Windows 10とOffice 365の進化が著しい。Microsoftが2018年7月25日(以下すべて米国時間)にリリースしたWindows 10 Insider Previewにて、2018年秋ごろに正式版となることを予定しているビルド17723(RS5)と、来春リリース予定のビルド18204(19H1)の2種類に分かれた。

  • Insiderプログラム

新機能については公式ブログで述べているように、Windows Mixed Realityデバイスを装着時も現実世界を確認する機能や、Microsoft Edgeの強化、キオスク設定の改善が加わっている。

個人的に注目しているのが、うるう秒をサポートするPTP(Precision Time Protocol)の存在と、再起動に適したタイミングを予測する新予測モデルの採用だ。前者は2018年第3~4四半期のリリースを予定しているWindows Server 2019、次期Windows 10でサポートし、より正確が時刻調整が可能になるという。

本件についてMicrosoftは、2018年7月18日の時点で詳細な記事を公式ブログで公開済み。同社の説明によればPTPは万人向けではなく、今後も従来のNTP(Network Time Protocol)が既定のプロトコルとして用いられる。あくまでもPTPは高い精度を求める顧客向けのソリューションだという。

後者の新予測モデルはDona Sarkar氏の発言を引用した方が分かりやすい。「間違ったタイミングでデバイスが更新され、作業を中断する苦痛を軽減するため、再起動ロジックを更新した。ユーザーがコーヒーを飲むために離席したのか予測するモデルを社内デバイスで使用し、有望な効果を確認している」という。Windows 10 Insider Preview ビルド18204でPTPおよび予測モデルに関する設定項目は確認できないものの、各機能がユーザーの利益につながるのか注視したい。

  • 長年にわたって使われてきたNTPだが、Windows Server 2019をオンプレミス環境で使う場合、Windows 10でもPTPが利用可能になるという

一方、Office 365はバージョン1808でFluent Design Systemが適用される。本件については2018年6月13日の時点でMicrosoftが公式ブログでアナウンス済みだが、先日Office Insiderに参加しているPC環境でライセンスへの同意を求められた。よくよく見るとリボンに並ぶボタンが一新している。

  • こちらはバージョン1807のExcel。見慣れたボタンがリボンに並ぶ

  • バージョン1808のExcel。各ボタンが分かりやすくなった

公式ブログでMicrosoftは、従来のビットマップからスケーラブルなアイコンに置き換えると説明していた。また、作業領域の拡大を目的にリボン名をクリックやタップしないと現れない仕組みに変更。もちろんピン留めすれば常にリボンを表示できる。

見慣れたアイコンが大きく様変わりすることに少々の驚きを覚えるが、Office 365を月次チャネルで使っている環境では今夏の更新、半期チャネルなら2019年1月に含まれる予定なので、あらかじめ周知することをお薦めしたい。

このように各種インサイダープログラムへ参加することで、新しい機能にいち早く触れることができる。安定性についても初期のインサイダープログラムのように、致命的なバグが発生することは減っており、当初から参加してきた筆者の個人的意見としては、ミッションクリティカルな環境以外であればインサイダープログラムに参加する利点は大きい。まずはSlowリングなど比較的安全なチャネルから始めてみてはいかがだろうか。

阿久津良和(Cactus)