カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームは、ペロブスカイト層とCIGS層を積層したタンデム型薄膜太陽電池で変換効率22.4%を記録したと発表した。このタイプの太陽電池の変換効率としては記録更新となる。研究論文は科学誌「Science」に掲載された

  • 変換効率22.4%のペロブスカイト-CIGS層タンデム型薄膜太陽電池

    変換効率22.4%のペロブスカイト-CIGS層タンデム型薄膜太陽電池を作製した (出所:UCLA)

ペロブスカイト材料とCIGS(銅-インジウム-ガリウム-セレン)化合物のタンデム型薄膜太陽電池の変換効率としては、2015年にIBMのトーマス・J・ワトソン研究所によって報告された10.9%という値がこれまでの最高値であった。今回この記録を大きく塗り替えたことになる。変換効率22.4%は市販の多結晶太陽電池の変換効率と同等の値。

ペロブカイト層とCIGS層では電気エネルギーに変換できる光の波長が異なるため、タンデム積層することによって1個のデバイスでより幅広い波長の光を発電に利用できるようになる。

下層のCIGS層は膜厚2μm程度であり、単体での変換効率は18.7%となっている。このCIGS層の上部にペロブスカイト材料をスプレー塗布して膜厚1μm程度のペロブスカイト層を形成した。CIGS層とペロブスカイト層の界面をナノスケールで設計することによってデバイスの高電圧化を促し、外部に取り出せる電気エネルギーの量を増やしたとしている。

また、ペロブスカイト系太陽電池で問題になることの多い実環境下での動作にともなう性能劣化については、カプセル封止されていないデバイスを環境条件下で500時間動作させた後で、もとの変換効率の88%が維持されたと報告されている。

研究チームは、今回のタンデム型二層構造のデザインを用いることによってデバイスの変換効率が30%に近づく可能性があると主張しており、これが今後の研究課題になるとしている。