2018年8月31日(米国時間)、Microsoftは個人向けOffice 365サブスクリプションを同年10月2日以降、変更すると公式ブログで発表した。変更点は3つ。

  • 公式ブログ

1つめは「Office 365 Home」の同時使用ライセンス数拡大だ。Office 365 Homeは家族向けSKUのため、5台までのPC(もしくはMac)、タブレット/スマートフォン5台の合計10デバイスで利用できる。Microsoftはその制限をなくし、インストール可能デバイス数を無限大、同時利用は最大5台としてサインインを可能にするという。6台目のデバイスでサインインを試みると、制限を示すメッセージが現れ、別のデバイスからサインアウトしなければならない。

2つめはライセンスの変更。前述したようにOffice 365 Homeは最大同時5人の利用が可能だが、この人数を6人に拡大する。加えて各ユーザーは独自のライセンスを保有する形となるため、利用可能なOneDriveの容量は6TBまで拡大する仕組みだ。家族みんなでPCを利用する家庭では、Office 365 Home契約者数を大幅に押し上げる施策となるだろう。

いずれも実に興味深い仕様変更だが、これらすべての恩恵を日本市場で受けられるわけではない。ご承知のとおり国内で販売する「Office Personal 2016」「Office Home & Business 2016」は永続ライセンスを基盤としており、サブスクリプションモデルは「Office 365 Solo」に限定される。

なかでも複雑なのがインストール数の制限だ。Office Personal 2016およびOffice Home & Business 2016は、PC2台に限定しているが、Office 365 Soloは2台までのPC(もしくはMac)、タブレット/スマートフォン各2台の合計4台となる。

日本マイクロソフトがOffice 365 Solo向けに用意した日本語FAQによれば、Office 365に対する利用制限の拡大は、Office 365 Soloのみ適用し、永続ライセンス版利用者は1年間使用した後に購入するOffice 365 Soloで、初めて恩恵を受けられる。

なお、本ドキュメントが自動的に機械翻訳したものを掲載している可能性と、本稿執筆時点で日本マイクロソフトによる正式な発表がないことを踏まえると、Office 365 Soloの制限拡大が適用されない可能性があることは留意してほしい。

そして3つめの変更点はすでに適用済みだ。これまで独自のライセンス管理を行っていた個人向けOfficeをMicrosoftアカウントに統合する。下図に示したのは筆者の「サービスとサブスクリプション」ページだが、ご覧のようにOfficeアプリケーションと、1年間無償使用できるOffice 365サービス(OneDriveやSkype、テクニカルサポート)をセットにした「Office Home & Business Premium」が未使用の状態で並んでいる。

  • 個人向けOfficeのサブスクリプション管理は、Microsoftアカウントの「サービスとサブスクリプション」に統合された

永続ライセンスと相反するサブスクリプションモデルだが、すでに我々の周りではサブスクリプションモデルが浸透しつつある。現在の個人向けOffice 365を日本市場に投入したのは2014年10月までさかのぼるが、約4年が経つ。日本市場でも主流はサブスクリプションモデルに移行しても良いのではないだろうか。

  • 2014年10月16日に日本マイクロソフトが開催した「New Office発売記念イベント」の様子

ちなみにUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリの制限数は、相も変わらず10台に限定している。Windows 8.1時代はOS名に合わせて81台まで拡大し、2017年9月ごろには数千台単位で大幅拡大するという噂が流れたものの、結局変更されることはなかった。

  • 同一のMicrosoftアカウントでインストール可能なUWPアプリのデバイス数は2018年8月末時点も10台のままである

先日、新たなPCをセットアップしている際、このUWPアプリインストール可能デバイス制限に引っかかり、使わなくなったWindows 10 Mobileデバイスを管理リストから削除することで回避した。

1人のユーザーが用途に合わせて、デスクトップPCや2-in-1 PC、スマートフォンといった複数のデバイスを使い分けるこのご時勢では、簡単に10台の制限に引っかかるため実に不便だ。Microsoft/日本マイクロソフトには、個人向けOffice 365のSKU構成を合わせて、UWPアプリインストール可能デバイス制限について一考をうながしたい。

阿久津良和(Cactus)