先日リリースしたWindows 10 Insider Preview ビルド17686に対してMicrosoftは、地域設定やプライバシー通知、Windows Mixed Realityを主なハイライトとして紹介しているが、よくよく見ると今後の改変につながる変化が確認できる。まずは「Your Phone」のサポートだ。

  • 検索ボックスから確認すると、「Your Phone」はUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリであることが確認できる

Microsoftが開催したBuild 2018や、日本マイクロソフト開催のde:code 2018でアナウンスしたようにYour Phoneは、スマートフォンで受信したメッセージをPCで返信し、受け取った画像ファイルをそのままOfficeアプリで利用するといった連携を実現。PCとスマートフォンの関係に新たなUX(ユーザー体験)を提供する機能である。

早速試してみたが結果はNG。iPhoneをリンクした状態でも下図のようにスマートフォンのリンクを求められ、リンク済みデバイスを削除して再リンクしても結果は一緒だった。

  • アプリ自体は起動するが、スマートフォンをリンクした状態でも動作は変わらなかった。なお、<Link a phone>をクリックすると、「設定」の「電話」が開く

次に気になるのが、「Sモード」のサポートが始まりつつある点だ。当初Microsoftは、高いセキュリティを背景に教育機関などでの利用を想定したWindows 10Sを発表したが、その後はSモードとして提供するとアナウンスしている。

本稿執筆のFAQでは、Windows 10 バージョン1803(April 2018 Update)でSモードを採用し、各エディションで利用可能と紹介するものの、利用者ならご承知のとおり同名の設定項目は見当たらない。

だが、ビルド17686の「設定」では、「Switch to S mode」という検索結果が示されるようになった。ご承知のとおり「設定」の検索機能はあらかじめ用意したインデックスを元にしている。この点も使い勝手を低下させる要因の1つだと思うのだが……。

つまり、今後はSモードに特化した設定項目を用意する予定があるのだろう。ちなみに現時点でモードを切り替える設定項目は存在せず、検索結果を開くと「更新とセキュリティ/ライセンス認証」が開く仕組みだった。

  • 「設定」ではSモードに関する設定項目が検索結果として示される

筆者が気になっているのが、「このPCへのプロジェクション」の拡張である。プロジェクションを実行すると、デスクトップ上部にバナーを表示し、以下に並べる3つのシナリオを選べるようになった。なお、説明は筆者の体感した結果なので、本来は異なる可能性がある。

「ゲーム」はディスプレイの遅延を最小限にすることで表示遅延を抑制し、描画の追従性を高めるというもの。「ビデオ」はゲームと逆にディスプレイの遅延を眺めにすることで、動画再生をスムーズにする。「仕事効率化」は両者のバランスを取って文字入力やペン操作を自然に行うモードのようだ。

  • プロジェクション機能も拡張し、モード選択や切断などを行うバーが加わるようになった

まだ、不安定らしく、接続タイミングによってはモード変更が応答せず、新たに加わったであろう接続先のPCが供える入力デバイスのサポート項目も、見え隠れすることが多い。それでもノマド作業が多い方なら、サブPCをワイヤレスディスプレイとして活用するシナリオが増えるのは便利なはずだ。

  • 接続先デバイスが供えるキーボードによる入力や、ペン入力もサポートする

筆者の日本語環境では確認できないものの、Windows Centralなどが報じた記事によれば、スタートメニューに「Video Editor」というタイルが新たに加わるという。同記事によれば単独のアプリではなく、「フォト」のビデオ編集機能を呼び出すリンクだそうだ。

かつて提供されていた「Windows Movie Maker」は開発を終了し、UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリのフォトはビデオ作成機能を備えている。Video Editorのタイルを新たに加えた理由が、ビデオ作成機能のアピールに留まるのか、同機能の大幅な拡張を示唆するのか判断が難しい。だが、多くのユーザーが簡易ツールとして愛用したWindows Movie Makerの代替機能をMicrosoftが提供するのであれば、素直に歓迎したい。

阿久津良和(Cactus)