iPhone XSでデュアルSIMを用いた複数のモバイル回線の運用がどのようになるのか、朧気ながら思い描けるようにはなった。しかし個人的に気になっている点がある。

それは、Wi-Fi通話の対応だ。

米国は非常に国土が広く、また室内での電波状況も悪くなりがちだ。投資効果を考えてもいくら最大手であっても厳しい地域は出てくる。そこで自宅に米国の通信会社の多くは、インターネット回線があれば、Wi-Fiを通じて携帯電話の番号での通話やSMSの送受信が可能な「Wi-Fi通話」機能に対応している。

例えば米国のT-MobileのSIMを差し込んでいる状態で設定メニューから「Wi-Fi通話」をオンにすると、Wi-Fi経由でインターネットに接続している場合、キャリア表示が「T-Mobile Wi-Fi」と表示され、モバイル回線の電波が届いていない場所でも、T-Mobileの通話やSMSサービスが利用できる。データ通信はもともとWi-Fiを利用するので問題がない。

これはT-Mobileのエリア外でも、エリア内と同じ振る舞いをWi-Fiを利用して実現する機能である。例えば日本にT-MobileのSIMを指したまま出張しても、Wi-Fi環境下では、米国の電話番号に国際電話ではない料金で通話が可能になる。

この機能をDSDS中に利用できるのかどうかが気になるポイントだ。もしDSDS中にWi-Fi通話が可能であれば、日本の回線をデフォルトにしながら、米国に通話する際にも米国内と同じように、通話無制限のプランで料金がかからず電話ができるようになる。もしデフォルトの回線のみがWi-Fi通話に対応するのであれば、日本にいても米国の回線をデフォルトにし続けて、データ通信を日本の回線から利用するようになるかもしれない。

蓋を開けてみないと分からないが、なんにせよ、今回の施策でモバイル通信環境が充実すると感じるユーザーは少なくないだろう。

松村太郎(まつむらたろう)


1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura