Intelの日本法人であるインテルは10月24日、11月1日付で同社の新たな代表取締役社長として鈴木国正氏が就任する人事を発表した。

  • 鈴木国正氏

    2018年11月1日付けでインテルの代表取締役社長に就任予定の鈴木国正氏

鈴木氏は1960年8月生まれ。1984年にソニーに入社後、、ソニーアルゼンチンの社長や、VAIO事業本部 GVDプレジデント、副本部長などを経て、2012年にソニーモバイルコミュニケーションズ 社長兼CEOに就任。その後、ソニー 執行役員 兼 ソニーエンタテインメントEVPを務め、2018年からソニー生命保険の理事に就任している。

同氏に決定した理由について、同氏の上司となるIntel セールス&マーケティング統括本部 副社長 兼 グローバル・マーケッツ&パートナーズ本部長のシャノン・ポーリン氏は、「Intelを理解し、ビジネスになじみをもっている人を探していた。日本はテクノロジーの面でもビジネスの面でも重要な市場であり、適切なリーダーによる事業の推進が求められていた。その実現には、多面的な経歴が必要で、鈴木氏は、そういった経歴を有しており、かつ大きな才能を持つ人物」と、Intelのビジネスを理解している一方で、同社の製品や技術を活用できる市場も理解している人物であることを評価した結果と説明する。

社長就任を決めた3つの理由

また鈴木氏は、新社長就任に際し、「ソニーでキャリアは終わりで良いなと思っていたが、Intelから声をかけてもらって心が動いた理由が3つある」と、自身が今回の役割を引き受けた背景にある思いを述べる。1つ目は、ソニーの中でPC事業(VAIO)に携わった際に、Intelの本社や日本法人に対し、パートナーとして魅力を感じるなど、良い印象を持っており、自分もすぐに溶け込めるのではないかと思ったこと。2つ目は、ソニーの変革に関わり、実際に家電からPC,スマートフォン、プレイステーションというハードウェアからネットワークビジネスへと変化していく会社の変化の中で経験してきた知見を、PCセントリックからデータセントリックへと変化しようとしているIntelで活かすことができると思ったこと。そして3つ目が、第4次産業革命の只中の現在、日本の企業がなんらかの影響を受けて、経営に変化が求められてくる中で、シリコンバレーの象徴的な企業がこれから担っていく役割に魅力を感じたこと、としている。

また、鈴木氏はこれらの思いを踏まえ、「Intelのマネジメントチームは、Trusted Advisor(本格的なアドバイザー)という言葉を用いているが、ある種のニュートラルな立場でさまざまな企業に助力できる。大きな意味でのマクロ経済の中で、Intelが担う役割に魅力を感じた。いろいろとBtoBの分野について(自分の知見として)弱いところの勉強も必要だし、IT業界や半導体の変化について勉強を続けていく中で、Intelが本格的なアドバイザーとして実際に活動できる企業になっていければ、ビジネスパートナーとして多くの日本の企業の成長にも貢献できると思うし、しいて言えば社会貢献にもなるということで、自分としてはソニーの豊かなありがたい経験を、Intelの強さに足し算させてもらって、最終的なIntelの目標を実現したいと思っている」と就任に際する抱負を語っている。

なお、11月以降、同氏はインテルの新社長として同社の日本における事業責任者としての立場から、同社が進めているデータセントリックな戦略の推進に携わることとなるが、今後の日本法人の方向性については、「パートナー企業としてIntelと関わった経験を活かして、パートナーやカスタマと新たな関係性を構築していきたい」としている。

  • 握手を交わす鈴木国正氏

    左から、Intel セールス&マーケティング統括本部 副社長 兼 グローバル・マーケッツ&パートナーズ本部長のシャノン・ポーリン氏、インテル代表取締役社長の鈴木国正氏、2018年4月1日から日本法人の暫定社長を務めてきたスコット・オーバーソン氏。スコット・オーバーソン氏は鈴木氏の社長就任に併せ、Intelセールス&マーケティング統括本部に帰任することとなる