AppleはiPhone XSにおいて、複数の方法でデュアルSIM化を実現した。

eSIMを認めていない中国では、シングルSIMしか用意されないiPhone XSと、デュアルSIMに対応するトレイを備えるiPhone XS Maxが販売されることになった。iPhone XS Maxでは、トレイの裏側にも、もう一枚nano-SIMカードを装着できるようにし、1つのトレイでデュアルSIMを内蔵する仕組みを実現している。現状、eSIMがiOS 12で有効化されていないが、中国向けのデュアルSIMに対応するiPhone XS Maxでは、既に2枚のSIMが認識されるようになっている。

  • 中国ではeSIMが認められないため、iPhone XS Maxに対してデュアルSIMによるDSDSへの対応を果たした。これが起爆剤となって、爆発的なヒットとなっている

中国以外の地域で販売されるiPhone XS、iPhone XS Maxには、通常のnano-SIMを1枚挿入できるトレイに加えて、eSIMを内蔵している。これまでiPadでは「Apple SIM」「内蔵Apple SIM」という独自のSIMを販売もしくは内蔵してきたが、今回は一般的な「eSIM」という表記となっており、必ずしもApple独自規格ではないことがうかがえる。

Appleは原稿執筆時点で、前述した通り、iOS 12上でのeSIMのサポートを行っていないが、すでにサポート文書は公開されており、どのように機能するのかは知ることができる 。

  • 中国以外の国々では、iPhoneに内蔵しているeSIMに対してQRコードやアプリによる書き込み、手動設定によって契約情報を登録する

これによれば、通信事業者からQRコードを取得するか、通信事業者のアプリを用いて、さらに手動で情報を入力することで、内蔵のeSIMに契約情報を書き込み、iPhoneでの通信が可能になると示されている。eSIMは複数の契約情報を保持でき、これをiPhoneの設定アプリの中で切り替えながらの利用も可能だ。ただし、eSIM内の回線を同時に使うことはできない。