の機器にも同様に起こる可能性があります。

USB Type-Cへの移行が、混乱をもたらしメーカーや消費者に変化を強いるものであることには、疑問の余地がありません。しかし、誰もがこの変化を歓迎するとは限りません。それが変化の本質です。ただ、これは事実上の避けられない変化であり、メーカーにはコスト効率の良い方法で新旧両方の技術に対応するための調整期間が求められることとなります。

確立されたオーディオ技術を変えるための課題

技術が進歩する一方、機器に物理的に接続される、ヘッドホン、イヤホン、通常のスピーカーなどの外部スピーカーが引き続き有用かつ重要であることは見落とされやすい話題です。しかし、Bluetoothが成功したのは、過去10年間に製造されたオーディオ再生機器の大多数がBluetooth接続を備えていたからです。オーディオは、携帯電話のワイヤレスヘッドセットという形でBluetoothの最初の「人気アプリ」になりました。近年では、Bluetoothが携帯電話を車のインフォテインメントシステムに接続する標準的な方法になり、電話に出るためだけでなく、ストリーミング配信の音楽を聴くのにも使われています。

携帯機器はバッテリ駆動であることが多く、AVストリーミングの再生中はバッテリの放電が速くなります。同様に、ワイヤレスヘッドセットは小型なのでバッテリ寿命が比較的短い傾向があり、予備に従来の有線イヤホンを所持することが多いと思われます。オーディオファンは本当は有線ヘッドホンの方が好みかも知れません。これらは再生音質が高く、かつ比較的高価である場合が多いこともあり、ヘッドホンジャックが無くなったからといって、お気に入りの機器の使用を止める気にはならないでしょう。

この課題に対する中期的(そしておそらくは長期的)なソリューションは、USB Type-Cコネクタを従来式の3.5mmオーディオプラグに装着できるアダプタを使うことですが、USB Type-Cポートによるアナログなオーディオのサポートは必ずしも保証されていません。

この課題を解決するソリューションの1つであるON Semiconductorの「FSA4480」は特別に設計されたUSB Type-Cアナログ・オーディオスイッチであり、OEMにとっていくつかのメリットを提供します。