アップルは6月25日(現地時間)、iOSの次期バージョン「iOS 12」のパブリックベータ版の提供を開始しました。日本でも同時に公開が始まっており、ダウンロードできます。

  • いよいよ「iOS 12」のパブリックベータ版の提供が始まった。iPhoneは旧型のiPhone 5s以降のモデルに対応しているので、新機種を購入して使わなくなった端末に導入してみるのがお薦めだ

パブリックベータは、正式リリース前のβバージョンのOSを一般ユーザーに試してもらい、品質を向上させるためのフィードバックを収集することを目的としたプログラム。正式版がリリースされる前に、手持ちのiPhoneやiPadでひと足早く最新OSが試せるのが魅力です。

さまざまな機能強化が図られるiOS 12

今年の秋に正式版がリリースされる予定のiOS 12では、現行のiOS 11と比べてさまざまな機能強化が図られます。6月頭に開催されたWWDCでの発表をもとに、iOS 12のおもな特徴を簡単に振り返ってみたいと思います。

まず目玉となりそうなのが、アップルが推進するAR(拡張現実)が強化されること。ARKitが2.0にアップデートされ、複数のユーザーで同じARを共有して体験できるようになったり、立体物の認識が可能になってよりリアルな表現が可能になります。「USDZ」と呼ばれるフォーマットに対応することで、Safariやメールなど日ごろよく使うアプリでもARのコンテンツが楽しめるようになるのも注目できます。

  • ARKit 2.0では立体物の認識が可能になったほか、複数の人で同じAR体験ができるようになった

写真アプリも強化され、自動車や犬などキーワードで検索できる写真の種類が増えるほか、撮影した場所も検出できるようになります。友人と同じイベントに参加して写真をシェアした際、自分が持っていない写真を友人から簡単にシェアしてもらえる機能も加わります。カメラ機能の起動が大幅に高速化されるのも見逃せません。

  • 写真は解析機能が強化され、さまざまな被写体をキーワードで弾き出せるようになる

子どもなど、家族のiPhoneの利用状況を確認したり、利用に制限を加える「Screen Time」も追加されます。よく使っているアプリの種類や利用時間が確認でき、使えるアプリの種類や時間を制限することもできます。

  • スマホの使いすぎ防止に役立つ「Screen Time」。アプリの利用状況が分かりやすく表示されるほか、子どもなどのiPhoneの利用に制限をかける機能も備わる

友人とのコミュニケーション機能も充実します。さまざまなアバターに変身して動く絵文字が送信できるAnimoji(アニ文字)は、自分の顔をモチーフにした絵文字を作成する「Memoji」(ミーモジ)が加わります。また、FaceTimeは最大32人のグループチャットが可能になり、発言した人の顔が自動で大きく表示されるなどの工夫が盛り込まれました。先ほど作ったMemojiは、FaceTimeのビデオチャットにも適用できるようになります。

  • 自分に似せたアニ文字を作成する「Memoji」

  • FaceTimeは、最大32人までのグループチャットにも対応する

新たに追加されるSiriショートカットは、さまざまなアプリの一連の操作を登録し、Siriの音声により呼び出して実行できる機能です。例えば、外出先から自宅に帰る際、「これから帰るよ」とSiriに話しかければ、現在地から自宅までのルートを検索して表示しつつ、家族に「これから自宅に帰ります」とメッセージを送り、さらに自宅の自分の部屋のエアコンの電源を入れる…ということがSiriへの呼びかけだけでできてしまいます。

  • アプリの一連の操作を登録して、Siriから簡単に呼び出して実行できるSiriショートカット。さまざまな場面で便利に使えそうだ

誰でも無料で参加できるが、不具合などの可能性も

パブリックベータは「Apple Beta Software Program」を通じて提供され、規約に同意することで誰でも参加登録できます。パブリックベータを試用するデバイスからアクセスし、構成プロファイルをダウンロードしてインストールすると、ソフトウエアアップデートで「iOS 12 Public beta」のダウンロードとインストールが可能になります。プログラムへの登録やパブリックベータのダウンロードは無料。

  • パブリックベータはApple Beta Software Programから入手できる

パブリックベータは、正式版にある程度近づいたバージョンですが、予期せぬエラーや不具合が発生したり、ふだん使っているアプリが正常に動作しなくなる可能性があります。パブリックベータを試用するデバイスは、ふだんメインで使っている端末とは別の端末を用意するのがベターだといえます。また、導入前にiTunesでバックアップを作成しておくようにしましょう。