一方、携帯電話キャリアにとっては、Netflixはある種のライバルだ。キャリアのインフラの上でサービスを提供することから、これらのインターネットサービスはOTTとも呼ばれてきた。

YouTubeやFacebookなど、インターネットの人気サービスはOTTばかりだ。キャリアは彼らのためにパケットを運ぶだけの「土管」と化すことに危機感を覚えており、KDDIも「ビデオパス」のような自社サービスを整備してきた。

  • 大手キャリアにとってある種のライバルだったNetflixと提携した

だが4月1日にKDDI社長に就任した高橋誠氏は、発表会の中で「垂直統合だけではなく、OTTプレイヤーとも組む」と宣言。Netflixプランに、自社のビデオパスをバンドルすることで「新生KDDI」を印象付けた。海外作品が充実するNetflixに対し、ビデオパスは国内コンテンツに強いなど、両者は補完関係にある。

  • Netflixのベーシックプランに加え、自社の「ビデオパス」もバンドルした

25GBというパケット範囲を設定

だが、KDDIが踏み込めなかった点もある。それがNetflix視聴時のパケットの扱いだ。T-Mobileはパケットを無料とする仕組みを導入したが、KDDIでは25GBというデータの範囲内で、通常通りにパケットを消費するという。

こうしたパケットの無料化は「ゼロレーティング」や「カウントフリー」と呼ばれており、特定のサービスを優遇する性質上、「ネット中立性」の観点から世界的な議論が巻き起こっている。日本ではMVNOが導入を進める一方、大手キャリアであるKDDIは禁じ手と考えているようだ。

Netflixをバンドルするメリットとして高橋氏は、解約率の減少にも言及している。まずはNetflixとビデオパスを組み合わせたお得な料金プランを提示することで、動画を好むユーザーを囲い込んでいくのが当面の狙いといえそうだ。