電源を切ってどのくらい温度を保てる?

もうひとつ気になったのが無電源時の保冷性能。電源を切っている状態で、どのくらいの時間、庫内の温度が保たれるのでしょうか? 推奨されている使い方ではないですが、必ずしも屋外で電源を確保できるとは限りません。そこで大ボックスが6度、小ボックスが2度の状態から電源を切り、1時間後に再度電源を入れて庫内の温度を確認してみました。

  • ポータブル冷蔵庫「CFX75DZW」

    設定温度4度で稼働している状態では、大ボックスが6度、小ボックスが2度

  • ポータブル冷蔵庫「CFX75DZW」

    1時間後に電源を入れたときの温度は大ボックス、小ボックスともに15度でした

結果、大ボックス、小ボックスともに15度になりました。気温32度~33度という厳しい条件で実施したテストとはいえ、思ったより温度が上がったなあというのが率直な感想。電源を入れない状態で、傷むのが早い食材を持ち運ぶときは、あらかじめ設定温度を低くしたうえで、保冷剤などを併用したほうがよいですね。

屈強な運び手が必要だ

最後にいくつか注意点をお伝えします。CFX75DZWはなにも入れていない状態で約31kgですが、飲み物を入れればそのぶん重くなります。ちなみにCFX75DZWには、500mlのペットボトルが大ボックスに48本、小ボックスに29本、合計77本入りますが、その場合は単純計算で38.5kg増えるので、総質量がなんと約69.5kgとなります。飲み物をパンパンに入れて持ち運ぶには、屈強な運び手が必要。最低2人、できれば4人で運びたいところです。

  • ポータブル冷蔵庫「CFX75DZW」

    中身を入れたまま1人で持ち運ぶのは現実的ではありません

設置場所は水平で、なおかつ背面に5cm以上、右側面に10cm以上のすき間が必要です。また室温の高い場所、直射日光下での設置は避けるようにとの注意書きが説明書に記載されています。なので車に乗せる場合、座席の上などではなく、水平なカーゴスペースに設置しなければなりません。

  • ポータブル冷蔵庫「CFX75DZW」

    サーモグラフィーカメラで見ると、右側面の放熱口から熱風が吹き出ていることがわかります。車の内装に近づけすぎると熱で変形する可能性も。また、放熱口を塞いでしまうと、CFX75DZWのなかで熱がこもり故障の原因になるでしょう

動作音は高負荷時のゲーミングデスクトップPCと同じぐらいというのがイメージに近いと思います。最近の家庭用冷蔵庫と比べると、動作音は明らかに大きく、リビングや自分の部屋で常時稼働させるのは厳しいと感じました。

  • ポータブル冷蔵庫「CFX75DZW」

    写真左がCFX75DZWの非動作時、写真右が動作時。動作させると環境音が6.6dB大きくなります

いくつか心得るべき事柄はありますが、CFX75DZWは本格的な冷却性能と遠隔からの温度確認、温度調整できる点が魅力。車載時だとバッテリー非搭載という弱点は関係ないですし、屋外でもポータブル発電機と組み合わせることで解決できます。というかCFX75DZWは、キャンピングカーやクルーザーなどに乗せたり、タープの下で環境を整えて利用したりするためのものだと思います。

気軽に持ち運びたいなら、26Lの小型タイプ「CFX28」(ドメティック製。推定市場価格は税別69,800円)がオススメ。なお、バッテリー内蔵タイプがほしければサンコーから「CLBOX30L」(直販価格49,800円)が発売されています。自分の用途に合わせて、アウトドアでキンキンに冷えた飲み物を楽しみましょう。