--ダイバーシティの取り組みについて、考えを教えてください。
パリン氏:アメリカは日本より多少は先んじているが、テクノロジー業界はアメリカであっても男性主導となっており、ジェンダーとしてのダイバーシティという意味ではアメリカでも課題は多い。
われわれは、CEOを含めジェンダーとして多様性の価値に重きを置いている。わたしが入社した際は、セールスのシニアバイスプレジデントは女性であり、売り上げに対して大きなコミットを担っていたほか、わたしはマーケティングの全パイプラインを管理し、新しいCOOも女性だ。そのため、経営層から一般社員までダイバーシティの価値を感じながら業務に取り組んでいる。
--日本の働く女性に対してアドバイスはありますか?
パリン氏:女性に関するアドバイスは3つある。1つ目は、会社を探す際に上辺だけでダイバーシティを喧伝している企業ではなく、正当に価値を置いている企業を見極めることだ。これは、経営陣の面々を把握すれば多様性があるのか否か、判断できる。経営陣に多様性があれば、企業としての筋道が示され、そこに価値を置いている企業だということが判断可能だ。
2つ目は、メンターに関しては男性と女性どちらも探すことだ。女性がメンターを探す際は女性だけに絞りがちだが男性を探すことも必要であり、わたし自身は男性のメンターもいた。女性と男性のメンターだと意見が対立してしまう懸念もあると思うが、両方の話を一体にすれば、自分自身のさらなる底上げにつながるという効果が生まれる。そのため、メンターを求めるときには男女両方が望ましい。
そして、3つ目はヘッドハンターから連絡を受けた際に一言目に注目することだ。例えば、ダイバーシティを調査していると言われた場合、がっかりすることがある。なぜならダイバーシティで候補を探していると言われても、本当の意味でダイバーシティを理解せずに経営陣が口だけで言っているように感じるからだ。そのため、ダイバーシティで候補を探していると言われた際は注意を払う必要がある。
--日本企業に対してのアドバイスは?
パリン氏:まずは、女性社員に対し投資してもらいたい。わたしがDellで働いていたときは女性のリーダーシップデベロップメントプログラムに参加していた。
このプログラムに参加したことでスタンフォード大学のビジネススクールで交渉術やキャリアマネジメントなどを学ぶ機会が得られた。これは会社が投資してくれたから実現できたことだ。そのため、有望な女性社員に対して投資を行うことを検討してほしい。
そして、次に社内ネットワークを整備することだ。われわれでは、Box Women’s Networkという取り組みを行っており、女性をサポートしている。また、年次イベント「Box World 2017」に合わせて開催した「Box Women’s Network Summit」にはジョー・バイデン元副大統領夫人であるジル・バイデン氏が出席した。このように、社内ネットワークに投資していることに加え、メンバー間で互いにサポートする仕組みを整えている。
さらに、わたしの経験では経営陣への道が開けたときに子供が生まれたが、仕事をする中でBoxではレヴィCEOが柔軟に対応してくれた。そして、CEOとの面談で母として子供を寝かしつけることを非常に重要に考えていたため、毎日19~20時に帰宅しなければならないと伝え、これを理解してくれた。
経営に携わるようになると一般社員に比べて、業務時間が長くなることがあるものの、女性、母としてのニーズを満たしてくれることが自分にとって重要であることに関してレヴィCEOは敬意を払ってくれている。
企業が女性に対し柔軟に対応する姿勢を見せれば、女性は企業に対して期待以上に貢献してくれることもある。ジェンダーの多様性に加え、人間の多様性があれば組織としての強みになると考えている。