“TSUTAYAの格安スマホ”として認知度が高まっているトーンモバイル。これまで開発力と特許技術でユニークなサービスを実現してきた同社ですが、今後はそのプラットフォームをオープン化し、様々な企業と協業していく方針を明らかにしています。私たち消費者には、どのようなメリットがあるのでしょうか。都内で20日に開催された事業戦略説明会では、その一例が紹介されました。

  • トーンモバイルが様々な企業と協業を予定。私たちにメリットは?

親子が助かるアプリが誕生

トーンモバイル 代表取締役社長の石田宏樹氏がTONE Platform事業の第1弾として発表したのは、カーナビ製品などを展開するアルパインとの提携でした。もともと、親子が安心・便利にスマホを使える環境の構築を目指してきたトーンモバイル。アルパインとの協業は、子どものお迎えをサポートするナビゲーションアプリとして結実しました。

  • トーンモバイル 代表取締役社長 CEOの石田宏樹氏

親と子でお互いの居場所をリアルタイムで確認できる、メッセージを送り合える、といった機能を実装しています。今後、無料アプリ「おむかえアシスト」として、Google Play、App Storeでも提供が開始される予定です。

  • トーンモバイル×アルパインの協業で、子どものお迎えをサポートするナビアプリが誕生

トーンモバイルは今年(2018年)の4月、おむかえアシストのベースとなった実証実験アプリをトーンモバイル利用者に限定して配信しています。このテストマーケティングを通じて集まった声を元に改良したのが、おむかえアシストというわけです。石田社長は「1カ月で2万組の親子が、実証実験アプリを使用してくれました。こんなすばらしいプラットフォームは、ほかにはありません」と成果をアピールします。

  • テストマーケティングには、多くの親子が参加しました

ここで少し、おむかえアシストの具体的な機能についても触れておきましょう。子どものスマホから「お迎えボタン」を押すと、親のスマホにお迎え依頼が届きます。地図上には顔写真付きでお互いの現在地が表示され、リアルタイムで移動状況も把握できる設計。

ドライバーの親側も、待っている子ども側も、簡単に状況を確認できます。また、地図を見ながらコメントを送り合える機能も搭載。音声の読み上げにも対応しているので、スマホの画面を見られない運転中でも安心です。なお、アルパインのカーナビ「ビッグX」に対して、待ち合わせ場所を転送する機能も搭載しています。

  • TONE Platform事業の流れ。その成果は、一般ユーザーに開放されるのが特徴です

トーンモバイルでは今後も、スマホを利用した新サービスを提供する企業・団体に対してユーザープラットフォームを開放し、新たなサービスの開発を進めていく考えです。「TONE Platform事業では、より迅速かつ的確な開発・分析・テストが可能です」と石田社長。

便利なサービスが生まれやすくなることで、私たち消費者にも大きなメリットが考えられます。同日の説明会では明らかにされませんでしたが、すでに別のプロジェクトも走り始めているとのことで、どんな分野でどんなサービスが実現するのか、期待が高まります。

指紋でも顔でもない「音声認証」の実現へ

このほか「音声認証」に関する技術も紹介されました。スマートスピーカーが注目を集める昨今ですが、まだ「誰がスピーカーに指示したか」を判断できる製品は世の中に出ていません。このため、セキュリティ面で課題が残っています。

そこでトーンモバイルが目指したのは、セキュリティの担保とユーザビリティの確保という両立。Google Voice matchとTONEアカウントを連携する形で、登録した「声」でしか操作できない音声操作サービスの実現に迫っています。

  • Google Voice matchとTONEアカウントを連携。登録した「声」でしか操作できない音声操作サービスを目指しています

まだテスト段階としつつも、会場ではデモが披露されました(下記の動画を参照)。石田社長によれば、ボイス入力による新サービスを年内にも開始できるとのことです。

登録した「声」でしか操作できない音声操作サービスのデモ

事業戦略説明会の冒頭、「NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は大きな利益を得ているにも関わらず、研究開発に費やす金額の規模が小さすぎる」と批判した石田社長。トーンモバイルでは中期戦略の実行に向けて、CCCとfreebitから新たに17.5億円の資金調達を済ませたとし、さらなる研究開発を進めていく姿勢を明らかにしています。